長時間のゲームは子供の脳の発達や言語知能に悪影響の可能性がある!?|東北大





■長時間のゲームは子供の脳の発達や言語知能に悪影響の可能性がある!?|東北大

The Oceaneer's Lab

by Eric Danley(画像:Creative Commons)

長時間のゲーム、子供の脳の発達や言語知能に悪影響の可能性 – 東北大

(2016/1/6、マイナビニュース)

同研究グループはこの結果を、小児における長時間のビデオゲームプレイで、脳の高次認知機能に関わる領域が影響をうけ、これが長時間のビデオゲームプレイによる言語知能の低下と関連することを示唆するものだとしており、「今回の知見により発達期の小児の長時間のビデオゲームプレイには一層の注意が必要であると示唆されたと考えられます」とコメントしている。

東北大学加齢医学研究所・認知機能発達(公文教育研究会)寄附研究部門の竹内光准教授・川島隆太教授らの研究グループによれば、長時間のビデオゲームが子どもの広汎な脳領域の発達や言語性知能に及ぼす悪影響を発見したそうです。

1歳児の74%がスマホを使用-YOUTUBE動画やLINEゲームを楽しむによれば、2歳児になるまでに9割近くの子供がスマホを使用するようになっているそうで、ゲームが小さな子供たちにとっても身近な存在になっているので、心配なニュースですね。

なぜ長時間のビデオゲームが脳の発達や言語性知能に悪影響を及ぼすのか考えてみたいと思います。

1.コミュニケーションする時間がないため、言語の発達が遅れてしまう

中流階級の家庭の子どもは貧しい家の子どもより2300万語多く言葉を聞いている?によれば、学校に入る前の段階で、イギリスに住む中流階級の子どもは貧しい家の子どもより、2300万語も多く言葉を聞いているということがわかりました。

生まれてから3歳までの間、裕福で安定した家庭で育つ子どもは貧しく不安定な家庭で育つ子供よりも、両親の口から肯定的な言葉を44万個以上も聞くのだそうですが、このことは子供の性格にも影響を与えると考えられます。

「2歳未満の子供にはテレビを見せないで」、米国小児科学会が指針によれば、テレビがついていると、親はあまりしゃべらなくなりますが、親が喋らないと、子供は親の言葉を聞くことができないために、言語の発達が遅れてしまうそうです。

「2歳未満の子供にはテレビを見せないで」、米国小児科学会が指針(2011/11/20)によれば、テレビがついていると、親はあまりしゃべらなくなりますが、親が喋らないと、子供は親の言葉を聞くことができないために、言語の発達が遅れてしまうそうです。

つまり、大事なポイントは、親子間のコミュニケーションが十分に取れているかということになります。

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2.ゲームによる刺激は脳にとって刺激が少ない環境かもしれない

ネット漬け生活でポップコーン脳に?!によれば、人間の脳は手っ取り早く得られる快感と迅速性、テクノロジーの予測不可能性を求める仕組みになっているため、継続的に刺激が得られるネットに依存してしまうようです。

そのために、現代人はゲームやネットにはまってしまうのかもしれませんが、その刺激は脳にとっては実はあまり刺激がないのかもしれません。

「海馬 脳は疲れない」(著:池谷裕二・糸井重里)によれば、脳で記憶や学習を担う海馬にとって一番刺激のあるものは空間の情報なのだそうです。

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海馬にとって一番の刺激になるのが、「空間の情報」。
少し動くだけでも空間的な概念が海馬に刺激を与える。
実際に動かなくても頭の中で移動を想像するだけでも刺激になる。
インターネットを見ていても海馬の刺激にはなる。
しかし、インターネットの欠点は、人間には五感があるけれども、インターネットでは眼と耳だけの刺激の世界になってしまう。
創造に限界が生じてしまうのがそこ。

もちろんインターネットからも刺激は受けるものの、その刺激は限られたものであり、そこで想像力に限界が生じてしまうと考えられます。

刺激の多い環境ほど脳の働きが活発になる仕組みが解明によれば、刺激の多い環境ほど脳の働きが活発になる(海馬の神経細胞の成長を促す)仕組みが解明されたそうです。

PCやスマホから離れて4日間自然の中で過ごすだけで想像力がアップする?で紹介した実験によれば、4日間コンピューターなどの電気製品から離れ、自然とたわむれる生活をするだけで、なんと想像力テストで50パーセントもスコアが上昇するという結果が示されたそうです。

米ユタ大学のデイビッド・ストレイヤー教授は、24時間コンピューター漬けになっている平均年齢28歳の56人の被験者たちを、それぞれコンピューターのない自然豊かな環境でハイキングを中心に自然を楽しむ6日間のプログラムに送り込んだそうです。

その結果、自然環境に触れてからテストを受けた後者のグループの方が初日にテストを受けた前者のグループよりもスコアが高かったそうです。

■まとめ

すべてのゲームが悪いわけではありませんし、最近ではゲーマーがかかわることで新たな発見ができたという研究もあります。

ゲーム愛好者らが酵素の構造を解析、米研究によれば、オンラインゲーマーたちが、科学者が解決できなかったヒト免疫不全ウイルス(HIV)様ウイルスの酵素の構造を解析したそうです。

ゲーマーたちは科学者とは違う発想を持っており、ゲームプレーヤーの創意工夫の能力が適切に指導されれば、幅広い科学的問題の解決に用いることができるそうです。

大事なのは、ゲームとのかかわり方です。

家族や友達との会話のほうが楽しいという子どもは自然とゲームの時間に制限を設けるでしょう。

しかし、いろんな世界を見せたうえで、ゲームのほうが魅力的だと子ども自身が判断したのであれば、それでいいのではないでしょうか。

それこそ、先ほど紹介したゲーマーのように新たな発見をするような人になるかもしれません。







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