自分の能力を引き上げたいなら優秀な社員の隣に座ろう!|有能なスタッフの隣に座ることで仕事の能力が3~16%高まる!


Mentoria para Startup.

by Sebrae-SP(画像:Creative Commons)




■自分の能力を引き上げたいなら優秀な社員の隣に座ろう!|有能なスタッフの隣に座ることで仕事の能力が3~16%高まる!

Use Your Seat to Get Ahead at Work

(2017/8/8、WSJ)

Simply sitting next to a high achiever can improve someone’s performance by 3% to 16%, according to a two-year Northwestern University study of 2,452 help-desk and other client-service workers at a technology company.

ハーバードビジネススクールが公表した論文によれば、ノースウエスタン大学が、テクノロジー企業のヘルプデスク要員などの顧客サービス担当者2452人を対象にした2年にわたる調査をしたところ、有能なスタッフの隣に座ることで仕事の能力が3~16%高まることが明らかになったそうです。

【参考リンク】

花形社員の隣に座れば能力アップ

(2017/8/15、WSJ)

それによると、仕事を迅速にこなす生産性の高い社員は、仕事の遅い同僚のアウトプット(成果)を8%引き上げていたことが明らかになった。また、顧客の問題を同僚に引き取ってもらうことなく自分で処理できる効率的な社員は、近くに座る同僚の効率を16%上げていた。さらに、顧客調査で高評価を得ている仕事の質の高い社員は、同僚の質の評価も3%向上させていた。

また、有能な社員が近くに座る能力の低い社員に足を引っ張られることはなかったという。

この調査によれば、仕事の速い生産性の高い社員が仕事の遅い社員の成果・効率を引き上げるだけでなく、有能な社員が能力の低い社員に足を引っ張られることもなかったそうです。

なぜ有能な社員の隣にそうでない社員が座ることで能力がアップすると考えられるのでしょうか?

論文の主執筆者でノースウエスタン大学 ケロッグ 経営大学院のディラン・マイナー助教(経営経済学)は、同僚からの触発とプレッシャーが相まった結果とみており、カリスマ的なリーダーが与える影響になぞらえている。

「イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則」(著:スティーブン・ジョンソン)によれば、公共投資による波及効果で経済活動が高まることを経済学の言葉では「スピルオーバー効果(spillover effect、溢出効果)」といいますが、今回のケースを当てはめると、有能な社員の近くで働くことによる波及効果で能力の低い社員の成果・効率を引き上げる「スピルオーバー効果」があるといえるのではないでしょうか?




■まとめ

オフィスデザインのアイデア|在宅勤務制度がダメな理由|生産的なグッドアイデアを作るツール=おしゃべりの場で紹介した「イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則」(著:スティーブン・ジョンソン)にはこう書かれています。

イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則

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ダンバーが作ったアイデア形成地図を見ると、イノベーションの中心地は、顕微鏡ではなくて、会議用のテーブルだった。

おしゃべりの場でのコミュニケーションによって、ある人の結論が、別の人にとってのきっかけとなることで、アイデアに大きな変化をもたらすことが考えられます。

凄いアイデアというのは誰かが一人きりで研究室に閉じこもって生まれるのではなく、実は人々が集まってコミュニケーションをとっている中で生まれているのだそうです

イギリス人の数学者アラン・チューリングが、第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読するドラマを中心としたストーリーである『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』では、パブのシーンである女性の何気ない一言が暗号エニグマの解読のヒントとなっています。

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研究室で一人で仕事をして顕微鏡を覗いていたのでは、考えが一カ所にひっかかって、最初にあった自分自身の偏見から抜けられない。

集団での会話にある社会的な流れが、個人の固体的な状態を液体のネットワークに変える。

Steven Johnson:スティーブン ジョンソン「良いアイデアはどこで生まれる?」(Jul 2010、TED Talk)

Community + Entrepreneurship: Tim Rowe at TEDxGrandRapids(2013/6/24、YouTube)

「イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則」(著:スティーブン・ジョンソン)で紹介されている計算機学者のクリストファー・ラングトンによれば、イノベーション度の高い組織は「カオスの縁(秩序がありすぎる領域と無秩序すぎる領域との間にある領域)」に引き寄せられる傾向があるという見解を述べたそうです。

ラングトンはネットワークの状態を「気体・液体・固体」で表す見立てを行ない、液体のネットワークは組織が「隣接可能性(科学者のスチュアート・カウフマンが唱えている考え方で、新たなイノベーションがあるごとに、新たな経路が開けるというもの)」を探るのには有能な環境を生み出す、とあります。

この考え方を自分なりに捉えてみると、自分一人だとアイデアは固体の状態なのですが、二人以上の集団の中でコミュニケーションを行なうこと=液体ネットワークにのることで、アイデアに変化をもたらすということではないでしょうか?

働き方改革として在宅勤務が例として挙げられることがありますが、企業のイノベーションという視点からとらえると、一人で働く場合にはアイデアに大きな変化をもたらすことができないため、イノベーションが起こりにくいのではないかと思います。

今新しく生まれているのは、「競争」から「共創」「集団的創造」へという考え方です。

「共創」や「集団的創造」という言葉は、チームラボの猪子寿之さんがコメントした言葉で、誰かと競い合うことではなく、いろんな専門性がある人たちと共に創り上げていくことで、新しいものを生み出していくという言葉だと認識しています。

チームラボの猪子寿之さんは「境界のない群蝶」という作品を作っています。

Flutter of Butterflies Beyond Borders / 境界のない群蝶

『群蝶図』。この群蝶は、羽の模様を変容させながら空間の中を舞う。また、同じ空間に展示された他の作品の中も舞う。他のインスタレーション作品の空間の中も、他のディスプレイの作品の中もシームレスに飛ぶことによって、作品のフレームという概念を解き放ち、作品間の境界をなくし、あいまいにしていく。

チームラボの猪子寿之さんは、「共創する場所に身を置くことでクリエイティブになれたし、他の人にも共創によって変わる体験をしてほしい。」とコメントしています。

天才でもない限り、自分ひとりでできることは限られていて、誰かに助けてもらったり、誰かを助けたりしなければ、物事を成し遂げるのは難しいと思います。

DMM社長に就任した片桐孝憲さんのインタビューも考えが近いように思えます。

ピクシブ代表取締役社長・片桐孝憲「個人最強時代だからこそ、チームで生み出して、個人で作れないようなすごいものを作る」

(2014/2/14、現代ビジネス)

インターネットの発展によって、制作クオリティも上がったし、発表も簡単になり、個人のものづくりにおいては最高の時代に突入しました。この個人クリエイター最強時代において、会社としてどう生き残っていくかと言えば、チームでものを生み出して、個人では作れないものを作るしかない。例えばサグラダファミリアのようなもの、ハリウッド映画のようなものを作る。各分野の専門家が集まって、一つの作品を作り上げるんです。

競争しないと成長しないという人もいると思いますが、本当にそうなのでしょうか。

競争が、ただの足の引っ張り合いになってしまい、成長どころか後退していることもあるでしょう。

競争とは、切磋琢磨しあうことであって、相手の価値を下げることで、勝つことではないはずです。

だからこそ、新しく「共創」という言葉が必要なのだと思います。

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ただ、「創発」という視点から考えると、もしかすると、そもそも個人と他者という境界線はないのかもしれません。

「鈴木さんにもわかるネットの未来」(著:川上量生)

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小さな部分では存在しない性質が大きな全体では出現する現象を、創発といいます。たとえば”水”には圧力や温度といった概念が存在しますが、水をつくっている水の分子ひとつずつを観察しても、そこには圧力や温度は存在しません。圧力や温度は、水分子が大量に集まった時に出現する性質だからです。個々がバラバラに動く自律分散システムは全体として一定の秩序を生み出しますが、この創発として生み出された秩序が、知性があるかのように何らかの仕事をすることがあるのです。

肝臓の細胞は100個集まっても組織的に働かないが、1000個集まれば肝臓の役割を発揮する|東大の研究グループが解明によれば、肝臓の細胞は100個集まっても働かないそうですが、1000個集まれば肝臓の役割を発揮するそうです。

人間における知性や創造も、実は創発の考え方のように、小さな部分では存在しない知性が大きな全体では出現することもあるという期待があります。

今回紹介された論文のように、優秀な人と働くことによって、自分が持っている以上の力が発揮されるような「創発」のような何かが実は隠されているかもしれません。







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