■トイ・プラットフォームtoio
参考画像:toio ConceptMovie|YouTubeスクリーンショット
toioは、本体の “toio コンソール” と、モーター内蔵で動き回ることのできる “toio コア キューブ” が2台、そして、それぞれのキューブの動きを制御する2台のコントローラー “toio リング” により構成されます。
絶対位置センサーと高性能モーターを内蔵されたtoioコアキューブはおもちゃや工作をのせることができる小さなロボットで、コントローラーであるtoioリングは、内蔵する加速度センサーで、toioコアを操作できます。
ソニーのおもちゃ、それは子どもたちの“工夫する心”に火を付ける小さなロボットだった
(2017/6/1、ITmedia Lifestyle)
そして最も特徴的なのが、「絶対位置センサー」と呼ばれる仕組みだ。実は付属の専用マットには人の目に見えにくいインクでパターンが描かれており、それをキューブの光学センサーが読み取ることで、コンソールは各キューブの位置と向きを把握する。カメラなどはなくても、まるで見ているように動かせる。
モーター、加速度センサー、光学センサーと上から押されたことが分かるスイッチなどが内蔵されており、様々な動きに変化します。
toio™ コンセプトムービー | toio™ Concept Movie|アナウンストレーラー
toio™ 「工作生物 ゲズンロイド」紹介動画|toio™ “Papercraft Creatures – Gesundroid” Trailer
■#Sony ロボット・プログラミング学習ができるSTEM教育キットKOOV|「Tinkering(ティンカリング)」とデザイン力を育てる
参考画像:KOOV Play. Code. Create|YouTubeスクリーンショット
ソニーのロボット・プログラミング学習キット「KOOV」は、簡単に言うと、ブロックと電子パーツを組み合わせてロボットを作る学習キットです。
KOOVアプリは、ロボットの動きを直感的に理解し組み立てることができる「ビジュアルプログラミング」を採用されています。
プログラムをロボットに転送すると、試行錯誤をすることで、思い通りの動きのロボットを作ることができます。
【参考リンク】
- ソニー・グローバルエデュケーション 教育機関向け「STEM教育パッケージサービス」の提供を開始(2017/6/9、ソニー)
このキットのメリットは「Tinkering(ティンカリング)」にあると考えられます。
ティンカリングの定義と性質|ティンカリングの観点を取り入れた生徒主体の「ものづくり」に関する研究|日本科学教育学会研究会
Wohlsen(2011)は「ティンカー」を、何でもいじらずにいられないという性質を持つ者、あるいはそうした振る舞いの呼称であり、「ティンカリング」は創造性(creativity)の本質であると述べている。さらに、Wohlsenは「ティンカー」は傍目には遊んでいるように見えても、すでに完成しているエンジンパーツやコンピュータ・コードの一部をまったく新しいものにつくり変えようとしており、遊戯性を伴うが、新しい何かを創りだそうとと熱意と才能を注ぐ知的競争と表現している。
Marcus Wohlsen(2011), Biopunk: Solving Biotech’s Biggest Problems in Kitchens and Garages
小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第2回) 議事録(2016/5/19、文部科学省)
少し手前みそなんですけれども、弊社で開発している商品の簡単な紹介をさせていただきたいんですけれども、KOOVという名前で、ブロックを使ったロボットプログラミングキットを、今、開発中でして、今年中には発売する方向で、今、準備を進めているところです。このブロックを使ってロボットを作るというところなんですけれども、教材としてのメリットは、いわゆるティンカリングと言われている、手探りをしながら試行錯誤、トライ・アンド・エラーしながら自分なりにいろいろなロボットを作っていって課題に対処するみたいな、そういった手触りで試行錯誤する過程が非常に教育効果が高いということで、このブロックを使ったロボットというのは、レゴさんなんかもそうですけれども、海外でも高い評価受けているところになります。
試行錯誤する課程を通じて課題に対処することが教育効果が高いということであり、KOOVはその「Tinkering(ティンカリング)」の観点を取り入れたキットといえると考えられます。
子供の頃に時計や家電製品を分解したことがある人もいるのではないでしょうか。
これも一種の「Tinkering(ティンカリング)」と考えると、分解することでモノの構造を知り、大きく言えば世界を知ろうという好奇心や創造力を育てることにつながっているのではないでしょうか。
【参考リンク】
■SonyのtoioとDFRobot's BOSON Kitとの違い
両者ともSTEM教育やロボット、プログラミングを目的としていて、入口と出口はほとんど同じように感じるのですが、Sonyのtoioがカートリッジで機能を変えることができるのに対して、Bosonキットはブロックに単一の機能を持たせているという違いがあり、途中のアプローチが違うのが興味深いです。
まるでSonyのtoioがゲーム機のようにソフトを入れ替えることで遊び方を変えているようであり、Bosonキットは一つの機能を持たせたLEGOブロックを組み合わせることで新しい動かし方・遊びを創造しようというものであるように感じます。
by Josh Hallett(画像:Creative Commons)
by Bill Ward(画像:Creative Commons)
【関連記事】
■まとめ
参考画像:toio ConceptMovie|YouTubeスクリーンショット
ソニーのおもちゃ、それは子どもたちの“工夫する心”に火を付ける小さなロボットだった
(2017/6/1、ITmedia Lifestyle)
例えば磁石の物理特性をシミュレーションしたプログラムなら、2つのキューブを近づけると反発するか、逆にくっついてくることになる。
交換式カートリッジのプログラム次第でキューブの動きは変わり、例えば、物理特性のシミュレーションをすることもできるそうです。
Amazonは、“STEM”の分野に絞った教育おもちゃの定期購入サービスを始めるというニュースを以前取り上げましたが、toioはそのSTEM分野に絞った知育玩具ともいえそうです。
STEM教育とは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)のこと。
おもちゃと触れて遊んでいるうちに、好奇心をもって試行錯誤をしながら、自然と学ぶというのがこれからの教育の形になっていくのではないかと思っているのですが、toioのコンセプトも同じように、手を動かして(工作)遊んで、触れあっていくうちに新しい遊びを考えていき、自然と新しい発見をしていくというものです。
猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」
(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)
これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。
<中略>
「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。
「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の教育の形!?で今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。
『移動する知性』|「アイデアと移動距離は比例する」(高城剛)をダニエル・ゴールマンと猪子寿之を参考に考えてみる。では、自分なりに猪子寿之さんの考え方を次のように解釈しました。
従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。
『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。
今回体験した「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」ではこの考えを実際のモノとして表現したもののように感じました。
ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。
これからの教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいくのではないでしょうか。
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【追記(2017/6/16)】
MESH:小さな便利を形にできる、ブロック形状の電子タグ|ソニー
MESHとは、IoT(モノのインターネット化)を活用した仕組みを実現できる、特定の機能(動きセンサー/ライト/ボタン/明るさセンサー/温度・湿度センサーなど)を持ったブロック形状の電子タグ「MESHタグ」を「MESHアプリ」で無線でつなげることにより、「あったらいいな」を実現できるものです。
サイトでは、暮らしに役立つものやオフィスで役立つものなどさまざまなレシピが紹介されています。
例えば、トイレの空き状況チェック。
「お腹虚弱体質」なエンジニアがIOT駆使してオフィスのトイレ空き状況をスマホでリアルタイムに確認できるシステムを開発では、扉の開閉を感知する自作のセンサーを設置し、センサーを超小型コンピュータ・Raspberry Piに接続して扉の開閉情報をAPIサーバに記録し、クライアントアプリを通じてAPIにアクセスすることで、スマートフォンのWebブラウザから一目でトイレの空き情報が分かるようにしていましたが、このレシピでは、「明るさタグ」と「IFTTT」を活用して作られています。
ソニーからは面白い製品が出ていますね。