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手術時にがんだけを光らせるスプレーが開発される|東大

Medical/Surgical Operative Photography

by Phalinn Ooi(画像:Creative Commons)




手術中にがんだけを光らせるスプレー、東大が開発

(2015/3/16、日経デジタルヘルス)

東京大学大学院 医学系研究科・薬学系研究科 教授の浦野泰照氏らは、手術時にがんが疑われる部分にスプレーを噴霧するだけで、がん部位を光らせて周辺組織と区別できる蛍光試薬を開発した。同氏らのグループが従来開発した試薬に比べて、多くのタイプのがんに対応できる。

肝がん細胞を光らせる新検出法開発という記事で、従来発見できなかった微小ながん化部分を特殊なカメラで光らせて発見する新しい検出法というものを紹介しましたが、東京大学大学院 医学系研究科・薬学系研究科の浦野泰照教授はがんの部位だけを光らせるスプレーを開発したそうです。

微小ながんの見逃しが少なくなり、また、より精度の高い手術になっていくことが期待されます。







ResearchKit、50以上の医療機関が協力しても1年以上はかかることを24時間で達成

iPhone

by Toshiyuki IMAI(画像:Creative Commons)




ResearchKit、50の医療機関が1年がかりで行うタスクを24時間で達成

(2015/3/13、iphone mania)

スタンフォード大学のAlan YeungメディカルディレクターはBloombergに対し、ResearchKitが公開されてから24時間で、すでに1万1,000人もの人々が心臓血管研究にサインアップした、と語っています。

ResearchKitは、医学・医療研究用のiPhoneアプリを開発するためのオープンソースのソフトウェアフレームワークですが、ResearchKit公開後24時間で1万人以上が心臓血管研究にサインしたということです。

このことは、どのくらいすごいことなのでしょうか?

同氏によれば、通常医療研究への参加者を1万人集めるには、全米中の50の医療機関が協力しても1年はかかるそうです。

通常の方法で医学研究の協力者を1万人集めるには、50以上の医療機関が協力しても1年以上はかかるという規模のことを24時間で達成したのですからすごいことですよね。

そして、この研究方法にはもう一つのメリットがあります。

またiPhoneを利用した研究参加には、データ報告の精度が向上するという長所もあります。こうした医療研究に参加する人々は、通常自分で記録を採り、それを医療機関に報告することになりますが、時にはエクササイズをした時間が正確でないなど、報告内容に間違いが含まれている場合があります。

しかしiPhoneを使うと、iPhoneがエクササイズ時間や歩数、心拍数などを自動的に記録するため、こうした間違いが減少します。

自動的に記録するため、データをとるタイミングが一定となり、データの精度が向上することが期待されます。

また、人によっては意図的でもそうでなくても間違いを記入するということもありますが、そういったことも排除することができ、データの精度がより正確になると考えられます。

ただ、この研究方法には2点ほど気になることがあります。

1.データの偏り

世論調査のCivicScienceによれば、平均的なAndroidユーザーと比べ、iPhoneユーザーは大学院卒や博士号取得者が多いという結果が出ています。

iPhoneユーザーには大学院卒や博士号取得者が多いそうです。

「所得と生活習慣等に関する状況」のグラフから見えてくるものー厚生労働省調査によれば、男女問わず、年収が高い人ほど野菜摂取量が多い、もしくは、野菜摂取量が多い人ほど年収が高いといえます。

低収入ほど野菜不足-厚労省栄養調査で紹介した厚生労働省が発表した2011年の国民健康・栄養調査によれば、低収入ほど野菜の摂取量が不足しているという結果が出たそうです。

また、低所得者ほど生活習慣に問題=野菜食べず、運動しないという記事によれば、低所得者ほど野菜を食べる量が少なかったり、運動の習慣がなかったりと、生活習慣に問題がある傾向があることがわかったそうです。

健康格差とは健康格差は、収入・学歴などが要因?でも取り上げましたが、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるということがWHOでも一つの問題として注目されているようです。

つまり、所得の格差が健康の格差を生むことによって、データに偏りが出てくるのではないかと考えられるのです。

2.誤操作などによってデータが正確でなくなる

また間違ってボタンを押してしまう、ほかの人がiPhoneを持ち歩くといったケースにより、データが正確でなくなることも考えられます

この問題は外れ値として排除できると思われるのでそれほど大きな問題とはならないかと思います。

■まとめ

医学・医療研究に「ResearchKit」が役立つことを期待したいですね。

健康データを集めれば健康になれるわけではないでも書きましたが、10年以上健康について携わっていますが、人は、楽しい時(遊びに出かける週末)は健康について考えないものなのです。

つまり、本当は健康について考えない日の方が健康でいられるのではないかということです。

ストレスのかからないライフスタイルになれば、結果健康でいられる(健康に対する不安を感じない)のであって、健康データを集めれば健康になれるわけではないのです。

物事の本質はそこにあります。






網膜色素変性症によって失明した男性が人工網膜を装着して10年ぶりに妻の姿を見る

Mayo Clinic patient’s first impressions with bionic eye

参考画像:Mayo Clinic patient’s first impressions with bionic eye(スクリーンショット)

健康・美容チェック > 目の病気 > 網膜色素変性症によって失明した男性が人工網膜を装着して10年ぶりに妻の姿を見る




失明男性、10年ぶりに妻の顔を見る。「人工の目」を使って

(2015/2/27、ハフィントン・ポスト)

男性は68歳のアレン・ズデラードさんで、遺伝性の病である網膜色素変性症によって徐々に視力を失った。人工網膜の臨床試験に参加して「人工の目」を装着。

<中略>

「人工の目」である特殊眼鏡の装置は、損傷した網膜を使用せずに、視神経へ信号を送信して物体を見るもの。

網膜色素変性症によって失明した男性が人工網膜を装着して10年ぶりに妻の姿を見ることができたというニュースです。

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=Mu5099aJWcU[/youtube]

2010年にお伝えした最新式「人工眼」で視力回復に成功によれば、人工器官を網膜に埋め込み、眼鏡に装着した極小の外部カメラとつなぐ「人工眼」の開発が進んでいました。

その仕組みとしては、カメラが拾った光をプロセッサ装置を通し、電気信号に変えて人工器官へ送信し、さらに器官から視神経へそのデータを送って脳に映像を見せる仕組みでした。

今回の記事によれば、

映像は、わずかに顔の輪郭がわかる程度のぼんやりしたもの

ということで、2010年当時の研究に比べてどれほど進歩しているのか今ひとつわかりませんが、もっとこの分野が進むことによって、緑内障加齢黄斑変性などの目の病気によって失明された方の視力が回復する日も近いかもしれません。

⇒ 目の病気について詳しくはこちら







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P.S.

網膜色素変性症とは、網膜色素変性は、眼球の後ろの網膜にある光受容器が徐々に機能しなくなる進行性の疾患です。

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ナノ粒子を用いたアテローム性動脈硬化症の新治療法とは−米研究

Jennifer drawing ideas

by Juhan Sonin(画像:Creative Commons)




「超小型無人機」で血流からコレステロール除去、米研究

(2015/2/20、AFPBB)

超小型無人機のように動作する微小ナノ粒子を使い動脈内に蓄積したプラークまで薬剤を運んで治療する実験的治療法を開発中との研究論文が、18日の米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)」に掲載された。

以前、GOOGLEX、ナノ粒子とウェアラブル端末を用いてがんを早期発見するプロジェクトを発表という記事を紹介しましたが、今回のニュースによれば、ナノ粒子に抗炎症薬を組み込んで運ばせ、プラークが蓄積されている部位で治療薬を放出させるという研究が行われているそうです。

今後さらに安全性試験を重ねる必要があるが、現在のところ科学者らは、アテローム性動脈硬化症の治療に新たな道が開ける可能性があるのではと注目している。アテローム性動脈硬化症は、米国やその他の先進国における死因トップの心疾患を引き起こす。

アテローム性動脈硬化症とは何なのでしょうか。

アテローム性動脈硬化症−UNEX

アテローム性動脈硬化症とは動脈硬化の一種で、高血圧高血糖などの理由により血管内膜が傷つき、その隙間から血管内膜の下に入り込んだコレステロールが白血球の一種であるマクロファージに捕食され、その死骸が溜まり アテローム状(粥状の塊)になり、血管のしなやかさが失った状態であると考えられています。

アテローム性動脈硬化症とは、アテロームと呼ばれる沈着物(血液中の脂肪、コレステロール、カルシウムおよびその他の物質)が動脈の内側に蓄積した状態のことをいうようです。

アテローム性動脈硬化症をそのままにしておくと、脳梗塞心筋梗塞などの病気になる恐れがあります。

つまり、今回の研究が進めば、よりピンポイントに治療薬を届けることができることで、動脈硬化の治療がよりよいものになると考えられます。

→ 動脈硬化とは|動脈硬化の症状・原因・改善方法 について詳しくはこちら

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■動脈硬化関連ワード

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ES細胞から網膜に近い組織を効率的に作ることに成功 「網膜色素変性症」などの再生医療に役立つ可能性|理研・住友化学

Eye

by Alper Çuğun(画像:Creative Commons)




<網膜再生>より現実的に ES細胞から作製、理研など成功

(2015/2/19、毎日新聞)

ヒトのES細胞(胚性幹細胞)から、従来より生体の網膜に近い組織を効率的に作ることに成功したと、理化学研究所多細胞システム形成研究センター(神戸市)と住友化学が発表した。目の難病「網膜色素変性症」などの再生医療に役立つ可能性があるという。

以前、ヒトES細胞から目の網膜組織の形成に世界初成功-理化学研究所などというニュースをお伝えしましたが、理化学研究所多細胞システム形成研究センターと住友化学によれば、ES細胞から従来よりも網膜に近い組織を効率的に作ることに成功したそうです。

ヒトES細胞から目の網膜組織の形成に世界初成功-理化学研究所などによれば、眼の網膜は脳などと同様に中枢神経組織から生まれますが、再生力が弱く、網膜色素変性症など重い疾患にかかると自然回復は見込めませんでした。

しかし、今回の研究によって、これまで治療が難しいと思われた目の病気である網膜色素変性症などの治療法として期待されます。

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