逆ワクチンで自己免疫疾患を治療する可能性|シカゴ大学





“Inverse vaccine” shows potential to treat multiple sclerosis and other autoimmune diseases(2023/9/11、シカゴ大学)によれば、ワクチンは免疫力を高めるものですが、今回紹介されている「逆ワクチン」は免疫力を抑えることによって、多発性硬化症、I型糖尿病、関節リウマチ、クローン病など自己免疫反応(免疫系が人の健康な組織を攻撃する)を止めることができるそうです。

逆ワクチンによって免疫力を抑える仕組みについて簡単にまとめると、肝臓には破壊された細胞の分子に自然に「攻撃しない」フラグを付ける仕組みがあり、その仕組みを利用して、自己免疫反応を防ぐというもの。

より具体的に言えば、免疫系のT細胞は身体にとっての異物を排除するのが仕事なのですが、ときおりT細胞は間違いを起こし、健康な細胞を異物として認識し、攻撃をすることがあります。

それが自己免疫疾患とよばれるものです。

そこで、身体には損傷を受けた体内のあらゆる細胞に反応して免疫反応が起こらないようにするメカニズム(末梢性免疫寛容)があるという考え方をもとに、N-アセチルガラクトサミン(pGal)として知られる糖で任意の分子を結合させることで、免疫系にそれを許容するように教えることにより、免疫反応を最小限に抑えることを考えました。

免疫系の記憶を忘れさせることによって免疫力をコントロールすることができれば、多くの自己免疫疾患やアレルギー(花粉症やアトピーなど)を抑えることができるようになるかもしれませんね。

今後の研究に期待です。

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