ジカ熱検査法を開発|20分程度で感染の有無を診断できる方法|長崎大熱帯医学研究所 #Zika


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by coniferconifer(画像:Creative Commons)




熱研がジカ熱検査法を開発

(2016/7/7、長崎新聞)

熱研が昨年開発し、西アフリカで成果を上げているエボラ出血熱の迅速検査法を応用。蓄電池内蔵の携帯型小型機器を用いて患者の検体を調べる手法で、既存の一般的な検査法の約6分の1の20分程度で感染の有無を診断できるという。

長崎大熱帯医学研究所は、中南米で感染が広がっている蚊が媒介する感染症「ジカ熱」のウイルスに感染しているかどうか素早く診断する検査法を開発し、実用化に向け20日からブラジルで評価試験を行なうそうです。

迅速に診断できれば感染の拡大を防げると同時に、患者に妊娠を避けるようアドバイスをすることもできるそうです。

じかウイルスの感染を検出する技術はMITも開発を行なっています。

Detecting Zika: A platform for rapid, low-cost diagnostics

わずか1ドルの紙の上で約2時間でジカウィルス感染を検出できる合成生物学的技術をMITが開発

(2016/5/7、TechCrunch)

患者から得た一滴の血液を沸騰させてウィルスからRNAゲノムを取り出す。その後のちょっとした処理において、紙を使用する。

“われわれが作ったのは、紙製の本当に上出来な合成生物学プラットホームだ”、とCollinsは語る。“われわれがやったのは、細胞の内部的な機構に着目すること。数十種類の酵素を使うこと。そうすると、紙の上で結果が分かる。それらをフリーズドライし、室温で保存し配布しても、活性の喪失がほとんどない。これこそが、このプラットホームのイノベーションの中核だ”。

上記の全過程に要する時間は約2時間で、安い機材しかない現場でも完全にできる。

MITの生物医学工学の教授Dr. James CollinsのチームがハーバードのWyss Institute(ヴィース研究所)で開発した技術を使って、資源の乏しい地域でも利用できる、紙を使う簡単な検査方法を作り出したそうです。

これまでのやり方の数十〜数百分の一の時間(約2時間)と費用(一検査あたり1ドル未満)なのだそうです。

単純に数字(時間)だけを比べると、熱帯医学研究所による検査方法は約20分で、MITのチームによる検査方法は約2時間ですので、熱帯医学研究所による検査方法のほうが良いように感じます。

■ジカ熱とは

【ジカ熱】 WHOが緊急事態宣言|ジカ熱と小頭症との関係が強く疑われるため

  • ジカ熱は「ジカウイルス」を持つ蚊に刺されることで発症するウイルス性の感染症
  • 感染すると3日から12日間ほどの潜伏期間の後、発熱や頭痛、それに関節痛などの症状を引き起こす
  • ワクチンや特効薬はなく、対症療法が中心となりますが、同じように蚊がウイルスを媒介とする「デング熱」と比べると比較的症状は軽く、多くの場合1週間ほどで回復する
  • ジカ熱に対してWHOが緊急事態と宣言している理由としては、ブラジルで先天的に頭の小さく脳の発達に遅れが見られる「小頭症」の新生児が増えており、ジカ熱が妊婦に感染することによって小頭症に何らかの影響を与えているのではないかという疑いがある
  • ブラジルのカストロ保健相によれば、ジカ熱の症状は発熱等ですが、ジカ熱感染者の80%は目立った症状がないまま感染している
■ジカ熱を予防するには?
  • 妊娠中の女性はジカ熱の流行地域への渡航を慎重に検討する
  • ジカ熱は蚊が媒介する感染症であるため、蚊に刺されないように長袖や長ズボンの着用や虫よけスプレーの使用などで対処する