【更年期と女性の心臓血管の健康】女性の心血管疾患予防は閉経前後から始めるべき!




■更年期と女性の心臓血管の健康

【参考リンク】

心血管疾患(CVD)は男女共通の病気ですが、女性では診断が遅れがちで、リスクへの認識も低い傾向があります。

女性は生殖期にはエストロゲンというホルモンによって心臓病から守られていますが、閉経後にその保護効果がなくなり、CVDのリスクが高まります。

この論文では、閉経期が心血管疾患(CVD)リスク増加の重要な時期であること、そして中年期の女性の健康をしっかりモニタリングし、早めに介入することの必要性が書かれています。

→ 更年期障害の症状・原因・チェック|40代・50代の更年期 について詳しくはこちら

■心血管疾患とは

心血管疾患は世界で最も多い死因で、冠動脈疾患や脳血管疾患、深部静脈血栓症などが含まれます。

WHOによると、2017年には約1,790万人がCVDで亡くなり、全体の死亡の31%を占めています。

男性は女性より早くCVDを発症しますが、閉経後の女性ではリスクが急増します。

これはエストロゲンの減少が影響していると考えられています。

■女性ホルモンとエストロゲンの役割

エストロゲンは女性ホルモンの一種で、特にエストラジオール(E2)が重要です。

閉経前は卵巣などで作られ、心臓や血管を保護しますが、閉経後は減少します。

エストロゲンは血圧やコレステロール、血管の健康に良い影響を与えます。

しかし、閉経後はコレステロール値や血圧が上がり、CVDのリスクが高まります。

■ホルモン療法(HT)の効果

閉経後のホルモン療法はCVDリスクへの影響が議論されています。

低用量の経口や経皮(皮膚から吸収)のエストロゲンは心臓保護に役立つ可能性がありますが、血栓や脳卒中のリスクも指摘されています。

安全性を考慮し、低用量の経皮エストロゲンや微粒子化プロゲステロンが推奨される場合もあります。

特に閉経後10年以内の女性には比較的安全とされますが、個別のリスク評価が必要です。

■更年期とCVDの関係

閉経期にはエストロゲンの減少により、脂質異常症(コレステロール値の異常)、高血圧、肥満、糖尿病のリスクが増えます。

特に40歳未満で早期閉経した女性は、CVDや糖尿病のリスクが特に高いです。

更年期には体脂肪の増加や血管の柔軟性の低下も見られ、これらが心臓病のリスクを高めます。

■高血圧と脂質異常症

高血圧はCVDの大きな危険因子で、閉経後女性では2倍の頻度で発生します。

コレステロール値も閉経後に上昇し、特にLDL(悪玉)コレステロール中性脂肪(トリグリセリド)が増え、HDL(善玉)コレステロールが減ることがあります。

これらは心臓病のリスクを高めます。

スタチンという薬が脂質異常症の治療に推奨されますが、高用量では糖尿病のリスクが上がる可能性もあるため注意が必要です。

■肥満と糖尿病

更年期には代謝が落ち、体重や脂肪が増えやすくなります。

これが肥満や糖尿病のリスクを高め、CVDにも影響します。

ホルモン療法は血糖や脂質の改善に役立つ可能性がありますが、ライフスタイルの改善(食事や運動)も非常に重要です。

■遺伝と閉経

閉経の時期は遺伝的な要因に大きく影響され、40~60歳で起こります。

早期閉経はCVDリスクを高める遺伝子変異と関連している可能性があり、研究でその仕組みが調べられています。

■結論

女性の心血管疾患(CVD)予防は閉経前後から始めるべきです。

特に早期閉経の女性はリスクが高いため、注意深い健康管理が必要です。

更年期は心血管系の変化が起こる重要な時期で、新しいバイオマーカー(例:AMH)を使って閉経のタイミングを予測し、リスクを管理することが期待されています。

健康的な生活習慣や早期介入が、心臓病予防の鍵となります。

■まとめ

【モーニングショー】閉経後の女性でLDLコレステロールの数値が上がったら、どのように食事に気を付けたらいいの?本当に血管が若返る!コレステロール調節術|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、女性ホルモンには、“悪玉コレステロール”値を下げる作用をはじめ、血管を保護する様々な効果があります。

そのため、40代までの間、女性の血管は男性よりはるかに若く保たれています。

女性ホルモンの値が下がってくる 50才前後になると“悪玉コレステロール”値が急上昇して、男性より高くなることも多くなります。

つまり、女性は閉経のタイミングでこれまでよりも意識的に健康をチェックする必要があるわけですね。

→ 悪玉コレステロールを下げる食事・食べ物|LDLコレステロールが高い原因 について詳しくはこちら

【関連記事】

女性は、閉経後LDLコレステロールの数値が上がったら、コレステロールや飽和脂肪酸が多い食品を食べ過ぎないようにした方がいいようです。

コレステロールが多い食品は、たらこ・かずのこなどの魚卵や白子、レバー、鶏卵など。

飽和脂肪酸が多い食品は、牛乳・バター・チーズ・ヨーグルトといった乳製品など。

LDLコレステロール値を下げるには、食物繊維も積極的に摂りましょう!

【#たけしの家庭の医学】食後高脂血症・隠れ中性脂肪を改善し動脈硬化を予防する方法(水溶性食物繊維&運動)によれば、水溶性食物繊維は、腸に入るとゲル状に変化し、腸の内壁に付いて、脂肪分などの吸収を抑える効果があるそうです。

また、中性脂肪を分解するリポ蛋白リパーゼの働きを活性化してくれるそうです。

そのため、水溶性食物繊維を食事の最初に食べておくと、中性脂肪の急上昇を防ぐことができるそうです。

【水溶性食物繊維を含む食品】

●ネバネバした食品

納豆・オクラ・なめこ・なめたけなど

●海藻類

ノリ・ワカメ・寒天・昆布など

●根菜類

大根・人参・ゴボウなど

→ 食物繊維の多い食品 について詳しくはこちら

→ イヌリンとは|イヌリンの効果・効能|イヌリンの多い食品・食べ物 について詳しくはこちら

→ 動脈硬化改善・予防に良い食事・食べ物・食品 について詳しくはこちら