■英NHS、BabylonのAIテクノロジーを活用し、病気の症状について質問することができるAIチャットアプリの試験開始
参考画像:Online Doctor Consultations & Advice – babylon|スクリーンショット
あなたの症状を診察するAIチャットアプリ:英NHSが試験開始
(2017/1/11、WIRED)
『フィナンシャル・タイムズ』の記事によると、このアプリのアルゴリズムは利用者の症状の「緊急性を判断」し、次の行動に関するアドヴァイスを与えるという。「BabylonのAIテクノロジーを使えば、人間よりも素早く、正確に、何十億という症状の組み合わせを理解することができます」とBabylonは説明している。
<中略>
Babylonは2016年9月、「研究結果では、Babylonの『症状チェッカー』はトリアージを行う際に医師や看護師よりも優れた結果を出した」と発表した。
以前、FACEBOOKのチャットのやり取りから病気を探せる「症状チェッカーBOT」|MEDLEYでは、Facebook Messengerアプリに対応させ、自身の症状を入力することで該当する病気を調べられる「症状チェッカー」を紹介しましたが、英国営保健サービス(NHS、Natural Health Service)は、病気の症状について質問することができるAIチャットボットの試験を開始するそうです。
【参考リンク】
- Online Doctor Consultations & Advice – babylon
『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。
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今回紹介したサービスもBabylonは英国営保健サービス(NHS、Natural Health Service)と一緒に取り組んで問題を解決しようとしています。
NHSとの新しい取り組みは、111サーヴィスにかかる負担の減少を目的としている。この電話サーヴィスは医療的な訓練を受けていないスタッフが担当することも多く、批判されることが増えている。
NHSへ連絡をする「111」サービスにおける人手不足やコストの問題をBabylonのAIテクノロジーを活用することで解決しようとしています。
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■まとめ
「症状チェッカーbot」がリリースされた後に、どんな使い心地か試してみましたが、普段Facebook Messengerをするような感覚で病気を検索できるというのはコミュニケーションアプリ世代の人たちにとっては親しみやすいのではないかなと思いました。
ただ、病気や症状を検索する際に気になっていることが一つあって、それは、ユーザー側が自身の不調を言語化できていないと、有効にその機能を使えないのではないかということです。
どんな部位で、どんな症状かを言葉にできていないというのは自身の経験でもよくあります。
そうしたあいまいな言葉を対面する医師にくみとってもらうことで正確な病気や症状を伝えることができるのですが、自分自身で症状を入力する場合には、どうしてもすでにその言葉が言語化できていないと上手く伝わりません。
この痛みは「ズキズキ」「ジンジン」?オノマトペと病名には一定の関係がある!?によれば、どのような痛みかを伝える手段として、「ズキズキ」「ジンジン」といったオノマトペ(擬音語、擬態語)を使うことがありますが、言語学を専門とする竹田晃子・元国立国語研究所特任助教と、痛みの臨床研究で知られる小川節郎・日本大学総合科学研究所教授の研究によれば、このオノマトペと実際診断された病名には一定の関係があることがわかったそうです。
例えば、体の痛みも、子音や母音の違いで感覚的に区別して表現しているそうです。
こうした感覚的に区別して表現しているオノマトペを活用できれば、より正確な治療ができるようになるのではないでしょうか。
また、身体の部位であったり、痛みであったり、というのはその土地・地域の方言で伝えたほうが患者さん自身も伝えやすいはずです。
ただでさえ、感覚的な痛みを伝えるのは難しいのですから、それを標準語に直すとなると、正確に伝えるのはさらに難しくなります。
そこで、AIチャットボットのようなシステムに、オノマトペや方言などが組み合わさることができれば、医療を補助するシステムとしてより活用できるのではないでしょうか。
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