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枕が高いと脳卒中になる?枕の高さが高いほど突発性椎骨動脈解離患者の割合が大きい!|国立循環器病研究センター




枕の高さが高いほど突発性椎骨動脈解離患者の割合が大きい
枕の高さが高いほど突発性椎骨動脈解離患者の割合が大きい

参考画像:枕の高さが高いほど突発性椎骨動脈解離患者の割合が大きい|国立循環器病研究センター

枕が高いと脳卒中になる? ―特発性椎骨動脈解離と高い枕の関係と、殿様枕症候群の提唱―(2024/1/30、国立循環器病研究センター)によれば、脳卒中の原因の一つである特発性椎骨動脈解離は枕が高いほど発症割合も高いことがわかりました。

今回の研究で興味深いところはこちら。

1)脳卒中は通常高齢者に起こる病気ですが、若年-中年者にも特殊な原因で起こることがあり、特発性椎骨動脈解離はその原因の一つで、首の後ろの椎骨動脈という血管が裂けてしまうことで脳卒中を起こる

2)枕が高ければ高いほど、特発性椎骨動脈解離の発症割合が高いことも示唆されました

3)日本では17−19世紀に殿様枕と呼ばれる高く硬い枕が使われていて、1800年代の複数の随筆には、「寿命三寸楽四寸(12cm程度の高い枕は髪型が崩れず楽だが9cm程度が早死にしなくて済む)」といった言説が流布していたと記載があったことから、当時の人々は高い枕と脳卒中との隠れた関連性を認識していた?

4)椎骨動脈解離は欧米に比べて東アジアで極端に多いことが知られていましたが、有力な遺伝因子や環境因子の候補はこれまで見つかっておらず、硬くて高い枕という文化的要素が椎骨動脈解離が東アジアで多い理由になるかもしれない

寝る時に枕を高くしてスマホを使ったりテレビを見てたりすると首が曲がって負荷がかかり、脳卒中リスクが高まる可能性があるので、注意しましょうね。

→ 脳卒中の前兆・原因・予防 についてくわしくはこちら







鼻をほじるとアルツハイマー型認知症になるリスクが高まるって本当?

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「鼻をほじるとアルツハイマー病のリスクを高める…」研究結果発表される(2022/11/9、Newsweek)を簡単にまとめると、これまで「肺炎クラミジア(ヒトに感染して肺炎を引き起こす)」がアルツハイマー型認知症の危険因子のひとつと考えられていて、豪グリフィス大学の研究チームが行ったマウスによる実験を参考にすると、肺炎クラミジアが鼻腔と脳の間に伸びる神経を用いて中枢神経系に侵入し脳に感染したことから、鼻をほじったり、鼻毛を抜く行為で粘膜を傷つけてしまうと脳に侵入する細菌が増えて認知症を起こす恐れがあるそうです。

→ 認知症対策|認知症に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら

ただ、鼻ほじりがアルツハイマーのリスク高めるとの研究に異論(2022/11/4、Gadget Gate)によれば、認知症の発症には様々な要因があり、鼻ほじりによる細菌感染と認知症の仮説は飛躍しすぎている可能性があるというのが2022年の段階でした。

鼻ほじりがアルツハイマー型認知症の発症リスクを高めるというアイデアは馬鹿げたもののように思えましたが、2024年にはまだ研究が進んでいました。

Zhou, X.; Kumar, P.; Bhuyan, D.J.; Jensen, S.O.; Roberts, T.L.; Münch, G.W. Neuroinflammation in Alzheimer’s Disease: A Potential Role of Nose-Picking in Pathogen Entry via the Olfactory System? Biomolecules 2023, 13, 1568. https://doi.org/10.3390/biom13111568

鼻ほじがアルツハイマー病のリスクを高める仕組みを科学者が明らかに(2024/2/8、Sciencealert)によれば、近年の研究でアルツハイマー病における神経炎症プロセスが外部から侵入する病原体が関与している可能性があり、鼻をほじると病原菌を押し込むリスクが高まる、鼻毛を抜くとバリア機能が低下するというように感染リスクが増加することから鼻をほじる行為による細菌感染と認知症仮説は研究するに値するものと言えそうです。

また、鼻ほじりの習慣と新型コロナウイルス感染症の感染リスクとの関連性が示されているそうで、手をきれいに洗う、鼻をほじらないということが私たちが日ごろからできるウイルス対策、認知症予防の一つになっていくかもしれませんね。

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「ペット飼育と認知症発症リスク」犬の飼育を通じた運動習慣や社会との繋がりにより認知症の発症リスクが低下することが初めて明らかに(2023/10/24、東京都健康長寿医療センター)によれば、犬を飼っている人は、飼っていない人に比べて認知症が発症するリスクが40%低いことがわかりました。

一方で、猫を飼っている人と飼っていない人では認知症の発症リスクに差はみられなかったそうです。

このことからペットを飼っているから認知症発症リスクが低くなるのではなく、犬の散歩での運動習慣や飼い主同士のコミュニケーションによって社会的孤立から逃れ社会とのつながりを持っていることが認知症発症リスクを下げていると考えられます。

12の危険因子を知って認知症を予防しよう!でも紹介しましたが、社会的交流・社会的接触を増やして社会的孤立を防ぐ、運動不足を解消することは認知症を防ぐ要因となっています。

認知症を予防するためにも、運動する習慣を持ち、社会的つながりを作っていきましょう!

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なすなかにし那須さんの病気は脳梗塞!緊急のカテーテル手術を受け、現在は治療に専念するため休養

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なすなかにしの那須晃行(43)が脳梗塞を発症し緊急のカテーテル手術を受けたそうです。

脳梗塞とは?

脳梗塞とは、脳の動脈が詰まることで発症する病気です。

国内の脳卒中死亡は、かつて脳出血が大半を占めていましたが、近年、脳梗塞が主流を占めるようになっています。

●脳梗塞の症状

脳梗塞の症状の特徴は次の通り。脳梗塞の症状が現れたら、すぐに病院で受診しましょう。

※脳の血管が閉塞する部分によって症状が異なり、また、広い範囲の脳梗塞の場合は症状が重くなるそうです。

1.片側手足の運動障害

腕が重い
腕が上がらない
手で物がつかめない
足が重い
歩けない
立ち上がれない

2.言葉の障害

言葉が不明瞭になる
呂律が回らない
言葉が出てこなくなる
言葉が理解できなくなる

3.めまい・ふらつき・歩行障害

めまい
体がふらつき歩くことができない
一人で立っていられない
歩くと片方に傾く

4.眼の障害

片方の目が急に見えなくなる
視野が狭くなる
そばにいる人や物に気づかない

5.意識障害(意識の混濁)

話しかけても反応がない
いびきをかく

■脳梗塞のサイン「しびれ」の原因が脳にあるのかどうか見分ける方法

●左右どちらか片方だけがしびれる

●これまで感じた事がない、しびれが長く続く

チェック方法1

両腕を前に伸ばし、肩の高さまで上げます。
手の平を上に向けた状態で目をつぶってください。
10秒間、水平を保てれば大丈夫なのだそうです。
※手が自然と回ってしまったり、手が自然と落ちてしまうと、脳の病気の可能性があるそうです。

チェック方法2

つま先とかかとをつけながら一直線に歩く
大きくふらつかずに歩ければOK
※脳に問題がある場合は、平衡感覚が狂い、バランスを崩してしまい、身体がふらついて、まっすぐに歩くことができないそうです。

●FAST

米国脳卒中協会では、脳卒中を疑う人を見たら、3つのテストをするように勧めており、その頭文字を取って「FAST」と読んでいます。

Face 顔に歪みがある・顔の片側が下がっている

Arm 腕がだらんとする・片腕に力が入らない

Speech 呂律が回らない・言葉が出てこない

Time 発症時刻を確認してすぐ119番を!

■脳卒中(脳梗塞)の原因・リスク要因

●動脈硬化

動脈硬化とは、動脈にコレステロール中性脂肪などがたまって、詰まったり、硬くなったりして弾力性や柔軟性を失った状態をいい、動脈硬化になると、スムーズに血液が流れなくなります。

コレステロールなど血液の脂質が、動脈にたまったり、酸素や栄養が不足したり、高血圧により常に血管に負担がかかったりしていると、動脈は弾力性を失い硬く、もろくなってしまいます

動脈硬化の危険因子には、高血圧脂質異常症高脂血症)、糖尿病、肥満、喫煙、運動不足、偏った栄養バランスの食事、アルコール、加齢、ストレスの有無などがあり、動脈硬化が進行すると、日本人の死因の主な原因である心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)を引き起こす恐れがあります。

フィンランドのヘルシンキ大学病院の研究チームによれば、男性は40代になると、喫煙や高血圧、コレステロール値、血糖値などの原因が脳卒中のリスクを高めるようになり、また、35歳から動脈硬化も増加し始めることが分かったそうです。

動脈硬化の症状・予防・原因・改善 について詳しくはこちら

●不整脈(心房細動)

<不整脈>飲酒量の増加で危険性高まるによれば、心房細動が起きると、心臓内の血がよどんで血のかたまりができやすくなり、それが脳の血管に詰まると重症の脳梗塞につながるそうです。

動脈硬化を予防してフィブリンを固まらせないようにして血栓を作らせないようにしよう|ためしてガッテン 8月24日によれば、血栓ができる時の心臓の動きをよく観察すると、動きが悪くて鼓動が不規則の状態(「心房細動」という不整脈の一種)になっており、心臓の中で血液がよどんで固まりやすくなるのです。

●ストレス

仕事量が多いのに自分で判断できる裁量範囲が狭い「強いストレスを伴う仕事」についている女性は脳卒中や脳梗塞になりやすいことがわかったそうです。

●長時間労働

英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのミカ・キビマキ(Mika Kivimaki)教授らの研究によれば、週の労働時間が55時間以上の人は、35~40時間の人に比べて脳卒中のリスクが33%高まる可能性があるそうです。

●HbA1cの値が高いこと

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値が高いと、心筋梗塞や脳卒中の危険性が強まるそうです。

HbA1cが高いと、動脈硬化が進んでしまうため脳卒中の発症リスクが高くなると考えられます。

→ 糖尿病の診断基準(血糖値・HbA1c) について詳しくはこちら

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なぜHBA1Cの値が高いと心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるのか?
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●握力低下

カナダ・マクマスター大学(McMaster University)が主導した国際研究チームは、握力が健康のバロメーターになる可能性についての研究を行ない、その結果、握力が低下すると、心臓発作や脳卒中の発症リスクの増加に関係していることがわかったそうです。

握力が強いほど長生き?で紹介した厚生労働省研究班の約20年間にわたる追跡調査によれば、握力が強いほど長生きする傾向があり、また循環器病発症リスクも低かったそうです。

●大量の汗をかくことで体内の水分量が減少する

大量の汗をかくことなどで体内の水分量が減少し、血液の粘度が増し、血栓ができやすくなり、脳梗塞になっていると考えられます。

●睡眠不足

睡眠不足は心臓に負担がかかり、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)などによる突然死のリスクを高めることが研究でわかっているそうです。

■脳梗塞予防|脳卒中のリスクを下げる方法

●生活習慣の改善に取り組む

厚生労働省研究班の大規模調査によれば、2型糖尿病患者が積極的な生活習慣改善に取り組むと、従来の治療だけを受けた患者に比べ、脳卒中の発症が少なくなることがわかったそうです。

●食事

●タウリン

肝臓機能が強くなければ、LDLコレステロールを処理することはできません。

肝臓の機能が低下すると、コレステロールは処理できなくなり、血液中に溜まってしまい、動脈硬化や高コレステロール血症などを引き起こしてしまうのです。

タウリンとは、カキ・イカ・ホタテなど魚介類に多く含まれる成分です。

肝機能をアップさせ、コレステロール処理能力を高める働きを持っています。

→ タウリンの多い食品 について詳しくはこちら

→ 悪玉コレステロールを下げる食事・食品 について詳しくはこちら

●食物繊維

45歳以上の男女約8万7千人を約10年間、追跡調査を行い、食物繊維の摂取が多いグループは、そうでないグループに比べて、脳卒中や心筋梗塞などの循環器病の発症リスクが低かったそうです。

水溶性の食物繊維よりも不溶性食物繊維のほうが脳卒中のリスクを下げる効果が高かったそうです。

→ 食物繊維の多い食品 について詳しくはこちら

●オメガ3(αリノレン酸・EPA)

エゴマ油やアマニ油などのαリノレン酸は体内に入るとEPAに変換されます。

EPAは血管をしなやかに保つとされる血管内皮細胞に吸収されて、血管をしなやかにしてくれるそうです。

→ DHA・EPAの効果・効能・食品・摂取量 について詳しくはこちら

→ えごま(エゴマ油)の栄養・健康効果(効能) について詳しくはこちら

→ オメガ3 について詳しくはこちら

●運動

●歩く

糖尿病予備軍の人が、一日20分歩くだけで心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが8%低くなるそうです。

2000歩という歩数は、ふつうの早さでの20分間の歩行に相当するそうです。

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【ガッテン】血栓を溶かす方法は運動をして「t-PA」を増やす|血栓の原因はフィブリン|脳梗塞・心筋梗塞予防

女性の場合、日頃からこまめに歩くようにすることが、脳卒中の発症リスクを低くするようです。

歩行を含めた適度な運動は高血圧を防ぐ効果があると言われるため、脳卒中リスクを低くしていると考えられます。

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脳卒中、速足女性はリスク減 こまめに歩くことにも同様の効果

●軽いジョギング or 鼻歌ウォーキング

軽いジョギングなどの有酸素運動をすると、血管の内側の内皮細胞が整列して血流が良くなるそうです。

すると、血管を広げる作用がある「NO(一酸化窒素)」という物質がより多く出るようになって広がりやすさがアップすると考えられています。

血管が広がりやすくなれば、血圧が安定して血管を傷つけにくいので、動脈硬化になりにくいのです。

鼻歌ウォーキングを 1日30分週3回行なうと、3週間で血管弾力15%UPしたそうです。

運動でも血流が良くなるので一酸化窒素による血管若返りが期待できるそうです。

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血栓の原因は心房細動や動脈硬化でフィブリンが固まってしまうことにあった!?|ためしてガッテン

●その他

●脈拍を測る習慣を作って、脳梗塞の原因となる心房細動を見つける

心臓は、心臓の上の方に位置する「洞結節(どうけっせつ)」で電気が作られ、電気の通り道である「伝導路(でんどうろ)」を通り、心臓全体に流れ、筋肉が収縮して動いています。

心房細動は不整脈の一種ですが、不整脈は心臓の動く仕組みに何らかの問題(例えば、洞結節で電気が作られない、伝導路をうまく伝わらない)が起こることによって、心臓が規則正しく動かなくなってしまいます。

通常、心臓は規則的に一分間に60から100回拍動しますが、心房細動になると、心臓は不規則に300回以上拍動します。

<不整脈>飲酒量の増加で危険性高まるによれば、心房細動が起きると、心臓内の血がよどんで血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが脳の血管に詰まると重症の脳梗塞につながるそうです。

動脈硬化を予防してフィブリンを固まらせないようにして血栓を作らせないようにしよう|ためしてガッテン 8月24日によれば、血栓ができる時の心臓の動きをよく観察すると、動きが悪くて鼓動が不規則の状態(「心房細動」という不整脈の一種)になっており、心臓の中で血液がよどんで固まりやすくなっているそうです。

脈をとって脳梗塞の原因となる心房細動を見つけましょう!

そして、脈が不規則に乱れていたら循環器科を受診するようにしましょう。

→ 脳梗塞の症状・原因・予防 について詳しくはこちら

→ 脈拍|脈拍数(心拍数)の正常値・脈の変化でわかる病気・脈拍の簡単な測り方 について詳しくはこちら







歩き方でわかる認知症になりやすい(認知機能が低下している)人の特徴とは?




歩き方でわかる認知症になりやすい(認知機能が低下している)人の特徴とは?
歩き方でわかる認知症になりやすい(認知機能が低下している)人の特徴とは?

Tyler Nix|unsplash

実は歩き方で認知症になりやすい(認知機能が低下している)人の特徴があることを知っていましたか?

その特徴は「歩幅」と「歩行速度」に現れてきます。

■歩幅

歩幅が狭い人は要注意 認知機能が低下しやすい人の特徴|東京都健康長寿医療センター研究所

血液の成分よりも、歩幅の方が認知機能との関係が強かったのです。さらに詳細な分析を行なったところ、男性では早く歩いた時の歩幅が、女性では通常歩いているときの歩幅がそれぞれ狭い群の認知機能低下のリスクが約4倍、5倍ととても大きくなることがわかりました。

歩幅の狭い人は認知機能が低下しやすい人の特徴なのだそうですが、歩幅の狭さと認知機能の低下にはどのような関係があると考えられるのでしょうか?

歩幅広げて認知症を予防狭いと高まる発症リスク(国立環境研究所 谷口優主任研究員)

歩く速度は歩幅と歩調(テンポ)で決まるが、認知機能と関連するのは歩幅で、歩調は関連がなかった。理由について谷口主任研究員は「歩幅の調整は、脳の中で多くの部位が関係しています。そのため、歩幅が狭くなっている場合は、脳のどこかで異変が起こっている可能性が考えられます」と指摘する。

 歩幅を広げることは単純なようだが、足腰の筋肉を適切に使い、転ばないようバランスを保つ必要がある。逆に言えば、歩幅を広げることができれば脳が正常に機能しているとも考えられるという。

歩幅の調整と脳には関連があり、そのことが認知機能と関連しているのではないかと考えられるそうです。

ここから考えられるもう一つの可能性は、意識的に歩幅を広げることにより、認知機能を取り戻せる可能性があるのではないかという点です。

つまり、体の動かし方を意識的に変えることで、脳に何らかの影響を与えて、認知機能を回復させることができるかもしれないというわけですね。

MCI(軽度認知障害)の14%が認知症に進み、46%は正常に戻る|国立長寿医療研究センターによれば、「MCI(軽度認知障害)」の65歳以上の愛知県大府市の住民を4年間追跡調査したところ、14%が認知症に進んだ一方、46%は正常に戻ったそうです。

うつ病性仮性認知症対策|前頭葉の血流を増やす方法は有酸素運動(散歩など)+知的刺激(川柳など)|たけしのみんなの家庭の医学によれば、国立長寿医療研究センターでは、暗算やクイズなどの課題を解きながら速足で歩いたりするような、頭を使いながら有酸素運動する、「コグニション」(認知)と「エクササイズ」(運動)を組み合わせ「コグニサイズ」を勧めており、週1回90分の運動プログラムを10か月間参加したグループでは、認知機能や言語機能が維持されており、また脳の特定部位の萎縮傾向がなかったそうです。

■歩行速度

歩行速度は認知機能低下を予測|長寿科学振興財団

歩行速度は認知機能の低下および認知症の優れた予測因子である。本研究では、こうした知見を報告した17の縦断研究についてメタ分析を行い、歩行速度が速い群に比べて遅い群のリスク比が、認知機能低下で1.89(95%CI=1.54-2.31)、認知症で1.66(1.43-1.92)であることを報告した。

「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命によれば、『認知症予防アプリ』は、東京都健康長寿医療センターの大渕修一医学博士監修のもと、歩行速度を継続的に測定し、将来の認知症・MCI(軽度認知障害)のリスク予兆が発見された場合に本人と家族に通知するアプリとなっており、歩行速度の低下をきっかけとして運動習慣を見直し、認知症・MCIを予防することを目指しているものです。

日頃から歩行速度を計測することにより、歩行速度の低下→認知症のサインとなるということなんですね。

■下り坂・階段を下る

もう一つ認知症とは関係ないのですが、下り坂・階段を下ることが怖くなってくることが筋量が落ちているサインとして知られています。

老化のスピードが速い大腿筋を鍛える方法によれば、階段を「降りる」動作は、大腿筋にとって比較的強い刺激になると同時に、前の筋肉がブレーキとして機能していることを認識できるそうで、階段を降りることが怖くなってきたら、筋量が落ち非常に危険な状態なのだそうです。

■まとめ|歩くことは認知症予防につながる

運動不足の成人、世界で14億人余り|運動する人を増やすために考え方をアップデートしよう!で紹介した世界保健機関(WHO)が世界168か国・地域の190万人を対象に2016年の運動量を追跡調査し、英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された論文によれば、運動不足が原因で心臓病や糖尿病などの病気にかかるリスクが高まっている成人が世界で14億人あまりいるそうです。

また、健康づくりには歩行「1日60分以上」、筋トレ「週2~3回」を国が推奨へで紹介した厚生労働省の専門家検討会は、健康づくりのために推奨される身体活動・運動の目安となるガイド案をまとめ、歩行については成人は「1日60分(1日約8千歩)以上」、高齢者は「1日40分(1日約6千歩)以上」を推奨しました。

歩行は、なぜ認知症予防につながるのか?|東京都健康長寿医療センター

70~80歳の女性の認知機能テストの成績と日頃の運動習慣の関係を調べた研究によると、日頃よく歩く人はテストの成績が良く、少なくとも1週間に90分(1日あたりにすると15分程度)歩く人は、週に40分未満の人より認知機能が良いことがわかっています

一日に歩く時間が長い人ほど認知症になりにくい!40代・50代は認知症予防のためにも運動する時間を増やそう!|東北大で紹介した東北大の遠又靖丈講師の研究グループの研究によれば、一日に歩く時間が長い人ほど認知症になりにくく、仮に「30分未満」「30分~1時間」のグループが歩行時間を増やして、一段階上のグループに移ると、認知症になる割合が低く抑えられることが分かったそうです。

日頃から「歩幅」と「歩行速度」を意識して、歩行時間を増やし、認知症を予防していきましょう!