「共感覚」は脳の仕組みを理解する重要な手掛かりになる

Synesthesia

by Kristen Stacy(画像:Creative Commons)




共感覚の謎、最新技術で解明進む

(2011/11/24、ナショナルジオグラフィック)

最新の研究によれば、複数の感覚が結び付く「共感覚」は脳の仕組みを理解する重要な手掛かりになるという。

共感覚は、脳の仕組みを理解する手がかりになるそうです。

そもそも、共感覚とはどういうものなのでしょうか。

色を“聴き”、単語を“味わう”人がいる。

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のデイビッド・ブラング(David Brang)氏は、「共感覚者にとって、“数字の2は青い”だけではない。2は男性で帽子をかぶっており、7と恋愛関係にある」と説明する。

Wikipediaでは、共感覚は次のように説明されています。

共感覚 - Wikipedia

共感覚(きょうかんかく、シナスタジア、synesthesia, synæsthesia)とは、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる一部の人にみられる特殊な知覚現象をいう。 例えば、共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりする。

あるモノに対して、通常の感覚だけでなく、異なる種類の感覚を感じることを「共感覚」というようです。

今では認知されつつある「共感覚」ですが、長年にわたって誤解を受けてきたようです。

共感覚が初めて科学的に記録されたのは1812年。以来、長年にわたって広く誤解されてきた。多くの専門家が軽い精神疾患の一種と考えていたのである。

「このような擬人化が共感覚の症状かはわからない。しかし、多くの研究者は全くの作り話だと考え、興味を持てなかったようだ」。

共感覚が長年にわたって誤解されていたのは、連想が非常に明確で、描写が細かいためだ。かつて、一部の専門家は統合失調症などの精神疾患と結び付けていた。

研究論文の共著者で、同じくUCSDの神経科学者ビラヤヌル・ラマチャンドラン氏は、「共感覚は進化における原始的な状態への“後退”だという見方もあった」と説明する。

共感覚は、共感覚を持つ人の連想が非常に明確で描写が細かいため、精神疾患だと考えていたようです。

しかし、研究が進み、今では共感覚が脳の仕組みを理解する手がかりになると考えられるようになったようです。

しかし現在は、200年前はもちろん10年前でさえ不可能だった手段で脳を徹底的に調べることができる。

その一つが「拡散テンソル画像(DTI)」という一種の脳スキャンだ。DTIを使用すれば、脳のさまざまな領域がどのようにつながっているかがわかる。「共感覚者の場合、関連する感覚のつながりが強い」とブラング氏は述べる。

感覚をつかさどる脳領域の結び付きを視覚化すれば、特定の共感覚が存在する理由や、多くの知覚現象が一方向だけに起きる原因がわかるかもしれない。一方向性の例として、数字は色を連想させるが、色から数字を連想することはあまりないという。

すべての人は共感覚の神経機構を持つが、何らかの理由で抑制されているという仮説もある。脳を徹底的に調べれば、その検証が可能かもしれない。

共感覚の研究が進むにつれて、いろいろな発見があったり、仮説が立てられているようです。

  • 共感覚者の場合、関連する感覚のつながりが強い
  • 数字は色を連想させるが、色から数字を連想することはあまりないということから、多くの知覚現象が一方向だけに起きる原因がわかるかもしれない
  • すべての人は共感覚の神経機構を持つが、何らかの理由で抑制されているという仮説

 

■共感覚は創造性を高める?

最近の研究で、芸術家や詩人、小説家には、それ以外の人より共感覚者が約7倍多いと示されている。そして、複数の専門家が、共感覚者は関連のないアイデアを結び付ける能力に秀でているという仮説を立てている。

「数年前に協力を依頼したある小説家は、共感覚が隠喩の選択に役立っていると断言していた。彼女によれば、言葉を思いつく前から、何色の言葉にすべきかが見えてくるそうだ」とブラング氏は語る。

共感覚者の中には、円周率を2万2514桁まで暗唱するなど、驚異的な記憶力を発揮する人がいる。とてもよく似た色を見分けられたり、触覚が非常に発達しているケースもあるという。

共感覚に関する研究は、オンラインジャーナル「PLoS Biology」で11月22日に公開されている。

最近の研究で、芸術家や詩人、小説家には、それ以外の人より共感覚者が約7倍多いと示されているそうです。

数字に色を見る人たち 共感覚から脳を探る(V.S.ラマチャンドラン/E.M.ハバード)

共感覚の仕組みを神経学的に理解することによって、画家や詩人、小説家の創造力を多少は説明できるかもしれない。ある研究によると、このようなクリエイティブな職業に携わる人々では、共感覚の割合は一般の8倍にのぼるという。

画家や詩人、小説家には共感覚者が多いということは、共感覚によって関連のないアイデアを結びつける能力に秀でているため、自然とそうなってしまっているのかもしれません。

数字に色を見る人たち 共感覚から脳を探る(V.S.ラマチャンドラン/E.M.ハバード)

創造的な人々の多くに共通する才能のひとつが、隠喩表現の巧みさだ(たとえば、シェイクスピアの戯曲の台詞「あの窓が東の空ならば、ジュリエットは太陽」のように)。彼らの脳は、太陽と美少女のように一見無関係な領域同士がリンクするようにできているかのようだ。つまり、共感覚が一見無関係な知覚的要素(たとえば色と数字など)を勝手に結びつけてしまう状態だとすれば、隠喩は一見無関係な概念領域を結びつけてしまうことだといえる。

小説家や作詞家のように、なぜこんな表現ができるのかと不思議に思うことがありましたが、これはもしかすると、共感覚によるものによって、一見無関係とも思える者同士を勝手に結びつけてしまうことによって、考えられないような表現ができているのではないでしょうか。

以前は共感覚を持つ人に対して精神疾患ではないかと誤解を受けるということがあったそうですが、その共感覚を持つ人は共感覚をどう受け入れているのでしょうか?

だが、この30年で、共感覚に身体的な原因を示す証拠が相次いで示されている。例えば、共感覚者の脳は各部の結び付き方が異なる。また、遺伝しやすいため、遺伝要素も関係があるとみられる。

実際、ブラング氏らは、この不思議な現象が生き残ってきた背景には、進化的な理由があると考えている。

創造的思考においてある種のメリットを得られるためだ。

「共感覚者の95~99%が自身の共感覚を喜んで受け入れている。そして、生活の質を高めてくれると述べている」とブラング氏は話す。

共感覚は、クリエイティブな思考においてメリットが得られるため、共感覚を持つ人は共感覚を喜んで受け入れているそうです。

今後、よりクリエイティブな能力が求められるようになってくるはずです。

その時に共感覚の研究が役に立ってくるのかもしれませんね。







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