血糖値を下げる方法(食事法)によれば、食後一時間以内に運動や入浴をすると、血糖値は抑えられると紹介されていましたが、食後できるだけ早く(理想は15分以内、遅くとも30分以内)、10〜30分程度の軽いウォーキングやスクワットなど運動を行うと、食後の血糖値上昇(血糖値スパイク)が抑えられることが、複数の研究で分かっています。
〇Engeroffら(2023)の研究(Sports Medicine)
健康者および耐糖能異常者(血糖の処理が少し悪くなっている人)を含む8つのRCT(クロスオーバー、参加者116名)を分析した論文です。
ウォーキングなどの運動は、食後できるだけ早く行う方が、食後しばらく時間を置いてからや食前に行うよりも、食後の血糖値の上がりを抑える効果が高い。
食事と運動の間隔が短いほど効果が大きく、間隔が長くなるほど効果が弱まる。
結論として「できるだけ早く行うのが良い」。
〇Kangら(2023)の研究(Nutrients)
過体重・肥満・2型糖尿病者を対象とした31の研究をまとめたものです。
食後運動(PPE)はグルコース食後血糖値曲線下面積(AUC)の低下は、運動時間が30分を超えた場合のほうが30分以下より大きかった。
24時間平均グルコース値の低下も、食後60分以上たってから運動したほうが60分未満より大きく、2型糖尿病の人のほうがそうでない人より大きかった。
〇Belliniら(2021、Medicine & Science in Sports & Exercise)の一連のクロスオーバー研究
食後運動は食前運動より血糖反応を改善。
食後運動は血糖反応を改善したが、食前運動では改善しなかった。
血糖ピークの抑制効果は、食事開始15分後に運動を始めた場合に特にはっきり出た。
30分後開始でも効果はあるが、ピーク抑制は15分後の方が優れる傾向。
異なる運動種目(有酸素・レジスタンス・複合)で同様の低減が見られ、連続30分程度で十分で、細切れでも累積10〜20分で効果あり。
30分および45分の速歩は、血糖値の下がり方はほぼ同じだった。
■どんな運動がいいの?
ウォーキングが一番確実に効果がでやすいですが、自体重スクワットなどの短時間・低強度レジスタンス運動も有効との報告があります。
〇日本の研究(長﨑ら、2021、糖尿病)
健常な成人男性で糖負荷後30分に自体重スクワット(10回×3セット)を実施すると、じっとしている場合に比べて血糖が有意に低下し、AUCも低減。
〇他の研究では、食後にスクワット・プッシュアップ・ランジなどを組み合わせた約7分の運動やステップ運動(階段の昇り降りのような動き)がウォーキングに近い効果を示す場合があり、等尺性ウォールスクワット(壁に背中をつけてじっと膝を曲げ続けるだけのスクワット)単独では効果が弱い例もあります。
食後血糖反応を改善するにはウォーキングが最も効果的な戦略であるが、ステップ運動、およびスクワットも食後血糖値を下げるために使用できます。
■なぜ効果があるの?メカニズム
筋肉を動かすと、筋肉が糖(グルコース)を積極的に取り込むようになり、血液中の血糖値の上昇がゆるやかになります。
軽い〜中くらいの強度で十分で、長く激しくやる必要はありません。
消化に負担をかけないよう、軽い運動のほうが現実的です。
■まとめ
食事を始めてからできるだけ早く(理想は15分以内、遅くても30分以内)に、10〜30分くらいの軽いウォーキングやスクワットなどをすると、血糖値スパイクを抑えやすくなります。
→ 血糖値とは|血糖値を下げる食品・正常値・空腹時血糖値・食後血糖値 について詳しくはこちら
【参考文献】
- Engeroff T, Groneberg DA, Wilke J. After Dinner Rest a While, After Supper Walk a Mile? A Systematic Review with Meta-analysis on the Acute Postprandial Glycemic Response to Exercise Before and After Meal Ingestion in Healthy Subjects and Patients with Impaired Glucose Tolerance. Sports Med. 2023 Apr;53(4):849-869. doi: 10.1007/s40279-022-01808-7. Epub 2023 Jan 30. PMID: 36715875; PMCID: PMC10036272.
- Kang J, Fardman BM, Ratamess NA, Faigenbaum AD, Bush JA. Efficacy of Postprandial Exercise in Mitigating Glycemic Responses in Overweight Individuals and Individuals with Obesity and Type 2 Diabetes-A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2023 Oct 23;15(20):4489. doi: 10.3390/nu15204489. PMID: 37892564; PMCID: PMC10610082.
- Bellini A, Nicolò A, Bazzucchi I, Sacchetti M. Effects of Different Exercise Strategies to Improve Postprandial Glycemia in Healthy Individuals. Med Sci Sports Exerc. 2021 Jul 1;53(7):1334-1344. doi: 10.1249/MSS.0000000000002607. PMID: 33481486.
- 長﨑 浩爾, 玉里 祐太郎, 西村 一樹. 糖負荷後高血糖に対する自体重スクワットの急性降下作用. 糖尿病. 2021;64(12):569-576.
- Bellini A, Nicolò A, Rocchi JE, Bazzucchi I, Sacchetti M. Walking Attenuates Postprandial Glycemic Response: What Else Can We Do without Leaving Home or the Office? Int J Environ Res Public Health. 2022 Dec 24;20(1):253. doi: 10.3390/ijerph20010253. PMID: 36612575; PMCID: PMC9819328.
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