■脂肪肝や肝の線維化を抑制するタンパク質「Gpnmb」を同定|岡山大
参考画像:脂肪肝や肝の繊維化を防ぐタンパク質「Gpnmb」を同定(2016/11/25、岡山大学)|スクリーンショット
(2015/11/26、マイナビニュース)
同研究グループは、肥満ラットの内臓脂肪組織に増加するタンパク質を発見。同タンパク質を内臓脂肪細胞、マクロファージに過剰発現させたマウスを高脂肪高蔗糖食で飼育し、野生型マウスと比較した結果、脂肪肝や肝の線維化が抑制されることがわかった。
さらに解析を進めた結果、過剰発現させたGpnmbは肝臓内のマクロファージや星細胞に存在し、カルネキシンという物質と結合することで酸化ストレス、脂肪沈着、線維化を抑制することも明らかにした。
また、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者の中でも特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に進行した患者で血清Gpnmb値が高値であることも見い出した。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)腎・免疫・内分泌代謝内科学分野の和田淳 教授、片山晶博氏らの研究グループは、脂肪肝や肝の線維化を抑制するタンパク質「Gpnmb」を同定(同一であると見きわめる)したと発表しました。
現在、NASHの診断のためには肝組織の一部を採取して顕微鏡で観察する肝生検が必要ですが、NASHの患者も血清Gpnmb値が高値であることがわかったことから、Gpnmbをバイオマーカー(生物学的指標)にすることで診断を容易にする可能性があり、また、Gpnmbを治療ターゲットとしたNAFLDの治療法の開発も期待されます。
→ 脂肪肝とは|脂肪肝の症状・原因・対策・食事 について詳しくはこちら
【関連記事】
■NASHを診断する従来の方法
by U.S. Army RDECOM(画像:Creative Commons)
「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」を血液検査で精度よく診断できる新手法開発―大阪大
NASHは、超音波検査で非アルコール性の脂肪肝とされた人の1割程度を占めるとされ、脇腹に針を刺して肝臓組織を一部採取する肝生検で診断する。
しかし、肝生検は入院が必要で患者の体の負担も大きいため、簡便な診断法の開発が求められてきた。
■NASHを血液検査で精度よく診断できる新手法
●「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」を血液検査で精度よく診断できる新手法開発―大阪大(2015/8/21)によれば、大阪大の三善英知教授(肝臓病学)と鎌田佳宏准教授(同)らは、NASHの特徴とされる▽風船のように異常に膨らんだ肝臓細胞▽肝臓組織が炎症で硬くなる線維化――に伴って血中に増えるたんぱく質をそれぞれ特定し、これらのたんぱく質の量などの違いから、NASHを診断する検査手法を開発しています。
●NASHを精度よく診断できる手法を開発−大阪市立大(2015/10/4)によれば、肝硬変や肝臓がんに進む恐れもある非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の子どもを、超音波など2種類の波を用いて装置を腹部に当てると、NASHを判定する指標となる「脂肪の蓄積量」と「肝臓の硬さ」を測定し、簡単に精度よく診断できる手法を開発したと、大阪市立大の徳原大介講師らが発表しています。
→ NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の症状・食事・改善方法 について詳しくはこちら
【関連記事】
- マイクロRNAを使った肝線維化の治療・予防を行う方法を開発|マイクロRNA-29Aは肝星細胞の活性化の抑制、治癒促進を助ける|大阪市立大
- NASHや肝硬変を改善するホルモン「IGF-I」を発見|神戸大グループ
- 週250分の運動で脂肪肝改善 「やせなくても効果あり」―筑波大研究グループ
- 肝機能が低下すると中性脂肪がコントロールできなくなり脂肪肝になってしまう!?
- 香川県の小4の血液検査で1割の子どもが肝機能、脂質、血糖値の異常値を示す
- NAFLD 生活習慣病で肝臓の病気に お酒飲まない人でも注意
■肝臓関連ワード
■肝炎とは|肝炎(B型・C型・アルコール性)の症状・原因・チェック
■NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の症状・食事・改善方法