【仮説】『料理』は『創造力』を育てる方法|Tinkering(ティンカリング)やブルーノ・ムナーリの視点から





cooking in progress

by Jaume Escofet(画像:Creative Commons)

【仮説】『料理』は『創造力』を育てる方法

私はストレス解消の一環として時々料理を作っています。

完全に趣味で料理を作っているので、時短料理や簡単・手抜き料理ではなく、手の込んだ料理を作りたいと思って、NHKの今日の料理のレシピを見て作ったり、最近ではバーミキュラ(Vermicular)のライスポット(Ricepot)を購入し、無水調理や低温調理なども試しています。

※おいしい銀シャリが手軽に作れますし、無水にも関わらずにこんなに水分って野菜から出るものなんだ、低温調理機能がついていればローストビーフが簡単に作れるもんだんだなど調理家電のすごさに驚いていますが、その話は別の機会に。

ある時、ふと考えが浮かびました。

「『料理』は『創造力』を育てる方法なのではないか」という仮説です。

これまで、このブログでは、以前から創造力はどのようにして生み出されるのかについて関心を持ってブログに書いたり、またここ最近STEM教育に関心をもってこのブログでも取り上げています。

そこで、「創造力はどのようにして生み出されるのか」や「どのようなことがSTEM教育に役立つのか」について学び、言葉を書き留めているのですが、「料理」で例えるとぴったりくることが多いと感じたのです。

例えば、#Sony ロボット・プログラミング学習ができるSTEM教育キットKOOV|「Tinkering(ティンカリング)」とデザイン力を育てるでは、「Tinkering(ティンカリング)」の重要なポイントは、頭で考えるだけでなく、手を使い触りながら考えることも大事であり、手触りで試行錯誤する過程が非常に教育効果が高いと学んだのですが、「料理」こそ手触りで試行錯誤しながら作っていくものですよね。

また、創造性・創造力ということについて、私自身の指針の一つともなっている「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)には、保存しなければならないのは、作品ではなく、そのやり方や企画の立て方であり、問題に対して何度もやり直せると感じられることが重要だとあります。

ファンタジア

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「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)

集団で作った作品を壊すのは、特に幼年期の場合、模倣のモデルを作らせないため。

保存されるべきは、そのやり方であり、企画を立てる方法であり、出くわす問題に応じて、再びやり直すことを可能にさせる柔軟な経験値である。

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)によれば、模倣のモデルを作らせないため作品を必ず壊すようにするとありましたが、「料理」は必ず食べてなくなってしまいます。

大事なのは、どのようにして作ったか(レシピ)、どのような段取りで作るとよいのか、味付けをどのように変えるとよりおいしくなるのかを考えることにあります。

創造力を刺激する遊びを通じて、子供の知識が広げられないと、すでに知っている事柄同士の関係を築くことはできない。仮に関係を築くことができたとしても、それは非常に限定された方法でなされたにすぎず、それでは子供のファンタジアを発達させるに至らない。

子供を創造力溢れ、のびのびしたファンタジアに恵まれた人間に育てたいなら、可能な限り多くのデータを子供に記憶させるべきだ。記憶したデータが多ければ、その分より多くの関係を築くことができ、問題に突き当たってもそのデータをもとに毎回解決を導き出すことができる。

さまざまな料理の作り方、食材の選び方というような知識を広げることができれば、新たな関係を築くことにより、新しい料理が生み出されます。

仮に、「焼く」という調理方法しか知らない子供はその限定された方法でしか、料理を作ることができませんが、そこに、煮る、蒸すなどの調理方法があることを知れば、新しい料理を作ることができるようになります。

無知こそが最大の自由を与えると信じるのは間違っている。
むしろ知識こそが自己表現の手段を完全に操る力を与えるのだ。
それにより、手段とメッセージに一貫性をもたせ、明確に自己表現できるようになる。

子供が描いた絵に対して大人が創造力があると表現することがありますよね。

なぜ大人は子供が描いた絵に対して創造力があると表現するのでしょうか。

それは、無関係なもの同士をつなげたことによって、大人では想像できなかったものを描いたからです。

ただ、それは、ランダムに組み合わせたものが意図せず偶然作られたもの(子供によっては意図して作るケースもあるかと思います)であり、また、子供たち自身がメッセージ性をもって作り上げたものではありません。

子供が料理の作り方や食材の選び方などを学ぶことによって、自分でこんな料理と作りたいと思った時に、最も創造したものと一致した調理方法で表現することができるはずです。

つまり、「料理」を作ることは「創造力」を育てる方法の一つだと考えられるのです。

まとめ

「『料理』は『創造力』を育てる方法である」という仮説が正しいとすれば、「どのようにしたらおいしい料理を作れる教え方ができるのか」ということを通じて、創造力のあふれる教育方法に活かせるのではないでしょうか?

レシピ動画アプリでお手軽な料理を見るのも楽しいですが、手の込んだ料理がどのような過程を通じて作られるのか、どのような丁寧な仕事がその料理にされているのかを知るとまた一味違った味わいをするものです。

きっとそれが料理を生命を維持するだけのものから食事を通じて感動を味わえる存在に変わっていき、様々な分野に対する好奇心にもつながっていくのではないでしょうか?







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