by Garry Knight(画像:Creative Commons)
男女の会話の声の質から二人の将来(結婚するか・しないか)を予測するアルゴリズムの精度が人間セラピストより高かった
(2015/11/25、TechCrunch)
サウスカロライナ大学工学部ビテビ校とユタ大学が共同開発したコンピュータプログラムは、関係治療のセラピーに訪れた100あまりのカップルの何百もの会話を、2年あまりにわたって分析した。
そしてそれらのカップルの、5年後の結婚の状況を調べた。
その結果、カップルの声の「ピッチ」や「強さ」や「震え」や「かすれ」などを分析するそのアルゴリズムが、79%の精度で、それらのカップルの将来を予言できていたことが分かった。5年後に、そのアルゴリズムがポジティブと判断したカップルの多くがめでたく結婚し、ネガティブと判断したカップルの多くは別れていた。
しかもこの79%の精度は、人間セラピストの判断よりも高い精度だった。
サウスカロライナ大学工学部ビテビ校とユタ大学が共同開発したコンピュータプログラムがカップルの会話を分析したところ、79%の精度でカップルの将来を予測することができたそうです。
言葉の使い方が似ているカップルほど交際が長続きする!?で紹介したテキサス大学オースティン校の心理学者によれば、初対面の被験者同士の会話や実際に交際中のカップルの間でのメールやメッセンジャー、チャットなどでの言葉の使い方のパターンを分析したところ、会話スタイルが似ている人々はお互いに好感を持ちやすく、言葉の使い方が似ているカップルほど交際が長続きするそうです。
この研究のポイントは2つ。
一つは、人は好きな相手の話し方や文章のスタイルを意識してまねているのではなく、会話の相手に注意を払っていると無意識に似たような話し方をしてしまうということ。
もう一つは、話し方が似ているからカップルが長続きするというよりも、会話の相手に注意を払っていないため話し方も似ていないカップルは別れてしまうと考えられるということ。
これは、ミラーリング(鏡を見るようにお互いの動きや仕草を真似ること)の考え方に近いですね。
「本音は顔に書いてある」(著:アラン・ピーズ/バーバラ・ピーズ)によれば、
新品価格 |
関心がある同士は無意識のうちに、言葉・会話のスタイル・文章までが似てきてしまうということなんですね。
また、『「無意識」があなたの一生を決める 人生の科学』(著:デイヴィッド・ブルックス)によれば、人間は無意識のうちに、お互いの知的レベルを確かめようとするそうです。
出会ったばかりの二人は、無意識のうちに、自分たちの知的レベルがあっているかも確かめようとする。ジェフリー・F・ミラーが著書『恋人選びの心-性淘汰と人間性の進化』に書いているとおり、人間には自分と知的レベルの合う相手を配偶者に選ぶ傾向がある。知的レベルを知るには、その人のボキャブラリーを手がかりにするのが最も簡単だ。
<中略>
そのため人は、誰かと知り合う時、無意識のうちに相手のボキャブラリーのレベルが自分と合っているかを知ろうとするのだ。
新品価格 |
人に会って話すということは、相手の知的レベル、言語(言葉・文章)・非言語(ボディーランゲージ・表情)を含めての話し方などすべてを無意識のうちにチェックしているということです。
セラピストよりもコンピュータアルゴリズムのほうが正確だというのは、当然なのかもしれません。
それは、人間には「こういうときは、こうすればいい」という経験則(ヒューリスティクス)があったり、バイアス(偏り・偏見)があるため、コンピュータと同じような判断はできないものです。
【関連記事】
でも、だからこそ、面白いともいえるのではないでしょうか。
【関連記事】