最近は腸内細菌(腸内細菌叢)に関するニュースに注目が集まっています。
そこで、今回は腸内細菌に関するニュースをまとめてみたいと思います。
今一番の注目のニュースはコレ!
■日本人の大腸がん患者の5割に腸内細菌のコリバクチン毒素が関与か/若年者の大腸がん発症増との関連も
日本人の大腸がん患者の5割に、一部の腸内細菌から分泌されるコリバクチン毒素による変異パターンが存在することであり、コリバクチン毒素による変異パターンは、高齢者症例(70歳以上)と比べて若年者症例(50歳未満、大腸がん全体の約10%を占める)に3倍多い傾向がみられ、日本をはじめ世界的に問題視されている若年者大腸がんの重要な発症要因である可能性が示唆されました。
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■砂糖の摂りすぎで腸内細菌叢が変化し脂質代謝異常(脂肪肝や高脂血症)やメタボリックシンドロームが起きている!?
砂糖(ショ糖、スクロース)のとりすぎによって起こるメタボリックシンドロームへつながる脂質代謝異常(脂肪肝)、高中性脂肪血症が腸内環境の変化によるものであることがわかりました。
今回の研究によれば、砂糖の摂りすぎにより大腸の腸内細菌叢が変化していること、腸内細菌叢の変化が脂肪肝や高中性脂肪血症の原因であることを突き止めました。
■あなたの腸内は肉派?野菜派?どんな食べ物を食べているかで腸内細菌叢が変わる!その影響は健康や環境にも関わってくる!
学術誌「Nature Microbiology」で発表された研究によれば、食べ物によって腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう;マイクロバイオーム)が変わり、そしてそれが健康に直結していることがわかります。
腸内細菌叢は、腸に住む何兆もの微生物のコミュニティで、消化や免疫、心臓代謝の健康に深く関わっており、食べ物の種類によって細菌の種類や働きが大きく左右するため、食習慣が健康や病気リスクにどうつながるかを理解する鍵になります。
大事なことはあなたが選択する食べ物によって腸内細菌が変わるということであり、健康になれるかどうかも決まるということ。
日本人は食物繊維が不足していて、WHOの摂取基準は「1日25g以上」に対して、日本人の若者は13gほどしか摂っていないことや「フレイル」の高齢者は圧倒的に食物繊維の摂取量が少ないことなどが紹介されています。
■血液透析患者においてグラノーラの摂取による血圧の低下や腸内環境の改善を確認/カルビーと順天堂大学の研究
カルビーと順天堂大学の共同研究によれば、血液透析患者においてグラノーラの摂取による血圧の低下や腸内環境の改善を確認したそうです。
血液透析を受けている患者さんは、腎臓の機能が低下していて塩分や果物・野菜の摂取を厳しく制限する必要があるため、食物繊維が不足して腸内環境が悪化し、便秘症状を抱えていて、腸内環境の悪化は高血圧にも関与していることがわかっていることから、塩分が少なくなおかつ食物繊維が多い食品を摂るのが良いのではないかと考えられます。
■オレンジなど柑橘類を1日1個食べるとうつ病リスクが20%低下する可能性/ハーバード大学
ハーバード大学の研究によれば、オレンジを1日1個食べると、うつ病のリスクが20パーセント低下する可能性があるそうです。
これは、柑橘類が人間の腸内に生息する細菌の一種であるフェカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(F.プラウスニッツィイ)の増殖を刺激し、神経伝達物質である幸せホルモン(セロトニンとドーパミン)を作りやすくしてくれて、それが脳に届き気分を良くしてくれるそうです。
■まとめ
最近の研究では、食べ物によって腸内細菌叢が変化し、健康(体も心も)に影響を与えることがわかってきていています。
あるものを摂りすぎると病気になり易かったり、あるものを食べるとうつ病リスクが低下したりと腸内細菌(腸内細菌叢)を意識することが大事なんですね。
メタボリックドミノを予防するカギは「腸と腎臓」!腸の炎症と慢性腎臓病を避けるにはどんな食事をするといいの?や肥満になっても腸管で炎症が起こらないと糖尿病になりにくい!?|慶大で紹介した慶應義塾大学医学部内科学教室の川野義長助教、中江淳特任准教授、伊藤裕教授らが行なったマウスの実験によれば、高脂肪食の過剰摂取による大腸の慢性炎症がインスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病の発症につながるという新たな糖尿病発症メカニズムを解明しました。
この研究のポイントは、「肥満になっても、腸管で炎症が起こらないと糖尿病になりにくい」ことを示すものです。
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肥満になったからと言って必ず糖尿病になるわけでではなく、腸管で炎症が起こらないと糖尿病にはなりにくい、つまり腸管での炎症がポイントになるんですね。
また、腸の炎症を抑制するとメタボの症状が引き起こされないこともわかったことにより、メタボリックドミノは腸の炎症から始まるということもわかりました。
そして、腸の炎症が起こりやすくなる食べ方も分かったそうです。
脂肪と糖分を同時に摂取すると、腸の炎症が起こりやすくなることがわかりました。糖分の過剰摂取は腸内細菌の働きを抑制し、腸内の免疫細胞が持つ防御力を弱めます。その後、腸管の表面を覆う細胞によって作られる防御壁が壊れ、そこから脂肪が体内に入りやすくなるのです。体内に脂肪が入り込むと、炎症を引き起こす化学物質「炎症性サイトカイン」が大量に分泌され、腸炎を起点としたメタボリックドミノの最初の駒が倒れはじめます。脂肪と糖分は過剰に摂取すると体に悪いのはもちろん、一気にメタボリックドミノを進めてしまうのです。
糖分の過剰摂取
→腸内細菌の働きの抑制・腸内の免疫細胞の防御力が弱まる
→腸管の表面を覆う細胞によってつくられる防御壁が壊れる
→脂肪が体内に入りやすくなる
→炎症性サイトカインが大量に分泌
→腸の炎症
→メタボリックドミノの進行
つまり、腸の炎症を起こさないような食事としては脂肪と糖分を同時に摂取しないようにすることが大事ということなんですね。
また、「腸腎連関」|腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の悪化を抑制するカギにで紹介した東北大学大学院医学系研究科の阿部高明教授と三島英換医学部助教、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任准教授らのグループによる研究よれば、腸管は腎臓と相互に影響を及ぼしているという「腸腎連関」の存在が近年明らかになりつつあること、そして、腸内細菌叢が腎臓病に対して良い面と悪い面の二面性を有しており、腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の進展予防に重要であると考えられると紹介しました。
腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが間接的に病気の予防になるということもわかってきています。
このように考えると、もっと腸内細菌を改善する生活習慣を意識することが大事になるので、しっかりと実践していきましょう!