高血圧やダイエットに「8秒間のジャンプ」が効果的? マイナス10kgを成功させた高血圧専門医が徹底解説!(2025年2月9日、Women’s Health)によれば、高血圧専門医で愛媛大学大学院の伊賀瀬道也先生が高血圧対策の運動療法には“8秒ジャンプ”を提唱しています。
詳しくは元記事をご覧いただくとして、気になるポイントをまとめてみます。
1)高血圧対策は中強度の運動が推奨される=ジャンプがいい(有酸素運動と筋トレの両方できる)
ジャンプとほぼ同じ運動である縄跳びは速く飛ぶと12.3メッツに相当し、分速80mの速足歩きは3.5メッツで、ジャンプの運動強度は約3.5倍となり、ジャンプを1日に約10分行えば、約30分以上歩いたのとほぼ同じ効果が得られます。
ちなみに、伊賀瀬先生は8秒ジャンプで高血圧が改善し19キロのダイエットに成功したそうです。
メッツ(METs metabolic equivalents)
厚生労働省が定めた体内の脂肪を減らす運動量を示した数値)
異所性脂肪を取り除くには、1週間に23メッツ・hが必要。
※身体活動の強度×身体活動実施時間(h)=身体活動の量(メッツ・h)
一時間行ったときのメッツの量
ボウリング 3メッツ・h
洗車 4.5メッツ・h
山登り 7.5メッツ・h
自転車 8メッツ・h
平泳ぎ 10メッツ・h
掃除2時間 8メッツ・h
筋トレ2時間 8メッツ・h(筋トレは激しく体が動くのはごく一瞬なので)
散歩 3.5メッツ・h
ギター演奏 2メッツ・h
釣り 2.5メッツ・h
ヨガ 2.5メッツ・h
荷物の積み込み 3メッツ・h
階段の昇り降り 3.5メッツ・h
卓球 4メッツ・h
バドミントン 4.5メッツ・h
草むしり 4.5メッツ・h
バレエ 4.8メッツ・h
ドッジボール 5メッツ・h
エアロビクス 6.5メッツ・h
テニス 7メッツ・h
サッカー 7メッツ・h
ラグビー 10メッツ・h
2)ふくらはぎの刺激で全身の血液循環がよくなって血圧が下がる
【補足】
足先を温めるためには、ふくらはぎを温めればよい!?や手足の荒れ、「冷え」が犯人 マッサージで血行改善によれば、血液を送るポンプの役割を果たすふくらはぎをマッサージをするのが効果的なのだそうです。
3)内臓脂肪は運動で減らしやすい→高血圧の人はやせると血圧が下がりやすくなる
■8秒ジャンプのやり方
8秒ジャンプのやり方は1秒間に2回を目安に8秒間ジャンプするだけ。
何セットでもいいのですが、5月16日放送THE TIMEでは8秒を5セットを目安にしていました。
■8秒ジャンプが高血圧改善に役立つと期待される理由
●“適度な運動”が⾼⾎圧を改善するメカニズムをラットとヒトで解明 〜頭の上下動による脳への物理的衝撃が好影響〜(2023年7月7日、東京大学)によれば、軽いジョギング程度の運動中、足の着地時に頭部(脳)に伝わる適度な物理的衝撃により、脳内の組織液(間質液)が動き、これにより脳内の血圧調節中枢の細胞に力学的な刺激が加わり、血圧を上げるタンパク質(アンジオテンシン受容体)の発現量が低下し、血圧低下が生じることが、高血圧ラットを用いた実験で分かりました。
さらに、この頭部への物理的衝撃を高血圧者(ヒト)に適用すると、高血圧が改善することを世界で初めて明らかにしました。
【参考リンク】
- Murase, S., Sakitani, N., Maekawa, T. et al. Interstitial-fluid shear stresses induced by vertically oscillating head motion lower blood pressure in hypertensive rats and humans. Nat. Biomed. Eng 7, 1350–1373 (2023). https://doi.org/10.1038/s41551-023-01061-x
●ある研究によれば、有酸素運動または筋力トレーニング単独と比較して、12 週間の有酸素運動と筋トレの組み合わせ運動は、高血圧のリスクが高い人にとってより効果的だったことがわかりました。
【参考リンク】
- Alemayehu A, Teferi G. Effectiveness of Aerobic, Resistance, and Combined Training for Hypertensive Patients: A Randomized Controlled Trial. Ethiop J Health Sci. 2023 Nov;33(6):1063-1074. doi: 10.4314/ejhs.v33i6.17. PMID: 38784482; PMCID: PMC11111269.
●軽いジョギングなどの有酸素運動をすると、血管の内側の内皮細胞が整列して血流が良くなるそうです。
すると、血管を広げる作用がある「NO(一酸化窒素)」という物質がより多く出るようになって広がりやすさがアップすると考えられています。
血管が広がりやすくなれば、血圧が安定して血管を傷つけにくいので、動脈硬化になりにくいのです。
鼻歌ウォーキングを 1日30分週3回行なうと、3週間で血管弾力15%UPしたそうです。
運動でも血流が良くなるので一酸化窒素による血管若返りが期待できるそうです。
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■まとめ
今回の記事では書かれていませんでしたが、8秒ジャンプは1日に8秒ジャンプ×5セットを推奨していたのですが、これにも実はメリットがあると思います。
それは現代人は座りすぎであり、8秒ジャンプは細切れ時間に立ち上がってする運動として最適だからです。
座りすぎが病気の原因になる!?|1日11時間以上座っている人は死亡リスクが1.4倍|#あさイチ(NHK)で紹介した最新の研究によれば、座ることをこまめに中断し、立ち上がって動くことで、血液中の糖や中性脂肪の値が改善することがわかってきているそうです。
近年、家事などの日常生活活動が該当する、非運動性身体活動によるエネルギー消費、別名NEAT(non-exercise activity thermogenesis)と肥満との関連が注目されています。
Levine et al., は、肥満者と非肥満者を比べると、非肥満者は歩行なども含めた立位による活動時間が、平均で1日約150分も少なかったと報告しました(図1)。
つまり、なるべく座位活動を減らして、家事などの日常生活活動を積極的に行なうことも、肥満予防のキーポイントといえます。
<中略>
肥満の人とそうでない人を比較すると、肥満の人は、立位または歩行活動が平均で1日約150分も少なかったそうです。
この結果から判断すると、座位活動を減らして、家事などを行う時間を増やすことや歩行活動をすることが肥満予防・メタボリックシンドローム予防、ダイエットにつながりそうです。
宮下政司さん(東京学芸大学)によれば「20~30分座り続けたら、2~3分立って動く」のを目安にするとよいと話しています。
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ためしてガッテン(NHK)5月12日 AMPキナーゼを運動で活性化させ、血糖値や中性脂肪を下げる
・宮下政司 次席研究員 (早稲田大学スポーツ科学学術院)が、有酸素運動 の効果に関して画期的な研究成果を発表したそうです。
自転車こぎ 3分間の運動を一日に10回をしてもらいます。
翌日、脂肪を多く含んだ食事をとってもらい、血液中の中性脂肪の量を詳しく調べたところ、前日運動しない場合に比べ、中性脂肪値が下がっていることがわかったそうです。
運動後1日たっても筋肉に脂肪がたまりにくくなっていたということです。
脂肪を燃やす有酸素運動は、一般的に長い時間行わなければいけないといわれていますが、3分間細切れに行なった運動でも中性脂肪を低下させる効果が出るということです。
筋トレ1日3秒でも効果あり!/1日3秒間でも全力で「伸張性収縮」をすることで筋力がアップすることが明らかに!|新潟医療福祉大学でもあるように、最近の研究では運動は短い時間でも効果があることがわかっています。
つまり、8秒ジャンプは「立ち上がること」+「細切れ時間の運動」という効果もあるのです。
ちなみに、脚が細くなる方法はつま先立ちでジャンプ!やり方と注意点!|#ホンマでっかTVの記事が最近よく見られていて、その理由がわからなかったのですが、もしかするとこれが理由だったのかもしれません。(脚が細くなる方法はつま先立ちで10秒ジャンプ。)