■「走り込み」はサッカーのトレーニングメニューとして必要なのか?
サッカーのトレーニングメニューとして有名なものが「走り込み」ですよね。
「走り込み」と聞いて30代後半以上のサッカーファンが頭に思い浮かべるのは長崎県の国見高校ではないでしょうか?
(2015/8/5、スポルティーバ)
「そう。しかも僕らは、他の学校が試合をしているときも、ずっと走っていましたからね。他校の選手たちは、次の試合に備えて日陰で休んでいるのに……。新潟工高のグラウンドでやっていたと思うんですが、そこにはまた、いい具合に走る場所があったんですよ……。
そればかりか、場合によっては、試合のハーフタイムの間にも走らされていました。前半の内容が悪かったりすると、確実です。でも、そんな状態にあっても、僕らは後半、いい試合をするわけですよ。だって、後半もダメだったりすると、また余計に走らされますから(笑)。ほんと、よく走らされましたよ。水も飲まずに、ね」
長崎県の国見高出身の三浦淳宏さんが当時の走り込みのエピソードを紹介してくれていますが、ものすごく過酷なトレーニングを行なっていたことが分かります。
(鹿児島県の鹿実こと鹿児島実業も同じように走り込みをしていたそうです。)
[選手権]“狂うほど”の想いと“プロ並み”の走力強化、流経大柏が日本一へ挑戦
(2014/12/28、ゲキサカ)
50mを8秒以内で走り、24秒の休憩後に16秒以内で100m走、48秒の休憩後に24秒以内で150m走・・・というようにその後200、250、300mと走るインターバル走を4セット行う。
千葉県の流通経済大柏高では、運動量豊富なサッカーを展開する松本や湘南ベルマーレが取り入れているというレベルの走力強化を行なっていたそうです。
(走り込みというよりもインターバル走を行なうようになったというほうが正確かもしれません)
ここで考えることは、「走り込みによって(サッカーのために)どんな効果が得られるのか?」という視点です。
走り込みから得られる効果としては、「体力づくり」「持久力アップ」「相手チームに走り負けない」「(技術は劣るかもしれないけど)足だけは負けない、走ってきた距離だけは負けないという自信」が得られるということが考えられます。
しかし、近年では新しいトレーニング理論によっては「走り込み」に対して否定的な意見もあります。
バルサも採用するサッカーのコンディショニングトレーニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」によれば、サッカーは持久走のスポーツではなく、瞬間的なアクションが多く、長く持久的なトレーニングをさせると、かえって速筋が減ってしまうおそれがあるため、基本的に、選手たちにランニングや持久走をさせず、ほぼすべてのフィジカルトレーニングをボールを持って行なうというトレーニング理論があります。
また、競技は違いますが、野球のトレーニングにおいても、走り込みをメニューとしてトレーニングを行なっていますが、以前テレビでメジャー時代の斎藤隆投手が球団より足腰を鍛えるジョギングをする際に、走り込みによるけがのリスクを軽減するために、下肢の重力を取り除いてランニング・リハビリを行なうように指示されていたように、走り込みをあまりしないようにする球団もあるようです。
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このようにトレーニングにおける「走り込み」に対する考え方は変わってきています。
しかし、気になることも一つ。
(2015/8/5、スポルティーバ)
水分補給はもちろん、トレーニングなども科学的になって、何不自由なく、厳しい環境に置かれることが少ない。それで、技術的にはうまくなっているのは確かだけど、でも”その部分”がないと勝負には勝てませんからね。
三浦淳宏さんのインタビューによれば「走り込み」を通じてハングリー精神を学んだということもあり、それを厳しい環境下ではないところでどのようにして育てていけばよいかはコーチが考えていかなければならないところでしょう。(根性論ではないところで)
■まとめ
まだまだトレーニングの進歩の余地はあります。
例えば、#サッカー アーセナル育成コーチが感じる日本人選手の3つの弱点とは?によれば、日本人選手は1.基礎の反復練習を嫌いトラップやパスの正確性に欠ける、2.パワー不足、3.ミスを恐れる傾向があるという弱点があるそうです。
また、NHK奇跡のレッスン 世界の最強コーチと子どもたち サッカー指導編によれば、型にはまったトレーニングばかりを行ない、自分たちで考えようとしなかったり、「中は危険。外側から。安全第一」というようなコーチの考え方がチームの考え方になってしまっている傾向があるそうです。
その他にも、栄養管理や疲労回復といったコンディショニングについても学んでいくことが重要でしょう。
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日大アメフト部のニュースが話題ですが、これからは、どのようにトレーニングを改善したかによって成果がどう変わったのかなどが取り上げられることによって、コーチングのレベルが上がっていくといいですね。
→ どのようにしたらコーチのトレーニング理論がより良くなるのか? について詳しくはこちら