坂の傾きが約1.5度上がると、中等度の糖尿病になるリスクが18%低下する|東京医科歯科大学など


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■坂の傾きが約1.5度上がると、中等度の糖尿病になるリスクが18%低下する|東京医科歯科大学など

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中度の糖尿病、軽い坂で抑制?=傾斜1.5度で18%減-医科歯科大など

(2017/5/8、時事通信)

各地域の坂の傾斜は約1~10度で、平均は約3度。1カ月の血糖値の状態を表すHbA1cが7.5%以上である中等度の糖尿病だったのは223人だった。坂の傾きが1.48度上がると、中等度の糖尿病になる可能性は18%下がっていた。

東京医科歯科大学など研究チームが65歳以上の男女8904人の調査によれば、坂の傾きが約1.5度上がると、中等度の糖尿病になるリスクが18%低下するという調査結果が出たそうです。

糖尿病 坂道の街はリスク減、無意識に運動増 研究発表

(2017/5/9、毎日新聞)

藤原武男・東京医科歯科大学大学院教授(公衆衛生学)によると、本人が気づかないうちに運動量と筋力が増え、血中のブドウ糖が消費され血糖値の上昇が抑えられている可能性があり、症状が進まなくなったとみられる。

つまり、高齢者は日ごろから坂を歩くことで、無意識のうちに運動と同じ効果が得られる(運動量と筋力が増えた)ことにより、血糖値の上昇が抑えられることで、中等度の糖尿病のリスクを下げていると考えられます。

ただ、急な坂だと逆に外出を控えたりするため、傾斜が高いほど効果があるかは分かっていない。

今回の研究を読んで、思い浮かんだのが坂の街「長崎」ですが、2016年9月24日放送の「サタデープラス」で肥満になりやすい県ワースト1として「長崎県」が挙げられていました。

体格(BMI)及び生活習慣に関する都道府県の状況|平成24年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省
体格(BMI)及び生活習慣に関する都道府県の状況|平成24年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省

参考画像:体格(BMI)及び生活習慣に関する都道府県の状況|平成24年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省スクリーンショット

長崎県の人の肥満になりやすい生活習慣の特徴としては「運動不足」が理由の一つとして挙げられています。

【長崎の人が運動不足になりやすい原因】

  • 「坂道が多いため歩かない」
  • 「タクシーの支出額4位」
  • 「自転車利用が少ない」

そのため、糖尿病を予防する街づくりをするためとすれば、適度なゆるさの坂を配置する必要があるようです。




■糖尿病予防につながる今回の研究の2つのポイント

これまでの研究とこの調査結果を参考にすると、大事なポイントは2つあります。

1.ちょっとした運動も糖尿病予防につながる

AMPキナーゼを運動で活性化させ、血糖値や中性脂肪を下げる|ためしてガッテン(NHK)によれば、運動は長時間することにこだわる必要はなく、週一日に趣味で運動することでも、糖尿病予防につながるそうです。

宮下政司 次席研究員 (早稲田大学スポーツ科学学術院)

有酸素運動の効果に関して画期的な研究成果を発表したそうです。

自転車こぎ 3分間の運動を一日に10回をしてもらいます。

翌日、脂肪を多く含んだ食事をとってもらい、血液中の中性脂肪の量を詳しく調べたところ、前日運動しない場合に比べ、中性脂肪値が下がっていることがわかったそうです。

運動後1日たっても筋肉に脂肪がたまりにくくなっていたということです。

脂肪を燃やす有酸素運動は、一般的に長い時間行わなければいけないといわれていますが、3分間細切れに行なった運動でも中性脂肪を低下させる効果が出るということです。

→ 中性脂肪とは|数値・高い原因・下げる(減らす) について詳しくはこちら

藤井宜晴教授(首都大学東京)

筋肉を動かすと、AMPキナーゼが活性化し、糖や脂肪を効率良くエネルギーに変えてくれることがわかったそうです。

インスリンと同等くらい強力なのだそうです。

宮地元彦 (国立健康・栄養研究所 運動ガイドラインプロジェクトリーダー)

どんな運動でもどんな運動でも筋肉に刺激が入るので、筋肉に刺激が入れば、好ましい結果が得られる。

細切れ時間を活かして、運動する時間を増やすことが糖尿病予防につながります。

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2.坂道を歩く方が糖尿病になるリスクが低くなる

一つ仮説を立てるならば、糖尿病に効果的な運動は?|有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせが効果的で紹介した米ルイジアナ州立大などのチームの研究によれば、糖尿病を改善するには、有酸素運動と筋トレを組み合わせるほうが効果的であるため、平坦な道よりも坂道のほうが筋肉に負荷がかかることで糖尿病になるリスクが低くなると考えられます。

どのような動き・スポーツが体にどれくらいの負荷がかかるかについては、痩せていても危ない!日本人を蝕む異所性脂肪を取り除く方法|#世界一受けたい授業で紹介された厚生労働省が定めた体内の脂肪を減らす運動量を示した数値であるメッツ(METs metabolic equivalents)が参考になると思います。

身体活動の強度×身体活動実施時間(h)=身体活動の量(メッツ・h)

一時間行ったときのメッツの量
ボウリング 3メッツ・h
洗車 4.5メッツ・h
山登り 7.5メッツ・h
自転車 8メッツ・h
平泳ぎ 10メッツ・h
掃除2時間 8メッツ・h
筋トレ2時間 8メッツ・h(筋トレは激しく体が動くのはごく一瞬なので)
散歩 3.5メッツ・h
ギター演奏 2メッツ・h
釣り 2.5メッツ・h
ヨガ 2.5メッツ・h
荷物の積み込み 3メッツ・h
階段の昇り降り 3.5メッツ・h
卓球 4メッツ・h
バドミントン 4.5メッツ・h
草むしり 4.5メッツ・h
バレエ 4.8メッツ・h
ドッジボール 5メッツ・h
エアロビクス 6.5メッツ・h
テニス 7メッツ・h
サッカー 7メッツ・h
ラグビー 10メッツ・h

■まとめ

糖尿病予防のために運動をするときには、坂道を選ぶようにしてみてはいかがですか?

→ 下り坂運動で糖尿病予防|なぜ下り坂トレーニングをすると血糖値が下がるの? について詳しくはこちら

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