by Matt Brown(画像:Creative Commons)
恋をしている人、特に遠距離恋愛をしている人ほど、こう思うかもしれない。
「今、私が見ている風景を○○に見せてあげたい」
しかし、これは厳密にいえば不可能だ。
今話題になっているGoogle Glassのようなスマートグラスでやりたいことは、「今、私が見ている風景を○○に見せてあげたい」を実現することにある。
つまり、「自分が今見ている風景を誰かと共有したい」を叶えてあげようということだ。
ただ、本当に自分が今見ている風景が他人と同じであるかといえば、はっきり違うといえる。
それは、それぞれがそれまで見てきた景色、それまで学んできた知識、それまで経験してきたこと、すべてが違っているからだ。
だからこそ、ある人にとってものすごく感動する物事であっても、他人からすれば、なぜこれほど感動するのかわからないということが起こりうるのだ。
人は、今自分が見ている景色が他の人と同じように見えると思っている。
今自分が見ている景色は、意識的に見ているものと無意識的に見ているものが合わさってできるという複雑なメカニズムでできている。
そのメカニズムを噛み砕いて、とてもざっくりいえば、人は自分が見たいように見ているのだ。
つまり、まったく同じ景色を他人と見ることはできない。
では、「今、私が見ている風景を共有したい」という気持ちをどうしたらよいのか?
「見せてあげたい」のではなくて、直接会って「伝えてほしい」。
本当に見たいのは「風景」ではなくて、「あなた」なのだから。
【追記(2016/11/19)】
VR対応ヘッドマウントディスプレイを使って視界の80%以上を覆うような映像を展開すると、脳はそれを現実のように認識してしまう!?によれば、VRの特徴といえば、「没入感」ですが、VR対応ヘッドマウントディスプレイを使って、視界の80%以上を覆うような映像を見ると、脳はそれを現実のように認識してしまうそうです。
テクノロジーの進歩次第では、もしかすると共有することができるようになるかもしれません。
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