ネフロン前駆細胞から腎臓再生(尿を作る臓器を体内に作ること)に成功|東京慈恵会医科大学

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■ネフロン前駆細胞から腎臓再生(尿を作る臓器を体内に作ること)に成功|東京慈恵会医科大学

ネフロン前駆細胞から腎臓再生(尿を作る臓器を体内に作ること)に成功|東京慈恵会医科大学
ネフロン前駆細胞から腎臓再生(尿を作る臓器を体内に作ること)に成功|東京慈恵会医科大学

参考画像:ネフロン前駆細胞から腎臓再生成功―臨床応用に向けた最終段階へ―(2017/11/23、日本医療研究開発機構プレスリリース)|スクリーンショット

ネフロン前駆細胞から腎臓再生成功―臨床応用に向けた最終段階へ―

(2017/11/23、日本医療研究開発機構プレスリリース)

●既存ネフロン前駆細胞を薬剤誘導システムにより除去することにより、外来性の前駆細胞から腎機能を持った成熟腎臓を再生することに成功。

●再生腎臓への3ステップ(➀iPS細胞からネフロン前駆細胞樹立、➁ネフロン前駆細胞から再生腎臓樹立、➂尿排泄経路の構築)のうちの第2ステップが完遂したことで、臨床応用が一気に現実化する。

東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の横尾隆教授、山中修一郎助教らの研究グループは、薬剤誘導型ネフロン前駆細胞除去システム(遺伝子操作により薬剤存在下で既存の前駆細胞を除去することにより外来性の前駆細胞のみニッチ内で成熟できるシステム)を開発し、腎臓発生ニッチ内の既存ネフロン前駆細胞を外来性に置き換えることにより、100%外来性前駆細胞由来腎臓の再生に成功しました。

参考画像:ネフロン前駆細胞から腎臓再生成功―臨床応用に向けた最終段階へ―(2017/11/23、日本医療研究開発機構プレスリリース)|スクリーンショット

腎臓再生には、(1)患者由来のiPS細胞からネフロン前駆細胞(腎臓の芽)を作る、(2)ネフロン前駆細胞から尿を作る臓器を体内に作る、(3)尿を体外に排泄させる経路を作る、の3ステップがあると考えられるそうですが、これまでの研究において、ステップ(1)については多くの研究者が効果的な方法を編み出しており、ステップ(3)についても効果的なシステムが開発(Yokote, et al. Proc Natl Acad Sci USA 2015:.112(42): 12980-12985.)されており、残すはステップ(2)のみでした。

今回の研究により、再生腎臓への3ステップのうちのステップ(2)である「ネフロン前駆細胞から尿を作る臓器を体内に作る」が完成したことにより、3つのステップが出揃いました。

ただ、研究はラットとマウスの実験に基づくため、次のステップであるヒト臨床試験に進むためには、、ヒトiPS細胞由来ネフロン前駆細胞でも証明する必要があるそうです。

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■まとめ

透析患者数、新規透析導入患者数、死亡患者数について
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参考画像:糖尿病・人工透析の現状(PDF)|厚生労働省

透析導入患者の主要原疾患の推移(年別)
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参考画像:糖尿病・人工透析の現状(PDF)|厚生労働省

透析人口は32万448人|糖尿病腎症・慢性糸球体腎炎で全体の7割を占める|日本透析医学会で紹介した日本透析医学会によれば、2014年末現在の日本の透析人口は32万448人で、このうち透析の原因となる病気は糖尿病腎症が11万8,081人と最も多く、その次に慢性糸球体腎炎が9万6,970人と続き、糖尿病腎症と慢性糸球体腎炎の2つの疾患で透析人口の全体の7割を占める結果となっています。

人工透析減らせ、予備軍2500人を5年間徹底指導|厚生労働省によれば、糖尿病や腎炎、高血圧などで腎臓の働きが低下すると、血液中の老廃物や余分な水分を尿として体外に排出しにくくなります。

そのまま放置すれば生命の危険もあるため、健康時の1割程度になると、腎臓の働きを代行する人工透析が必要になります。

この透析患者は高齢化や糖尿病の蔓延により爆発的に増えており、現在33万人が透析を行なっています。透析患者は食事や生活の制限を強いられ著しいQOL(生活の質)の低下が余儀なくされます。また透析関連医療費は一人当たり年間約500万円を超え、その年間総額は1.4兆円以上にのぼり、国庫に大きな負担をかけています。一方海外に目を向けると、高額な透析が受けられない貧しい国々で200万人以上の人々が腎不全でなくなっており新たな国際問題に発展しています。この様な現状から、慈恵医大腎臓再生グループでは、以前から腎臓を臓器としてまるまる『再生』する腎臓再生に取り組んできました。

高齢化や糖尿病患者の増加によって透析患者が増えている現状があり、透析関連医療費の年間総額は1.4兆円以上に上っているそうです。

腎臓の機能には、老廃物のろ過と排出、血圧の調節、ホルモンの分泌という機能があるだけでなく、腎臓は『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』『肝腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要|#NHKスペシャルで紹介した京都大学大学院医学研究科の柳田素子教授によれば、腎臓は『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』『肝腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要となっているそうです。

アメリカ腎臓学会の調査チームによる分析によれば、入院患者のうち5人に1人が急性腎障害(AKI)を発症していたそうです。

人工透析技術の進歩によって、腎臓が悪化したという直接的な原因が死因になることは少ないのですが、腎臓は様々な臓器と関係があり、最近では、急性腎障害(AKI)になると、さまざまな臓器に炎症が出たり、障害が出ることがわかってきているそうで、それが多臓器不全につながっていたり、多臓器不全から急性腎障害(AKI)が起きるということがあるそうです。

再生腎臓によってネットワーク自体がつながるのかどうかはまだわかりませんが、もし再生腎臓が臓器同士が連携するネットワークの要になりうるものだとしたら、再生腎臓研究は多くの人の命を救う研究になるのではないでしょうか。







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