【ミルクくず餅レシピ】1.鍋に牛乳と葛粉を入れて混ぜて葛粉を溶かしてから、砂糖と塩を加えて混ぜる。

牛乳はたくさん飲めないけど、牛乳豆腐なら食べられる。農家のおばあちゃんの一言から考える「どうすれば食べられるか」という食事の知恵

先日、佐賀県の太良町の柑橘農家さんを訪ねたとき、「牛乳豆腐」をいただきました。

そのとき、おばあちゃんが佐賀の言葉で、

「牛乳じゃそがん飲まれんばってん、牛乳豆腐にしたら、よう食べらるっとよ」

というようなことを話してくれました。

その場では「なるほど」と聞いていたのですが、後になって、この言葉には食事を考えるうえで大切なヒントが隠れているのではないかと思いました。

牛乳として飲むとそれほど量は入らない。でも、牛乳豆腐にすると意外と食べられる。

同じ牛乳でも、「飲む」から「食べる」に変えることで、思った以上に口にできる。

つまり、私たちが食事や栄養について考えるとき、

「何を食べればいいのか」だけではなく、「どうすれば食べられるのか」まで考える必要があるのではないでしょうか。

■「栄養がある」だけではなく、「実際に食べられるか」まで考える

健康について調べていると、

「カルシウムを摂りましょう」
「たんぱく質をしっかり摂りましょう」
「野菜を食べましょう」

といった情報をよく目にします。

もちろん、それ自体は大切なことです。

でも実際の食事では、

「身体にいいことは分かっているけれど、そんなに食べられない」

という問題があります。

特に高齢になれば、若いころと同じような量を食べることが難しくなる場合もあります。

そこで重要になってくるのが、栄養素の知識と実際の食生活との間を埋める「料理」なのではないでしょうか。

牛乳を飲むのが大変なら、別の料理にしてみる。

硬くて食べにくければ、食感を変えてみる。

一度にたくさん食べられなければ、少量でも食べやすいものにしてみる。

同じ食品でも、形、食感、温度、味、食べ方が変われば、人が実際に口にできる量も変わる可能性があります。

佐賀のおばあちゃんの「牛乳豆腐なら食べられる」という言葉は、そのことを生活の中で経験的に知っているという話なのかもしれません。

■高齢者の低栄養を考えると「どう食べてもらうか」が大切になる

この話を聞いて思い出したのが、以前ハクライドウで紹介した「なめらかすてら」です。

通常のカステラを、高齢者や摂食嚥下機能が低下した人にも食べやすくしようという取り組みでした。

高齢者でも食べやすいカステラ「なめらかすてら」の開発|高齢者の低栄養の問題と嚥下障害の問題を解決する|ゆめカステラプロジェクト
ここでもポイントになるのは、

「カステラにどんな栄養が含まれているか」だけではなく、「どうしたらその人が食べられるか」

という視点です。

食品に栄養が含まれていたとしても、それを食べられなければ実際には摂取できません。

だからこそ、低栄養を考える場合にも「栄養価の高い食品を選ぶ」だけで終わらず、実際に食べてもらうための工夫まで考える必要があるのでしょう。

■でも「高齢者の食事=何でも柔らかく」でもない

ここが食事の面白いところです。

「食べやすくすることが大事」なら、何でも柔らかくすればいいのかというと、そう単純でもありません。

以前紹介した研究では、噛み応えのあるソーセージを食べることが、高齢者の口腔機能にどのような影響を与えるかが調べられていました。

噛み応えのあるソーセージが高齢者の口腔機能改善に有効である可能性

つまり、食べにくい人には食べやすい形にする。

一方で、噛む機能が残っている人には、その機能を使える食事を考える。

大事なのは、一律に「柔らかくする」ことではなく、その人に合った食べ方を考えることなのでしょう。

■未来の介護食も「どうすれば食べられるか」を考えている

さらに興味深いのが、食品3Dプリンタを使った介護食の研究です。

食品3Dプリンタで見た目も食感も楽しい介護食の開発|山形大学

介護食というと「飲み込みやすいように柔らかくする」というイメージがあります。

しかし、食事は単なる栄養補給ではありません。

見た目、形、食感、香り、そして「食べたい」という気持ちも食事の一部です。

そのため、将来は「この人にはどんな栄養が必要か」だけでなく、「この人なら、どんな形や食感なら食べたいと思えるのか」まで考えて食事を作る時代になっていくのかもしれません。

■乳糖不耐症について考えても「食べ方」という視点は面白い

牛乳豆腐の話を聞いて、もう一つ頭に浮かんだのが乳糖不耐症でした。

以前ハクライドウでは、牛乳を一度に大量に摂るのではなく、摂り方を工夫したり、ヨーグルトやチーズなど別の乳製品を利用したりする考え方を紹介しました。

ただし、牛乳を加熱して牛乳豆腐にすれば、乳糖不耐症でも問題なく食べられるという意味ではありません。

今回考えたいのは治療法ではなく、「食べにくいなら、食べ方や食品の形を変えてみる」という発想です。

■昔ながらの家庭料理には「食べてもらう知恵」が隠れているのかもしれない

最新の食品3Dプリンタを使って、その人に合わせた食感や形を作る。

一方で、佐賀の農家のおばあちゃんは、

「牛乳だとそんなに飲めないけど、牛乳豆腐にすると食べられる」

と言う。

やっていることの技術レベルはまったく違います。

でもその根っこには、

どうしたらこの食品を無理なく食べられるだろう?

という共通した考え方があるように感じます。

昔から家庭料理では、大根を煮たり、魚をほぐしたり、豆を煮たり、野菜を刻んだり、食材をさまざまな形に変えてきました。

もちろん、それぞれの料理が栄養学的な目的から生まれたとは限りません。

それでも、その中には長い生活の中で蓄積された、

「こうすると食べやすい」
「こうするとたくさん食べられる」
「こうするとおいしい」

という経験が残されているのかもしれません。

■「何を食べるか」から「どうすれば食べられるか」へ

健康情報では、「何を食べればいいのか」が注目されがちです。

しかし、本当に食生活を変えようとすると、

何を食べるか
×
どう調理するか
×
どんな形で食べるか
×
その人が実際に食べられるか

まで考える必要があります。

牛乳を飲むのは大変だけれど、牛乳豆腐なら思ったより食べられる。

そんな農家のおばあちゃんの何気ない一言から、

「栄養のある食品を探すこと」と「その栄養を実際に食べてもらうこと」は別の問題なのではないか

と考えるようになりました。

栄養学は「何を食べればいいのか」を教えてくれます。

でも、それを「どうすれば実際に食べられるのか」へ変えるのが料理の役割なのかもしれません。

牛乳はたくさん飲めない。でも、牛乳豆腐にすると食べられる。

佐賀県太良町のおばあちゃんの何気ない一言には、そんな昔ながらの「食べてもらうための知恵」が詰まっているように感じました。







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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