【現状の医療システムの問題】総合病院に軽症から重症までの患者が集中し、治療を必要する患者に専門的な治療が届いていない


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by Guian Bolisay(画像:Creative Commons)




■【現状の医療システムの問題】総合病院に軽症から重症までの患者が集中し、治療を必要する患者に専門的な治療が届いていない

医師専用SNS「Whytlink」を展開、リーズンホワイが総額1.6億円を調達

(2016/3/28、TechCrunch)

現状の医療システムでは、総合病院などの医療機関に軽症患者から重症の患者まで集中してしまっていると塩飽氏は指摘する。例えば東大病院などを受診する外来患者の3割は風邪などの軽症患者なのだそうだ。このような状態では本当に治療を必要としている患者に専門医が治療を届けるのが難しくなる。

リーズンホワイの代表取締役を務める塩飽哲生さんによれば、現状の医療システムの問題は、総合病院に軽症から重症までの患者が集中することで、本当に専門的な治療を必要としている患者に治療が届いていないということです。

そこで、考えているのが「Find Me」というサービスなのだそうです。

FindMeは、患者が医師を探すのではなく、医師が患者にアプローチするプラットフォームだ。患者が診断書をアップロードすると、ネットワークに登録している医師から受診や治療方法の提案を受けることができる。

患者が医師を探すのではなく、医師が患者にアプローチをするという新しい流れです。

リーズンホワイの一連のサービスは、患者の価値観に沿った治療とマッチングできる環境を整えることを目指していると塩飽氏は言う。それを実現するためには、多くの医師の情報を集めて可視化することが重要だと考えているという。

患者によっては、漢方薬などの東洋医学を望む患者もいるでしょうし、西洋医学の薬による治療を望む人もいるでしょう。

そうした患者の価値観と医師の価値観をマッチングさせるというのは重要なことだと思います。

そのためにも、多くの医師の情報を集めて、医師のネットワークを作ることが必要です。




紹介状なしで大病院を受診した患者には初診料(初診時選定療養費)の負担がかかる|なぜ軽症にもかかわらず大病院に行く患者が多いのか?

今回の記事の中でも問題提起されていましたが、なぜ軽症にもかかわらず大病院に行く患者が多いのか、その原因をしっかりと把握しておく必要はありそうです。

  • 「自分の病気はさぞかし大変な病気だろう」という自分の病気・症状に対する過度の評価
  • 大病院だからという安心感(ブランド信仰)・期待
  • 話を聞いてもらいたい
  • アクセスの便利さ
  • かかりつけ医がいない
  • どの病院に行ったらわからないから、とりあえず大病院に行くという考え

このようにまず大病院へ行くことを選択する患者側の考えはいろいろとありそうです。

本来であれば、地域のかかりつけ医で診断してもらい、どうしても治療できない患者を大病院が治療をするというのが地域医療の考えなのですが、その仕組み・ネットワークがうまくいっていないのかもしれません。

まずは、一人ひとりがかかりつけ医・かかりつけ薬局を持つことを促すようなキャンペーンを行ない、診断後重症だとわかった場合には、安心して大病院を紹介しますという流れを作っていく必要があるのではないでしょうか。

【追記(2017/6/20)】

平成28年4月に実施された健康保険法の改正により、一般病床500床以上の地域医療支援病院については、保険外併用療養費の定額負担が義務化されました。

そこで、患者が他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)を持たずに大病院(特定機能病院)を初診で受診される場合には、通常の医療費に加えて別途「初診時選定療養費」を負担することになりました。







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