【家庭料理の視点から】肝臓は70%切っても再生する!だけど脂肪肝になると再生できない!脂肪肝を予防する食事とは?




肝臓専門医の尾形医師のXの投稿によれば、「肝臓は70%切っても再生する。3割あれば3か月で8〜9割まで戻る。でも脂肪肝になると再生できない。」そうです。

■肝臓は70%切っても再生する!

これがその根拠となる論文ですね。

Higgins GM & Anderson RM (1931)
“Experimental pathology of the liver. I. Restoration of the liver of the white rat following partial surgical removal”

肝臓の70%切除モデルを初めて確立した超古典論文で、マウス/ラットで70%切除後1週間でほぼ回復することを示しました。

これがすべての現代研究のスタート地点です。

■脂肪肝になると肝臓の再生を阻害する

なぜ脂肪肝で再生ができなくなるのでしょうか?

●肝細胞内の脂質過剰 → 酸化ストレス↑、ミトコンドリア損傷 → エネルギー不足で増殖できない。
●細胞周期のブロック(特にS期以降)。
●炎症・線維化が進むとさらに悪化(NASH段階)。
●軽度の単純脂肪肝ならまだ再生可能だが、重度・炎症ありで明らかに「再生しにくい」。

つまり、軽度の脂肪肝ならまだ再生できるのですが、重度・炎症ありの脂肪肝の場合は明らかに「再生しにくい」ので、肝臓の再生能力を保つには、いかに肝臓を軽い脂肪肝の段階までで食い止めるかが大事なんですね。

■【家庭料理の視点から】

工藤公康さんの肝臓悪化を救ってくれたのは妻の食事によれば、工藤公康さんは、26歳の時、毎晩お酒を飲み歩くなどの不摂生により、肝臓を悪化させてしまったそうです。

そんな工藤さんを救ってくれたのは、奥様でした。

※過度のアルコール摂取によるアルコール性肝炎、カロリーオーバーの食事による脂肪肝、それと同時にほかの内臓にも脂肪がたまり内臓脂肪の炎症で肝炎を引き起こしていたと考えられる。

工藤さんの奥様が肝臓を回復させるため、たどりついた食事とは、出来る限り多くの食材を使うようにすることだったそうです。

さまざまな食材の組み合わせのキーワードは「まごわやさしい」。

  • 「ま」は豆類。
  • 「ご」はゴマ類。
  • 「わ」はわかめなど海藻類。
  • 「や」は野菜類。
  • 「さ」は魚(魚介類)。
  • 「し」はしいたけなどきのこ類。
  • 「い」は、いも類。

この食事は、肝臓にどのような影響をもたらすのでしょうか。

脂肪抑え目でミネラル・ビタミン・繊維質が多く、脂肪肝の治療になると考えられるそうです。

また、中性脂肪を抑えるために効果的なEPA・DHA等を含む良質なたんぱく源を多く摂っていることもよいそうです。

そして、継続しやすいように炭水化物をしっかり摂っていたこともポイントでした。

→ 脂肪肝とは|脂肪肝の症状・原因・治し方 について詳しくはこちら

■まとめ

肝臓は正常な状態(悪くても軽い脂肪肝)だと再生してくれるそうです。

そのためにも健康に良い食事を継続していきましょう。

大事なことは、おいしくて体に良い食事を続けることが大事ということなんですね。

それこそが無理なく続くコツだと思います。

それって家庭料理と同じなんですよね。

家庭料理の考え方については、こちらの記事でまとめています。

→ なぜ「ばあちゃんの料理」は体にやさしいの?─家庭の知恵から考える、食と健康

家庭料理と同じように、無理なく続けていくことが大切なんですね。







【補足1】

その後に出てきたのが、東京大学分子細胞生物学研究所の宮島篤教授らのチームによる2012年にCurrent Biologyに掲載された研究で、肝臓の再生能力についてこれまでの常識をひっくり返した面白い論文です。

肝臓は体の臓器の中でも一番再生能力が高い臓器で、マウスで肝臓の70%を切除しても約1週間で元の大きさと機能に戻り、人間でも手術で一部をとっても再生することがわかっています。

これまでの肝臓の再生に関する常識は、主に肝細胞が分裂して数を増やすことで起きると思っていました。

しかし、今回の研究によれば、これが間違いだったことがわかりました。

発見のポイントは2つ。

1)肝細胞の「肥大(大きくなる)」が重要であること

70%切除した場合:肝細胞は平均で約0.7回しか分裂しない(=数が増えるのは約1.6倍程度)。でも細胞自体が約1.5倍に大きくなる(肥大)。

→ 肝臓の70%を切除した後の肝臓の再生においては、分裂による細胞数の増加(約1.6倍)と細胞の肥大(約1.5倍)がほぼ同程度に貢献していることを意味しています。

しかも30%しか切除しない軽い場合 → 分裂ゼロで、肥大だけで完全に再生!

→ つまり、肝臓はまず「細胞を大きくする」ことで対応しようとし、それでも足りないときだけ「分裂して数を増やす」という順番だった!

2)肝臓の再生は肥大がメインで分裂は補助的

切除する肝重量を70%から30%にまで減らすと肝細胞は分裂せず、肥大のみによって肝臓が再生することも突き止めました。

つまり、肝臓はまず肝細胞の肥大によって再生し、肥大だけでは不十分である場合にのみ分裂してその数を増やすと考えられます。

【参考文献】

【補足2】

1. 脂肪肝が肝再生を明確に障害することを示した代表的な論文

Allaire M & Gilgenkrantz H (2018)
“The impact of steatosis on liver regeneration”
Horm Mol Biol Clin Investig
→ 脂肪肝(steatosis)は、肝移植後の初回機能不全や手術後の合併症・死亡率増加と関連。再生の初期段階(priming phase)でサイトカイン制御が乱れ、成長因子受容体活性化が弱まり、肝細胞増殖が抑制される。酸化ストレス、自食作用(autophagy)の異常、EGFR欠損などがメカニズムとして挙げられている。

Veteläinen R et al. (2007)
“Severe steatosis increases hepatocellular injury and impairs liver regeneration in a rat model of partial hepatectomy”
Ann Surg
→ 重度の脂肪肝ラットで70% PHx後、肝細胞傷害が増え、再生が明らかに遅れる。軽度脂肪肝ではまだ耐えられるが、重度になると再生能力が大幅に低下。

Shimizu Y et al. (2007)
“Mechanism of impaired regeneration of fatty liver in mouse partial hepatectomy model”
J Hepatobiliary Pancreat Surg
→ db/dbマウス(肥満・脂肪肝モデル)でPHx後、PCNA(増殖マーカー)は出るのに、mid-S期で細胞周期が止まる。Wee1/Myt1キナーゼの低下でCdc2が異常になり、分裂が進まない。

2. 脂肪肝の程度によって再生が異なる(軽度 vs 重度)

Tanoue et al. (various studies around 2010s)
高脂肪食 vs 高フルクトース食の比較で、高脂肪食による軽度脂肪肝では再生能力が正常に近いが、高フルクトースによる脂肪肝では明らかに障害される。遺伝子発現(特にTGF-β1)の違いが関与。
Some studies (e.g., 2002 J Hepatol)
“Steatosis is not sufficient to cause an impaired regenerative response after partial hepatectomy in rats”
→ 単純な脂肪蓄積(steatosis)だけなら再生は保たれるが、炎症を伴うNASHになると障害が顕著。

3. 臨床的・最近の関連レビュー

Michalopoulos GK & various reviews (2010s–2020s)
脂肪肝では肝再生が遅延し、肝不全リスクが高まる。特に生体肝移植のドナー/レシピエントで脂肪肝があると、再生が不十分になりやすい。
Recent papers (2020–2025頃)
MASLD(旧NAFLD)ではミトコンドリア機能障害や酸化ストレスが再生を阻害。ALR(Augmenter of Liver Regeneration)というタンパク質が保護的に働くが、脂肪肝ではこれが低下しやすい。

「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」