2016年6月1日放送の「ガッテン」(NHK)のテーマは『痛み&認知症に効く!「癒やしホルモン」の驚きパワー』でした。
【目次】
- オキシトシンの不思議なパワーとは
- なぜタッチケアで痛みやストレスが和らぎ、血圧が下がるのか?
- 安心できる人と電話をするだけでもオキシトシンは出る
- 自宅でできる簡単タッチケアの方法
- まとめ
- オキシトシン関連記事
■オキシトシンの不思議なパワーとは
カラダに触れられると脳から出てくる「オキシトシン」というホルモンは、痛みやストレスを緩和し、血圧を下げたり、認知症にも効果的だったり、ストレスや不安も軽減してくれるそうです。
フランスで行われた男性が街を歩く女性から電話番号を聞く実験によれば、声をかけるときに1秒腕に触れただけで成功率が2倍になったそうです。
ハグをする実験によれば、ハグをすることによって、「オキシトシン」というホルモンが増えたそうです。
■なぜタッチケアで痛みやストレスが和らぎ、血圧が下がるのか?
スウェーデンでは「タッチケア」を取り入れており、体に痛みを持つ患者にタッチケアを一週間続けたところ、痛みが軽くなったそうです。
リウマチ治療にもタッチケアが使われているそうで、手の痛みが消えたり、歩くのも楽になったという人がいるそうです。
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高血圧の人に週3回10分間タッチケアを行なうと血圧が下がったそうです。
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乱暴な言動や徘徊をしていた認知症の人にタッチケアをすると、乱暴な言動が減り、徘徊もしなくなったそうです。
痛みやストレス、強い不安に襲われると脳の中では、扁桃体が興奮します。
前頭前野が扁桃体の興奮を抑えているのですが、慢性的にストレスや痛みがかかり続けると、前頭前野では扁桃体の興奮を抑えることができずに、血圧が上がったり、不眠になってしまうそうです。
そこで、身体に触れられることによりオキシトシンが出ると、扁桃体の興奮を鎮めることにより、血圧が下がったり、痛みが治まるそうです。
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■安心できる人と電話をするだけでもオキシトシンは出る
オキシトシンは触れられることによってだけ出るわけではなく、安心できる人と電話をするだけでもオキシトシンが出てストレスが軽減するそうです。
米ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin at Madison)の研究によれば、母親からの電話は、強力なストレス解消ホルモンの放出を促すことによって、疲れた神経を落ち着かせることが分かったそうです。
【参考リンク】
- 母親との電話にストレス癒し効果、米研究(2010/5/13、AFPBB)
この研究で気になったのは、声によるコミュニケーション(ボーカルコミュニケーション)からテキストメッセージによるコミュニケーションが多くなった現代において、オキシトシンに違いがあるのかどうかという点です。
もしテキストメッセージによるコミュニケーションではオキシトシンが放出されなかったとしたら、人は神経が疲れた状態になっているのではないかと考えられます。
ある研究によれば、母親と直接コミュニケーションをとっている子供とは異なり、インスタントメッセージを送った女の子はオキシトシンを放出しなかったことが分かったそうです。
直接触れ合うことや身近で慰めの声を電話で聞くことではオキシトシンが放出されたのに対して、インスタントメッセージでは得られなかったことは、テキストメッセージ全盛の現代において重要な問いかけをしているのではないでしょうか?
また、番組ではオキシトシンを効果的に出す方法として紹介されたのは、抱き枕を抱きながら安心できる人と電話をすることで、声+触り心地によって、オキシトシンが出るそうです。
声を聞くだけよりも、抱き枕など抱えて抱き心地が加わると、より相手の存在を強く感じるため、安心の効果が大きくなるという研究結果があるそうです。
■自宅でできる簡単タッチケアの方法
- 椅子の背やテーブルにもたれて、楽な姿勢をとります。
- 背中に手のひらをピッタリつけて、背中全体をなでます。
なで方1.背中の真ん中から弧を描くようになでていく。
なで方2.肩・背中の一番外側のラインに沿ってなでていく。
なで方3.腰の位置から首に向かって、なでていく。
※ポイントは、1秒間に5センチほどのゆっくりした動き。
アイロンをかけるようなイメージで背中全体を触れるようにします。
※1回10分が目安で、タッチケアは触れられる方にも触れる方にもオキシトシンは出ます。
■まとめ
by Kazue Asano(画像:Creative Commons)
ニホンザルはなぜ毛づくろいをするのか?によれば、毛づくろいには3つの意味があるそうです。
1.シラミをとる(直接的)
2.不安を和らげる(心理的)
3.社会的な絆を深める(社会的)
毛づくろいを触れることに置き換えて考えるとすれば、触れること(触れ合うこと)によって、オキシトシンが分泌されることにより、ストレスが軽減することにより、不安を和らげることができるのではないでしょうか。
サルもヒトも触れる/触れられることによって、癒すということを自然と行なっているのかもしれません。
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抱きしめられたり、やさしくふれられると、オキシトシンの分泌が増加し、ストレスが軽減したり、愛情や信頼などの感情を呼び起こすそうです。
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ファーストネーム(名前)を呼ばれると、愛情ホルモンであるオキシトシンが増加するそうです。
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触れ合うことで オキシトシンが分泌され、愛情に変わるそうです。
オキシトシンには若返り効果があると考えられ、ハグをすると、オキシトシンが分泌されることから、ハグには若返り効果があるのではないかと考えられるようです。
男性の浮気を防ぐホルモンとは?
独ボン大学の実験によれば、オキシトシンを点鼻した男性は、女性が接近するのを不快に感じ、距離をとるそうです。
つまり、オキシトシンが浮気を防ぐホルモンというわけです。
『オキシトシン』は“抱きしめホルモン”とも呼ばれていて、男女間で接着剤のような役割を果たし、二人に強い絆をもたらしてくれるものです。
オキシトシンは、人を愛することの喜びなどをもたらすと同時に、将来的に起こりうるストレスに対しての不安感や恐怖感を高める作用があるそうです。
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【仮説】テキストメッセージが増え、触れ合いや電話で話すことが減ったことで世界は不安定になっている!?
【参考リンク】
Leslie J. Seltzer, Ashley R. Prososki, Toni E. Ziegler, and Seth D. Pollak「Instant messages vs. speech: hormones and why we still need to hear each other(2012 jan、NCBI)
We discovered that unlike children interacting with their mothers in person or over the phone, girls who instant messaged did not release oxytocin;
【参考リンク】
UW-Madison Research Finds Mom’s Comfort Lowers Stress Levels
A simple phone call from mom can calm frayed nerves by sparking the release of a powerful stress-quelling hormone, according to researchers at the University of Wisconsin-Madison.