「ガリガリ」と「お腹ぽっこり」は正反対?実はどちらも「筋肉」が問題かもしれない

Xで興味深い動画を見かけました。

「サウナには2種類のおじさんがいる」

・ガリガリに痩せたおじさん
・お腹がぽっこり出たおじさん

というものです。

たしかにサウナでは体型がよくわかるので、「痩せている人」と「太っている人」という対比はわかりやすいですよね。

でも、この動画を見ていて、ふと疑問に思いました。

一見すると正反対の体型だけど、実はどちらも「筋肉が少ない」という共通点がある可能性はないのだろうか?

■「痩せている」と「太っている」だけではわからない

私たちは人の体型を見ると、

・痩せている
・普通
・太っている

と、つい体重や脂肪を中心に考えてしまいます。

しかし、ここにもう一つ、

「筋肉」

という軸を加えると、見え方が変わってきます。

ガリガリに見える人は脂肪が少ないだけではなく、筋肉も少ない可能性があります。

一方、お腹がぽっこり出ている人は体脂肪が多くても、必ずしも筋肉が十分にあるとは限りません。

つまり、

脂肪が少ない+筋肉も少ない

人と、

脂肪が多い+筋肉が少ない

人では、外見は正反対に見えても、「筋肉が少ない」という点では共通している可能性があるのです。

もちろん、見た目だけで筋肉量や筋力を判断することはできません。

そこが今回の話で一番大切なところです。

■太っていても筋肉が少ない「サルコペニア肥満」

「太っているのだから、体を支えるために筋肉もあるだろう」と考えてしまいそうですが、そうとは限りません。

肥満・過剰な脂肪の蓄積と、骨格筋量や筋機能の低下が併存する状態として、「サルコペニア肥満」という概念があります。

2022年にESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)とEASO(欧州肥満学会)が発表したコンセンサスでは、サルコペニア肥満の診断にあたり、まず肥満やウエスト周囲径などとサルコペニアの疑いをスクリーニングし、筋機能と身体組成を評価する流れが示されています。筋機能には握力や椅子立ち上がりテスト、身体組成にはDXAやBIAなどが挙げられています。

つまり、

「太っているか、痩せているか」だけでは、筋肉の状態はわからない

ということです。

■サルコペニアは「筋肉の量」だけを見るものでもない

ここでもう一つ重要なのが、「筋肉量」と「筋力」は同じではないということです。

EWGSOP2と呼ばれるサルコペニアの診断基準では、まず筋力を評価し、その後に筋量を測定してサルコペニアを確定し、さらに歩行速度などの身体機能によって重症度を判断するという流れになっています。

筋力の評価には、握力や5回椅子立ち上がりテストなどが使われます。

ですから、

「体重何kg」「BMIはいくつ」

だけを見ていても、身体の状態のすべてはわからないのです。

■昔の記事で紹介した「片足立ちで靴下を履ける?」というチェック

以前、HAKURAIDOUではテレビ番組をもとに、

炭水化物抜き・糖質制限ダイエットの正しい方法|サルコペニア肥満チェック|#林修の今でしょ講座

という記事を書いています。

そこで紹介したのが、

「片足立ちで靴下を履けるか?」

という簡易的なチェックでした。

ただし、これは当時テレビ番組で紹介されたチェック方法として捉えたほうがよいでしょう。

現在使われているEWGSOP2では、SARC-Fによるスクリーニング、握力または5回椅子立ち上がりによる筋力評価、DXAやBIAによる筋量評価、歩行速度などの身体機能評価という診断の流れが示されています。

つまり、片足立ちができる・できないだけでサルコペニア肥満と診断できるわけではありません。

■ダイエットも「何kg痩せたか」だけで考えない

ここまで考えると、ダイエットを見る目も少し変わってきます。

「10kg痩せた」

と聞くと、一般的には「ダイエット成功!」と思います。

でも本当に知りたいのは、

何が10kg減ったのか?

ではないでしょうか。

体重という一つの数字だけではなく、

体脂肪
筋肉量
筋力
身体機能

などを見る必要があります。

特に年齢を重ねてからは、「体重を減らす」ことだけを目標にするのではなく、筋肉や筋力を維持する視点も重要になってきます。

■正反対の体型に見えて、実は同じ問題を抱えているかもしれない

最初のサウナの話に戻ってみましょう。

「ガリガリのおじさん」と「お腹ぽっこりのおじさん」。

見た目だけなら、

痩せ vs 肥満

です。

ところが、筋肉という軸を加えると、

脂肪が少ない+筋肉が少ない可能性

と、

脂肪が多い+筋肉が少ない可能性

という別の見方ができます。

もちろん、サウナで人の体型を見ただけで、サルコペニアやサルコペニア肥満かどうかを判断することはできません。

ただ、この小さな疑問から見えてくることがあります。

健康を考えるとき、体重計の数字や「太っている・痩せている」という見た目だけではなく、「筋肉はどうなっているのか?」という視点を持つことが大切なのではないでしょうか。

「痩せる」という言葉を、

体重を減らすこと

だけではなく、

筋肉・脂肪・筋力を含めて身体をどう維持していくか

というところまで広げて考えてみると、ダイエットに対する見方も変わってきそうです。

【参考文献】

Cruz-Jentoft AJ, et al. Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis. Age Ageing. 2019;48(1):16-31. EWGSOP2では筋力を重視した診断アルゴリズムが示されています。
Donini LM, et al. Definition and diagnostic criteria for sarcopenic obesity: ESPEN and EASO consensus statement. Clin Nutr. 2022;41(4):990-1000.
日本サルコペニア・フレイル学会誌「サルコペニアの診断:現時点でどの診断基準を用いるべきか EWGSOP2基準」







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
この街の歩き方をまとめたページがあります。

▶ はじめての方は
👉 この街の歩き方ガイドから全体を見渡すのがおすすめです。

▶ この街の地図を見る(全体像を把握したい方へ)

※ 無理に読まなくて大丈夫です。
 気になったときに、いつでも戻ってきてください。

この考え方の全体像(意味のハブ)

この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

▶ 料理から見る健康

この街の考え方について

この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。

▶ この街の中心に置いている憲法を読む