■ウェアラブルデバイス、次に注目されるのは「耳の中」!?
by Dan Cook(画像:Creative Commons)
(2014/11/30、日経デジタルヘルス)
杤久保修氏(横浜市立大学 医学部 社会予防医学 寄附講座・特任教授)は、ウェアラブルデバイスを装着し生体情報の取得場所として「耳」に着目しているそうです。
その理由は2つ。
1.ながら作業が可能
眼鏡型の場合は視界が遮られることによりうっとおしさを感じる可能性がありますが、耳の中ではながら作業ができます。
2.耳の中は様々な生体情報が取得可能
耳の中の温度(耳孔温度)は脳の温度に近く、耳孔温度が脈拍数と同期して変動するような時は体調が良く、リズムが狂うと体調が崩れやすいそうです。
音楽を聞きながらでも健康に関するデータを取得できれば面倒くささもありませんよね。
また、耳の中の温度は脳の温度に近く、脳のリズムを反映するということですので、耳につけるからこそわかる情報もありそうです。
■ヒアラブル端末とは?
「Walkman」に勝るとも劣らない衝撃をもたらし得る「ヒアラブル端末」の登場。伸び悩むウエアラブル端末の閉塞感を破る製品群になりそうだ。 https://t.co/N0X5bgYtNw
— nikkei BPnet (@nikkeibpnet) 2017年5月23日
(2017/5/19、日経テクノロジー)
ヒアラブル(Hearables)端末は、ヘッドホン(headphone)とウエアラブル(wearable)を合わせた造語で、主にBluetoothを用いたワイヤレスのヘッドホンやイヤホン、補聴器などを指します。
ウェアラブルデバイスの中でも、耳に関連したものを「ヒアラブル」というふうに考えるとよいのではないでしょうか。
■耳の穴で反響した音の違いによって個人認証
参考画像:NEC、人によって異なる耳穴の形状を音で識別する生体認証技術を開発(2016/3/7、NEC)|スクリーンショット
NEC、人によって異なる耳穴の形状を音で識別する生体認証技術を開発
(2016/3/7、NEC)
耳の各部のサイズや形状は人によって異なるため、個人の判別に有効です。一般に音響信号は外耳道から鼓膜に達し、さらに中耳、内耳へと進みます。特に、外耳道を通って鼓膜で反射して返ってくる信号成分と、鼓膜を通過してさらに奥で反射して返ってくる信号成分が重要であることが実験の結果分かりました。本技術は、これら2種類の信号成分に対応する周波数帯を含む少数の特徴量を抽出します。本特徴量により、少ない計算量での動作が可能になるとともに、外的環境の影響を排除することで、安定して高精度な認証(99%以上)を実現します。
NECは、長岡技術科学大学と協力して、耳の穴で反響した音の違いによって、個人を判別する生体認証技術を開発したそうです。
【ピースサインに要注意!?】ネット上に投稿された手の画像から指紋が読み取られてしまう!?によれば、生体認証として、指紋認証や虹彩認証(目)、歩容認証(歩き方)などの個人認証システムが開発されていますが、耳の穴の形状で生体認証する技術も今後注目を集めるのではないでしょうか。
→ NEC、人間の耳には聴こえない音で個人を識別する耳音響認証技術を開発|なりすまし防止、医療現場やコールセンターなどでのハンズフリー認証による業務効率化、スマートイヤホンへの応用に期待 について詳しくはこちら
【参考リンク】
- NEC、ヒアラブルデバイスのプロトタイプを開発(2017/5/23、NEC)
■耳の穴にセンサーを接触させて体温を計測するウェアラブル体温計「degree°」
degree° – continuous thermometer for children
「degree°(indiegogoのサイトに移ります)」は、接触型センサー部分を耳の中に入れて体温を常に計測するウェアラブル体温計です。
先ほどの記事で紹介した杤久保修さん(横浜市立大学 医学部 社会予防医学 寄附講座・特任教授)によれば、耳の中の温度(耳孔温度)は「脳の温度に近く、脳が生み出す(生体)リズムを反映する。耳孔温度が脈拍数と同期して変動するような時は体調が良く、両者のリズムが狂うと体調が崩れやすい」とコメントしていましたから、体調管理をするウェアラブルデバイスの装着場所として「耳」を選ぶというのは自然なのかもしれません。
【参考リンク】
- 子どもを24時間見守る耳式ウェアラブル体温計「degree°」–急な高熱を警告(2017/6/27、CNET Japan)
■まとめ
耳をウェアラブルデバイスの装着場所として活用することは、1.ながら作業が可能、2.耳の中は生体情報が取得可能であるため、視界が遮られないため、うっとうしさがないため、注目していきたいですね。
また、耳の穴の形状や耳の穴で反響した音は人それぞれ違うため、例えば、個人認証が必要とされるときにも、全てをビデオで録画されることには抵抗がある人もいるかもしれませんが、音によって個人認証ができるようなことができれば、音の記録だけで映像は必要がないため、プライバシーを守りながら、セキュリティ対策ができる可能性がありそうです。
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