アイデアやテクノロジーの中には「遊び」から生まれたものがある!?|スティーブン・ジョンソン(Steven Johnson)




■アイデアやテクノロジーの中には「遊び」から生まれたものがある!?|スティーブン・ジョンソン(Steven Johnson)

参考画像:Steven Johnson スティーヴン・ジョンソン:音楽がもたらしたコンピューターの発明(Oct 2016、TED Studio)|スクリーンショット

Steven Johnson スティーヴン・ジョンソン:音楽がもたらしたコンピューターの発明

(Oct 2016、TED Studio)

コンピュータの歴史は暗号解読などの軍事技術から始まったものという認識をしている人も多いと思います。

映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は、イギリス人の数学者アラン・チューリングが、第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読するドラマを中心としたストーリーですが、アラン・チューリングこそがコンピューターの概念を初めて理論化した人といわれています。

【参考リンク】

しかし、コンピュータの始まりというのはそんな物騒な話から始まっているのではなく、スティーブン・ジョンソンによれば、コンピュータの起源というのは、「音楽」からスタートしているそうです。

千年ほど前イスラム・ルネサンスの最盛期にバグダードに住む3兄弟が自動オルガンを設計し「自奏器」と名付けました。

それは巨大なオルゴールのようなものでした。

このオルガンは回転する円筒に配置したピンの指示で様々な曲を演奏させることができました。

この装置に別の曲を弾かせたかったら円筒を異なる符号のものに入れ替えるだけでよかったのです。

これはその種のものとして最初のものでした。

プログラム可能だったのです。

概念として これは大きな飛躍でした。

この発明によって初めてハードウェアとソフトウェアというものを考えられるようになりました。

コンピュータの概念を理論化する上で軍事的応用というのは重要な役割を果たしているのですが、それまでに様々なコンピュータの概念が出揃っている必要があったのです。

その一つが「自奏器(the instrument that plays itself)」と呼ばれるプログラム可能な機械であり、ここから、ハードウェアとソフトウェアという概念が生まれたのです。

つまり、コンピューターの始まりというのは音楽を「楽しむ」ことから始まっているのです。

現代では効率が重視されているように感じますが、楽しむこと、つまり「遊び心」から生まれるアイデアもたくさんあるのです。

遊び心というのは本質的に探索的であり身の回りの世界に新たな可能性を見つけようとします。この見つけようとするということが単なる愉しみや娯楽として始まったものが大いなる発明に繋がる理由なんです。




このブログを書きながら思い出したのが、ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅良典さんの会見での言葉です。

大隈氏「役に立つかどうかで科学を捉えると社会はダメになる」ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅良典氏が会見

(2016/10/4、日経Gooday)

役に立つかどうかという観点でばかり科学を捉えると、社会をダメにすると思う。科学の世界では、『役に立つ』を、『数年後に実用化できる』と同義語に使うことがあるが、大いに問題だ。その科学が本当に役に立つのは、10年後、20年後かもしれないし、100年後かもしれない。将来を見据え、科学を文化として認めてくれるような社会にならないかと思っている。

大熊さんが行なっている研究を遊び心というのが正しいのかどうかはわかりませんが、身の回りの世界に新たな可能性を見つけようとするという考え方は一致していると思います。

「ハープシコードの鍵盤」を発明した人も、「自奏器」を発明した3兄弟も、「自動フルート吹き人形」や「 プログラム可能な織機」を発明したジャック・ド・ヴォーカンソンも、金属の円筒の代わりに紙のパンチカードを使うというアイデアを生み出したジャカールも、決して未来のコンピュータを作るために発明したわけではなく、身の回りの世界に新しい可能性を見つけようとしてやったことが今につながっているだけなのです。

遊びから生まれたアイデアやテクノロジーはコンピュータだけではないそうです。

遊びから生まれた 世界を変えたアイデアやテクノロジーは たくさんあるんです 美術館 ゴム 確率論 保険業 まだまだあります

「役立つ」考えるのではなく、純粋に楽しみたい・楽しませたいというような「遊び心」を大事にすると、それが数十年後、数百年後にみんなを驚かせるようなアイデアの種になるかもしれません。







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