「カップヌードル」がレシピを変更し、塩分を2020年までに15%減らす取り組み|なぜ減塩に取り組み始めたのか?|日清食品


健康・美容チェック > 高血圧 > 血圧が高い > 「カップヌードル」がレシピを変更し、塩分を2020年までに15%減らす取り組み|なぜ減塩に取り組み始めたのか?|日清食品




■「カップヌードル」がレシピを変更し、塩分を2020年までに15%減らす取り組み

Cup Noodle.jp

by Christian Kadluba(画像:Creative Commons)

人気カップ麺が大幅減塩に 味変えずレシピを変更

(2016/12/14、テレビ朝日)

日清食品が「カップヌードル」の塩分を2020年までに、現在よりも15%減らす目標を掲げ、取り組みを始めていることが分かりました。消費者の健康志向の高まりを受けたもので、現在、カップヌードルには一個あたり計4.8グラムの塩分が入っていますが、レシピを変更し、味を変えずに減塩を目指します。

日清食品は「カップヌードル」のレシピを変更し、塩分を2020年までに従来よりも15%減らす取り組みを始めるそうです。

■なぜ日清食品は「カップヌードル」の減塩に取り組み始めたのか?

なぜ日清食品は「カップヌードル」の減塩に取り組み始めたのでしょうか?

●厚生労働省による食塩摂取量目標の見直しやWHOの掲げるナトリウム摂取量の関するガイドライン一日5グラム未満という目標がきっかけ

人気カップ麺が大幅減塩に 味変えずレシピを変更

(2016/12/14、テレビ朝日)

また、厚生労働省が去年4月に食塩摂取量目標を見直したことや、WHO(世界保健機関)の掲げる一日あたり5グラム未満という目標も減塩を目指すきっかけになったということです。

日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要|厚生労働省によれば、2015年4月1日より日本人のナトリウム(食塩相当量)の食事摂取基準を男性は1日9グラム→8グラム未満に変更され、女性は1日7.5グラムから7グラム未満に変更しました。

高血圧治療ガイドライン2014|日本高血圧学会

日本人の食事摂取基準(2010年版)では,成人において今後 5年間に達成したい食塩摂取の目標量として男性 9.0 g/日未満,女性 7.5 g/日未満を設定しているが55),平成21年国民健康・栄養調査では,男女とも約70%がこの目標量を超える食塩を摂取していると評価された。また,2012年策定の健康日本 21(第2次)では,2022年までに国民の平均食塩摂取量を8.0 gにすることを目標にした56)。2012年に発表された世界保健機関(WHO)のNa摂取量に関するガイドラインでは,一般成人の食塩摂取量を5 g/日未満にすべきとしており57),本邦の現状はこれに遠く及ばない。

高血圧治療ガイドラインによれば、食塩摂取量は一日6グラム未満となっていますが、WHOの掲げるナトリウム摂取量はさらに低く5グラム未満となっているそうです。

●アメリカでの健康志向の高まり

アメリカの「カップヌードル」、レシピ大幅改良の背景に健康志向の高まり

(2016/9/25、ハーバービジネスオンライン)

米国では、2~19歳の31.7%が肥満とされており、健康志向の要請が強い。2010年2月、子どもの肥満防止キャンペーン「Let’s Move!」が、ミシェル・オバマ大統領夫人の呼び掛けで始まった。

ミシェル・オバマ大統領夫人が推奨する「ダイエット・プロジェクト」とは(2010/2/17)によれば、子供の3分の1が肥満とされているアメリカでは、ミシェル・オバマ大統領夫人が推進役となって、10年間にわたり、毎年10億ドル(約900億円)の予算を拠出して、肥満問題の解決にあたる「レッツ・ムーブ」プロジェクトがスタートしました。

2010年にはアメリカでの減塩に関するニュースをよく取り上げたことを記憶しています。

【関連記事】

2010年以降はアメリカでの減塩に関するニュースを取り上げてきませんでしたが、アメリカでは健康志向が高まっていて、その成果も現れているというニュースもありましたので、減塩についてもその後取り組みが行なわれていたのではないかと思います。

【関連記事】

アメリカの「カップヌードル」、レシピ大幅改良の背景に健康志向の高まり

(2016/9/25、ハーバービジネスオンライン)

2016年6月1日、FDA(米国食品医薬品局)は、食品業界のための自主的なナトリウムの削減目標ガイダンス案を発表した。(参照「FDA」)

 ガイダンス案では米国人のナトリウム摂取量は1日あたり3400mgだが、これを2000mg未満にするように推奨されている。

FDAは米国人のナトリウム摂取量を1日あたり3400mgから2000mg未満に削減する食品業界のための自主的なナトリウムの削減目標ガイダンス案を発表しているそうです。




■アメリカの「カップヌードル」ではすでに減塩レシピのカップヌードルに改良されている

アメリカの「カップヌードル」、レシピ大幅改良の背景に健康志向の高まり

(2016/9/25、ハーバービジネスオンライン)

米国版の「CUP NOODLES」はよく売れる3フレーバーについては20%の減塩、全フレーバーでも約15%減塩するという。また、人工のMSG(いわゆるうま味調味料)を除外し、しゅうゆ、トマト、赤唐辛子のような自然由来のグルタミン酸を少量入れるとしている。

 また、人工香料も除外して、ターメリック、パプリカ、ライムなど自然由来の成分を加えるという。

アメリカの「カップヌードル」ではすでにレシピを改良して、最大20%の減塩を行っているそうです。

レシピ変更後の反応はどういうものだったのでしょうか?

Nissin Foods® USA Makes a Historic Recipe Changeto Improve its Iconic Cup Noodles® Product Lineup|Nissin

After a series of blind taste tests with people who frequently consume the product, results revealed that
consumers liked the new version of Cup Noodles just as much as the current.

カップヌードルをひんぱんに食べる人によるブラインドテストの結果、消費者は新しいバージョンのカップヌードルを従来品と同じくらい好むということがわかったそうです。

【参考リンク】

■まとめ

商品のレシピを変えるというのは大きなチャレンジだと思います。

先日ネスレは砂糖を最大4割減らしてチョコレートを生産する方法を発見したと発表し、今後段階的に砂糖の使用を減らしていく方針を出しましたが、WHOが体重の増加による肥満の数が増加傾向にあることや虫歯など健康上のリスクを防ぐため「一日の糖類25グラムまで」とする新指針を2015年に正式決定したことなども関係しているのかもしれません。

【関連記事】

健康問題は、個人のライフスタイルや家計、知識、社会の影響が大きいのではないでしょうか。

オバマ大統領夫人が推奨する「ダイエット」とは

(2010/2/16、日経ビジネスオンライン)

ライフスタイルの問題であると同時に、家計の問題でもあり、知識や意識の問題でもあります。

「レッツ・ムーブ」プロジェクトの推進役となったアメリカ大統領夫人のミシェル・オバマ夫人のエピソードが興味深いです。

疲れた夜にドライブスルーの誘惑

ミシェル・オバマ夫人が、記者団に語るシカゴ時代の自分自身のエピソードにこんなものがあります。

「弁護士の仕事を持つ母親として、会議と子供たちのサッカーやバレー教室と駆け回った日の夜には、簡単で安いファーストフードのドライブスルーや、電子レンジで温めるだけの栄養バランスのとれていない食事を子供たちに出していた」--。

自分がそうだったからこそ、多くのアメリカ人が、栄養バランスのとれた食事の大切さは知ってはいるものの、新鮮な野菜や魚などを買うための支出と、手に入れた素材を調理する手間と時間を考えるとき、それよりも数百円で手に入れることができる完成したファーストフードの魅力が大きいと感じてしまう。

これは実感としてとてもよく理解できることだ、というのです。

健康について関心がある人は、新鮮な魚や野菜を買って、料理を作った方が良いということはわかっていると思います。

しかし、仕事・家事をして疲れてしまうという生活をしていると、調理する時間や家計のことを考えてしまい、ファストフードの魅力を感じてしまう人も多いと思います。

そこで、手軽で安いファストフードや冷凍食品に頼りがちの生活になってしまいがちです。

また、ファストフードのCM・広告が多いことも影響しているのかもしれません。

オバマ大統領夫人が推奨する「ダイエット」とは

(2010/2/16、日経ビジネスオンライン)

テレビをつけても、クルマで街中を走っていても、ハンバーガーチェーン、ピザチェーン、タコスチェーン、などなど、さまざまなファーストフードチェーンの広告が目に飛び込んで来るのがアメリカです。

言葉にすると日本でもそうだと思いそうですが、頻度が違います。

#健康格差 とは|所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなる!?#健康格差 は収入・学歴などが要因?|WHO、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるでも取り上げましたが、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるということがWHOでも一つの問題として注目されているようです。

健康格差とは、所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなるといわれている格差のことです。

「所得と生活習慣等に関する状況」のグラフから見えてくるもの|厚生労働省調査によれば、所得が高い人ほど健康的な生活習慣を持っている、または健康的な生活習慣の人ほど高所得であると考えられます。

例えば、低収入ほど野菜不足-厚労省栄養調査で紹介した厚生労働省が発表した2011年の国民健康・栄養調査によれば、低収入ほど野菜の摂取量が不足しているという結果が出たそうです。

また、低所得者ほど生活習慣に問題=野菜食べず、運動しないによれば、低所得者ほど野菜を食べる量が少なかったり、運動の習慣がなかったりと、生活習慣に問題がある傾向があることがわかったそうです。

自分自身で健康管理をしている人はすでに健康に関して意識が高い行動をしていると思われるので、社会的に健康な社会を目指すならば、イギリスの取り組みが参考になるのではないでしょうか。

「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の4つが「#健康格差」の要因|NHKスペシャルによれば、イギリスでは脳卒中や虚血性心疾患の死亡者数を8年間で4割減らすことに成功したそうですが、その理由としては、イギリス食品基準庁が塩分を減らすように食品の塩分量の目標値を設定したことにあるそうです。

NHKスペシャルの低所得者の疾病リスクに迫った「健康格差特集」に反響の声

(2016/9/21、マイナビニュース)

2006年に85品目の食品に塩分量の目標値を設定し、メーカーに自主的達成を求めた。その理由は、主食であるパンが国民の最大の塩分摂取源となっていたためだが、メーカー側は売れ行き減を懸念。見かねた医学や栄養学などを専門とする科学者団体「CASH(塩と健康国民運動)」がメーカー側に徐々に塩分を下げるように提言した。

この提言に大手パンメーカーによる業界団体も納得し、7年でパンを20%も減塩。こういった取り組みの結果、国民1人当たりの塩分摂取量を15%減らすことにつながり、年間で2,000億円の医療費削減につながったと考えられている。

減塩のための食事を自分で作るのは大変ですが、食品メーカーが減塩に取り組むことによって、全体的に塩分摂取量が減らすことができるというのは大変いい取り組みだと思います。

また、「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の4つが「#健康格差」の要因|NHKスペシャルによれば、足立区でも同様の対策が行なわれているそうです。

東京都足立区の平均年収は23区で最も低い300万円台前半(港区の3分の1程度)で、健康寿命は23区の平均よりも2歳短く、糖尿病の治療件数が最も多いそうです。

そこで足立区は区民が「自然と」健康になるようにする対策として行なったのが、飲食店にはお客のお通しに野菜を提供すること、肉のメニューと野菜のメニューを同時に頼まれても、必ず野菜から出してもらうようにお願いをし、また、区立のすべての保育園で野菜を食べる日を設け、調理は子ども自身が担当することで、楽しみながら野菜を摂取してもらうようにしたそうです。

この取り組みによって、足立区の1人当たりの野菜消費量は年間で5kg増えたそうです。

意識的に健康的な生活習慣を選ぶという時代から、自然と選んでいるものが健康的なものという時代にこれからは変わっていくことが期待されます。

日清食品の減塩レシピへの取り組みはそうした世界の流れを受けての動きではないでしょうか?

→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら







【関連記事】

【関連記事】