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【ウエイトトレーニングの誤解】子供の身長を伸ばし、アスリートの能力を引き出す除脂肪体重(LBM)や除脂肪指数(FFMI)のデータ活用術




Xで日本ハムの横尾俊建打撃コーチが『打球速度,スイングスピード,除脂肪量指数』を重要視しているという投稿を見かけました。

「除脂肪量」という言葉をどこかで目にしたことがあるなと思い、筋トレ(筋肉を鍛える)をすると背が伸びなくなるのか?|子供の身長を伸ばすために必要な要素とは?を見たところ、その中で、子供の成長をチェックするための数値として、除脂肪体重という言葉があることを思い出しました。

スラリちゃん・伸びマッスル表によれば、除脂肪体重について2つの大事なポイントが書かれています。

一つは身長の伸びと除脂肪体重(LBM)の増加が相関関係にあること。

成長期では、身長の伸びとLBMの増加が相関することがわかってきています(松田ら, 2019)。
つまり、身長が成長スパートを迎える同じ時期に、LBMの増加もスパートを迎えることが、背を伸ばす秘訣なのです。

もう一つは海外のアスリートがパフォーマンスを上げるためにLBMに着目してコンディション管理していること。

トレーニングの成果として除脂肪体重(LBM)が増えれば、摂取エネルギーも増加させなければなりません。除脂肪体重(LBM)が1kg増えたなら、60kcal(おにぎり約1/3個分相当)のエネルギーをプラスして摂取しましょう。

※除脂肪体重(LBM)(kg)=体重(kg)×(100 – 体脂肪率(%) ÷ 100)

※除脂肪量指数(FFMI)は、体重から脂肪を除いた「除脂肪体重(LBM)」を身長(m)の2乗で割った数値です。BMIとは異なり「身長に対してどれだけ筋肉量があるか」を客観的に評価できるため、アスリートのコンディショニングの指標となっているそうです。

【参考リンク】

女性アスリートの除脂肪指数とFemale Athlete Triadの関連

これまで、アスリートの体組成は体脂肪率やBMIなどで評価されてきたが、アスリートは日々のトレーニングによって除脂肪量を増加させているため、身長を考慮した除脂肪指数(FFMI)に着目すべきである。本研究は、多種目の日本人女性アスリートのFFMIを明らかにし、FFMIが低値の女性アスリートはFemale Athlete Triad(FAT)のリスクが高く、エネルギー不足の指標になることを示唆した。

つまり、除脂肪体重(LBM)や除脂肪指数(FFMI)は子供の成長を見守る数値でもあり、アスリートのコンディショニングの指標になる数値なんですね。

「ウエイトをすると身長が伸びない」は本当か? 日本ハムの打撃改革を進めた元アナリストが指摘する、日本球界でデータ活用が進まない理由(2026年5月8日、スポーツナビ)

日本ハムは打球データをどう計測し、選手の育成に活用しているのか。同記事内では「打球速度」と「打球角度」、さらに「除脂肪体重」を上げることの重要性などが語られている。

<中略>

いまだに『ウエイトトレーニングをすると身長が伸びない。ケガにつながる。筋肉が固くなる』というのが一般的な認識だと思いますが、そこから変えていかないといけない。

<中略>

基本的にフィットネスは除脂肪体重と言われるものにつながります。簡単に言うと『筋肉量が多ければスイングが速い、投球が速い』という部分が確実に出ています。

この記事の中を読んで重要だと感じたのは、フィットネスやウエイトトレーニングに対する考え方をアップデータする必要があること。

「身体の成長期にウエイトトレーニングを行うのはリスクがある」とはよく言われる意見ですが、それはあまりにも漠然とした意見です。

ウエイトトレーニングとはいっても、ただ器具を使って重いものを持ち上げればいいんだろうという人と、きちんとしたフォームでやると成果が上がりやすいとか、同じ身長のお子さんでも体重に20kgの差があった場合や体(軟骨・関節)の柔らかさが違う場合があり、違いに合わせて重さも少しずつ調整ができるのであれば、より安全に配慮したトレーニングが可能になります。

特に低学年の子供の場合は急激なスピードで変わってきますし、また成長スパート期には無理した運動を避けるなどの対応もできます。

同様に、成人アスリートも定期的に除脂肪指数(FFMI)を計測することが自身のコンディショニングをチェックする方法を手に入れることになるんですね。

フィットネスやウエイトトレーニングの考え方をアップデートすることがよりお子さんの成長を見守ることになりますし、また自身のコンディショニングにも役立つのではないでしょうか?

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「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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「走り込み」はサッカーのトレーニングメニューとして必要なのか?




■「走り込み」はサッカーのトレーニングメニューとして必要なのか?

「走り込み」はサッカーのトレーニングメニューとして必要なのか?
「走り込み」はサッカーのトレーニングメニューとして必要なのか?

サッカーのトレーニングメニューとして有名なものが「走り込み」ですよね。

「走り込み」と聞いて30代後半以上のサッカーファンが頭に思い浮かべるのは長崎県の国見高校ではないでしょうか?

高校サッカー界屈指の練習量を誇る国見。その驚愕の「夏合宿」

(2015/8/5、スポルティーバ)

「そう。しかも僕らは、他の学校が試合をしているときも、ずっと走っていましたからね。他校の選手たちは、次の試合に備えて日陰で休んでいるのに……。新潟工高のグラウンドでやっていたと思うんですが、そこにはまた、いい具合に走る場所があったんですよ……。

 そればかりか、場合によっては、試合のハーフタイムの間にも走らされていました。前半の内容が悪かったりすると、確実です。でも、そんな状態にあっても、僕らは後半、いい試合をするわけですよ。だって、後半もダメだったりすると、また余計に走らされますから(笑)。ほんと、よく走らされましたよ。水も飲まずに、ね」

長崎県の国見高出身の三浦淳宏さんが当時の走り込みのエピソードを紹介してくれていますが、ものすごく過酷なトレーニングを行なっていたことが分かります。

(鹿児島県の鹿実こと鹿児島実業も同じように走り込みをしていたそうです。)

[選手権]“狂うほど”の想いと“プロ並み”の走力強化、流経大柏が日本一へ挑戦

(2014/12/28、ゲキサカ)

50mを8秒以内で走り、24秒の休憩後に16秒以内で100m走、48秒の休憩後に24秒以内で150m走・・・というようにその後200、250、300mと走るインターバル走を4セット行う。

千葉県の流通経済大柏高では、運動量豊富なサッカーを展開する松本や湘南ベルマーレが取り入れているというレベルの走力強化を行なっていたそうです。

(走り込みというよりもインターバル走を行なうようになったというほうが正確かもしれません)

ここで考えることは、「走り込みによって(サッカーのために)どんな効果が得られるのか?」という視点です。

走り込みから得られる効果としては、「体力づくり」「持久力アップ」「相手チームに走り負けない」「(技術は劣るかもしれないけど)足だけは負けない、走ってきた距離だけは負けないという自信」が得られるということが考えられます。

しかし、近年では新しいトレーニング理論によっては「走り込み」に対して否定的な意見もあります。

バルサも採用するサッカーのコンディショニングトレーニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」によれば、サッカーは持久走のスポーツではなく、瞬間的なアクションが多く、長く持久的なトレーニングをさせると、かえって速筋が減ってしまうおそれがあるため、基本的に、選手たちにランニングや持久走をさせず、ほぼすべてのフィジカルトレーニングをボールを持って行なうというトレーニング理論があります。

また、競技は違いますが、野球のトレーニングにおいても、走り込みをメニューとしてトレーニングを行なっていますが、以前テレビでメジャー時代の斎藤隆投手が球団より足腰を鍛えるジョギングをする際に、走り込みによるけがのリスクを軽減するために、下肢の重力を取り除いてランニング・リハビリを行なうように指示されていたように、走り込みをあまりしないようにする球団もあるようです。

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このようにトレーニングにおける「走り込み」に対する考え方は変わってきています。

しかし、気になることも一つ。

高校サッカー界屈指の練習量を誇る国見。その驚愕の「夏合宿」

(2015/8/5、スポルティーバ)

水分補給はもちろん、トレーニングなども科学的になって、何不自由なく、厳しい環境に置かれることが少ない。それで、技術的にはうまくなっているのは確かだけど、でも”その部分”がないと勝負には勝てませんからね。

三浦淳宏さんのインタビューによれば「走り込み」を通じてハングリー精神を学んだということもあり、それを厳しい環境下ではないところでどのようにして育てていけばよいかはコーチが考えていかなければならないところでしょう。(根性論ではないところで)

■まとめ

まだまだトレーニングの進歩の余地はあります。

例えば、#サッカー アーセナル育成コーチが感じる日本人選手の3つの弱点とは?によれば、日本人選手は1.基礎の反復練習を嫌いトラップやパスの正確性に欠ける、2.パワー不足、3.ミスを恐れる傾向があるという弱点があるそうです。

また、NHK奇跡のレッスン 世界の最強コーチと子どもたち サッカー指導編によれば、型にはまったトレーニングばかりを行ない、自分たちで考えようとしなかったり、「中は危険。外側から。安全第一」というようなコーチの考え方がチームの考え方になってしまっている傾向があるそうです。

その他にも、栄養管理や疲労回復といったコンディショニングについても学んでいくことが重要でしょう。

日大アメフト部のニュースが話題ですが、これからは、どのようにトレーニングを改善したかによって成果がどう変わったのかなどが取り上げられることによって、コーチングのレベルが上がっていくといいですね。

→ どのようにしたらコーチのトレーニング理論がより良くなるのか? について詳しくはこちら







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サッカーにおけるコンディショニングの大切さ|栄養補給のポイント(試合前日・試合当日・キックオフ前・ハーフタイム)

【目次】




■コンディショニングに求められる5つの要素

Time for a Drink

by Jon Candy(画像:Creative Commons)

勝利の陰に栄養補給 敏腕サッカートレーナー挑む

(2015/6/20、日本経済新聞)

来季、ドイツ1部リーグのドルトムントのフィットネス責任者に就任するライナー・シュレイ氏の選手のコンディショニングについての話が大変興味深いので紹介したいと思います。

1.アスリートとしての基本能力

柔軟さ、パワー、スピード、持久力、バランス、安定性など

2.日常の食事

3.腱(けん)・靱帯のケア

4.練習・試合における栄養補給

5.回復

錦織圭選手のコンディショニング戦略(栄養管理・ピリオダイゼーション・ケガの予防)によれば、アスリートにとって最も重要なのは、試合や練習までに、いかに多くのエネルギー源=糖質を蓄えておけるかであり、運動で空になった糖質と、筋肉の材料となるたんぱく質をいかに素早く摂取できるかという点にあるそうです。

そして、特に気を付けたのが、運動直後の栄養補給。

身体に備わっている回復力が最も発揮されるこのタイミングで、十分な糖質とタンパク質を取れていれば確実な回復ができますが、そうでなければ回復できる幅が狭くなってしまうそうです。

マンチェスター・シティでは血液検査をして選手に食品のアドバイスや栄養ドリンクを準備しているによれば、マンチェスター・シティでは、血液検査を行なって、必要な食品のアドバイスを行ったり、選手一人ひとりに合わせて作られた栄養ドリンクを用意しているそうです。

「練習・試合における栄養補給」はパフォーマンスを維持する・高めるだけでなく、ケガをしづらい体を作るためにも重要であり、そのスタンダードができつつあるそうです。




■コンディショニングの大切さ

バルサも採用するサッカーのコンディショニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」によれば、チームのパフォーマンスが低下してしまうのには、大きく分けて2つの理由があります。

一つは、「疲労で選手が動けない」ということ。

もう一つは90分間のペース配分を重視しすぎるがゆえに、「体力をセーブして選手が動かない」こと。

チームが90分間爆発的な動きを続けるためにも重要なのがコンディショニングなのです。

■栄養補給のポイント


●試合前日は、炭水化物を適度に摂り、野菜も忘れない

錦織圭選手のコンディショニング戦略(栄養管理・ピリオダイゼーション・ケガの予防)でも紹介しましたが、アスリートにとって最も重要なのは、試合や練習までに、いかに多くのエネルギー源=糖質を蓄えておけるかであり、そのためには、炭水化物を適度に摂ることは欠かせません。

また、エネルギーに変えるためには、ビタミン・ミネラルが必要になるので、野菜も必要です。


サッカー選手はオメガ3を摂ってケガしにくい体質を作ろう

オメガ3には炎症を抑える効果があり、ケガを予防するためにも、オメガ3を摂って、それ以外の油を摂らないことが望ましいそうです。

→ オメガ3脂肪酸|オメガ3の効能・効果・食べ物・オメガ3ダイエット について詳しくはこちら


●試合当日の食事は、炭水化物を食べ過ぎない

試合当日の朝食は、オート麦のフレークやミュズリをヨーグルトに入れ、お好みでオムレツやサーモンとチーズを挟んだ全粒粉のパンを合わせるようにするそうです。

血糖値を正常値に保つために、炭水化物を食べ過ぎないようにすることがポイント。


●試合当日の昼食は、魚がおすすめ

試合当日のランチは軽めにするようにして、炎症を増進する恐れがあるアラキドン酸が含まれる豚肉や鶏肉を避けるようにするそうです。

ケガを予防するためにも、魚を選ぶほうが良いそうです。


●試合の2,3時間前はハーブを摂取

炎症を防ぐ栄養素が含まれているので試合の2、3時間前にハーブをとるようにしているそうです。

ファイアー・ココアは、牛乳カップ1、カカオパウダースプーン2杯、はちみつ、シナモン、唐辛子を入れたもので、生姜と蜂蜜には胃腸を整える効果があるそうです。

ハーブには炎症を抑える栄養素が含まれており、また、試合当日は緊張するので、胃腸を整え、リラックスするハーブを摂取するとよいそうです。


●試合開始10分前にはスペシャルドリンク

スペシャルドリンクには、ナトリウム、炭水化物、タンパク質が少量入った物を用意しており、また、アミノ酸のアルギニンを加えるそうです。

→ アミノ酸の効果・効能・種類・アミノ酸を含む食べ物 について詳しくはこちら

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●ハーフタイム

60分から70分で蓄えられたエネルギーはなくなるため、ハーフタイムに炭水化物の量を増やしたドリンクで補給するそうです。

■まとめ

今回の記事は、ライナー・シュレイ氏と栄養学の専門家、ヴォルフガング・ファイル氏との共著である『Die Perfekte Fussball Schule』(完璧なサッカー学校)を参考にされているそうですが、こうした栄養補給やトレーニング、コンディショニングに関する情報が子どものころから学べるようになるといいですね。




→ バルサも採用するサッカーのコンディショニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」 について詳しくはこちら




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アイススラリーは深部体温の上昇を抑えるアイデア!熱中症対策・夏バテ防止に!/アイススラリーの作り方とは?/おかえりモネ




アイススラリーは深部体温の上昇を抑えるアイデア!熱中症対策・夏バテ防止に!アイススラリーの作り方とは?
アイススラリーは深部体温の上昇を抑えるアイデア!熱中症対策・夏バテ防止に!アイススラリーの作り方とは?

Element5 Digital|unsplash

東京オリンピック2020の男子マラソン代表服部勇馬選手が深部体温40度以上で重度の熱中症の症状だったというショッキングなニュースがありました。

【参考リンク

このタイミングでNHKの朝ドラ「おかえりモネ」では「深部体温とパフォーマンス」の関係が話題になりました。

調べてみたところ、女性アスリートの暑熱環境下における体温調節と水分補給によれば、「暑い環境での運動では、深部体温の上昇や発汗による脱水が促進されることから常温環境よりも特に有酸素系のパフォーマンスが低下する」ことが報告されているそうです。

深部体温の上昇を抑えるアイデアの一つが「アイススラリー」。

アイススラリーとは、微細な氷と液体がシャーベット状に混ざった飲料で、氷が水に溶ける際に体内の熱を多く吸収するため、冷たい飲料を摂取するときよりも高い冷却効果が期待されます。

【参考リンク】

■アイススラリーの作り方

アイススラリーは専用機械で作られていてコンビニや薬局で購入できますが、自作でもアイススラリーに近いクラッシュドアイスで代用することが可能です。

作り方は、氷:スポーツ飲料=3:1でミキサーにかけて、魔法瓶に注いで保存しておきます。

■まとめ

アイススラリーはスポーツをする人にとってのコンディショニングや暑熱対策だけでなく、私たちが炎天下に屋外で過ごすときの熱中症対策や夏バテ防止にも役立ちます。

眠くなる時は体の深部の体温が下がる!就寝前の体温(深部体温)を下げる工夫によれば、良い睡眠のためには、就寝前に深部体温を下げることが重要なのですが、深部体温が高いままだと寝つきが悪く、睡眠不足から夏バテを起こし、熱中症にもなりやすくなります。

【関連記事】

アイススラリーなどのアスリートの暑熱対策から得られたアイデアを参考に熱中症対策・夏バテ防止を行ないましょう。

ただ、注意も必要で、アイススラリーは大量に摂取すると胃腸を壊しやすく、体温も下がりすぎるため、少量ずつこまめに飲むことを心がけましょう!







バルサも採用するサッカーのコンディショニングトレーニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」

今回紹介する記事は、オランダ人のレイモンド・フェルハイエンが提唱するサッカーのコンディショニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」に関する記事です。

バルセロナの選手たちが、激しいショートスプリントを90分間続けられるのは、「ピリオダイゼーション/PTP」によるコンディショニング理論が受け継がれているからなのだそうです。




どうすれば90分間を通してハイテンポなプレーができるのか?

Messi

by Jeroen Bennink(画像:Creative Commons)

Jリーグが進歩するために学ぶべき、世界最高のコンディショニング理論。~【第1回】 バルサも採用するPTP~

(2012/1/1、Number)

サッカーの試合において、チームのパフォーマンスが低下してしまうのには、大きく分けて2つの理由がある。

ひとつは「疲労で選手が動けない」ということ。試合の終盤によく見られる現象で、攻撃から守備の切り替えの場面で戻れなくなったり、プレスをかけに行くべきときに足が止まってしまうということが起こる。こういう選手が増えると、もはやチームの組織はズタズタだ。

もうひとつは「体力をセーブして選手が動かない」。試合の前半によく見られ、90分間のペース配分を重視しすぎるがゆえに、立ち上がりのテンポが遅くなってしまう。

1.疲労で選手が動けない

試合の序盤からハイプレスをかけると、試合の終盤になり、疲労で選手が動けないということが起こります。

例:「2002年W杯の韓国代表」

ヒディンクは韓国代表の選手が、試合の60分をすぎたあたりからガクっと動きの質が落ちることに気がついた。

W杯で驚くような結果を残すには、何としても前半の激しさを90分間保ちたい。

そこでヒディンクはオランダからレイモンドを呼び寄せ、肉体改造を依頼。

レイモンドは意図的に練習の量を減らし、さらに“特定の条件”を満たす11対11のトレーニングをすることで、選手たちに90分間戦える能力を身につけさせた。

ベスト4という結果が、この理論の正しさを証明した。

2.体力をセーブして選手が動かない

90分間のペース配分を重視するあまり、力を出し切れずに終わったり、立ち上がりのテンポが遅くなったりしてしまいます。

例:ユーロ2008のロシア代表

ヒディンク就任当初、ロシア代表は90分間の中で波はあまりなかったが、それは前半のペースをセーブしているからだった。レイモンドはヒディンクにこんな冗談を言った。

「これなら3日間サッカーを続けても疲れない」

“特殊”な少人数のトレーニングによって、ロシアの選手たちは立ち上がりから激しくプレーできるようになり、ベスト4という好成績を残した。




■ほぼすべてのフィジカルトレーニングにボールを使用する。

レイモンド・フェルハイエンが提唱するサッカーのコンディショニング理論の特徴についての部分を抜き出してみます。

レイモンド理論の特徴は、ほぼすべてのフィジカルトレーニングをボールを持って行なうことだ。

たとえばレイモンドは基本的に、選手たちにランニングや持久走をさせない。「サッカーは持久力のスポーツではない」と考えているからだ。彼にとって、グラウンドを何十周もするような練習はまったく意味がない。

「マラソンや持久力のスポーツは、酸素を使ってエネルギーを生み出している。だが、サッカーは瞬間的なアクションが多く、主に筋肉の状態を回復させるために酸素を使っているんだ。酸素の使い方がまったく違う。だから、サッカー選手に対して、長く持久的なトレーニングをさせることは意味がない。逆に速筋が減ってしまうと言えるくらいだ。サッカーにおいて重要なのは、回復のスピードを鍛えることなんだ」

また、練習量が少ないのも特徴のひとつだ。「能力の限界を少しだけ超えた、101%の状態で練習する」(オーバーロード・トレーニング)という概念が根底にあり、疲れているときに練習しても能力は伸びないと考えている。

「これまでのコンディショニング理論には、サッカーを正しく分析するということが欠けていた。サッカーにどんな場面があり、どんな動きが必要かを考えれば、自ずとやらなければいけないことが見えてくる」

まとめてみます。

  • ほぼすべてのフィジカルトレーニングをボールを持って行なう
  • 基本的に、選手たちにランニングや持久走をさせない
    サッカーは持久走のスポーツではない。瞬間的なアクションが多く、長く持久的なトレーニングをさせると、かえって速筋が減ってしまうおそれがある。
  • サッカーにおいて重要なのは、回復のスピードを鍛えること
  • 「能力の限界を少しだけ超えた、101%の状態で練習する」(オーバーロード・トレーニング)
    疲れているときに練習しても能力は伸びないという考え
  • サッカーにどんな動きが必要かを考えた上で、トレーニングを考える。

→ 「走り込み」はサッカーのトレーニングメニューとして必要なのか? について詳しくはこちら

Jリーグが進歩するために学ぶべき、世界最高のコンディショニング理論。~【第2回】 PTPの2つの基本認識~

(2012/1/2、Number)

レイモンドは理論を構築する際、サッカーの試合を徹底的に分析し、必要とされるパフォーマンスを次の2点に絞った。

「爆発力」と「アクションの頻度」だ。

◯爆発力

たとえば試合で守備をするとき、一口にプレスをかけると言っても、猛烈な勢いで相手に詰め寄るのと、緩慢な動きで近づくのでは、まったく効果が違う。

守備から攻撃への切り替えでも、一気に前線に飛び出すのと、反応が遅れるのとでは、得点の可能性が大きく変わってくる。

こういう瞬間的なパフォーマンスを、レイモンドは「爆発力」と呼んでいる。

◯アクションの頻度

一方、「アクションの頻度」とは、パス、ドリブル、プレス、パスカット、攻守の切り替えといったアクションを、試合の中でどれだけたくさんできるかということだ。

何か激しいアクションをしたあとに、回復に30秒かかる選手もいれば、15秒で大丈夫な選手もいる。

「アクションの頻度」が多いほど、そのチームはハイテンポなサッカーができることになる。

これは言い換えると、瞬間的な「回復力」が高いほどいいということだ。

回復が速ければ、すぐに次のアクションを行うことができ、アクションの頻度が増す。

そこで、レイモンド理論の発想のベースとなるのが、4つのポイントです。

<レイモンドの理論の4つのポイント>
(1)爆発力の向上
(2)爆発力の持続
(3)アクションの頻度の向上 (=回復力の向上)
(4)アクションの頻度の持続 (=回復力の持続)

では具体的にどのようなトレーニングメニューが良いのでしょうか?

◯爆発力の向上のためのトレーニングメニュー

まず(1)を鍛えるのに適しているのが、「フットボールスプリント」だ。レイモンドは次の3つの状況を設定し、どれが一番速いかという実験を行った。

a. 1人だけで15m走る
b. 2人で同時に15m走る
c. コーチがボールを15m前方に蹴り、2人が同時に追い、先に取った選手がシュート

そしてタイムを計測した結果、陸上の常識ではありえない結果が得られた。最も速かったのは「c.」のボールを追ってシュートする場合だったのだ。

レイモンドは言う。

「この実験からわかることは、サッカーの局面を作ることで、選手に刺激を与えられるということ。100%の力で走れと言われても、なかなか自分の意識だけではその限界には達せられない。だが、外部からの刺激を使えば、限界を超えられる。ライオンから追われたら、誰でも本気で走るだろ(笑)」

この実験は面白いですよね。

一人で走るよりも二人で走るほうが競争することで速くなるというのはよく言われていたことですが、さらに、外部からの刺激を与えることで、限界を超えて走ることができるというわけです。

「爆発力の能力値を上げるというのは、100%を101%にすること。その唯一の方法は、どのスプリントも100%で走ることだ。90%で走っても、爆発力はなかなか高まらない。だから、疲れている状態でやっても意味はなく、たっぷりと休息を取ることが鍵になってくる」

100%でフットボールスプリントを行い、十分な休憩の後、また100%でフットボールスプリントを行う。そして、また休憩。このサイクルを繰り返すことによって、爆発力を鍛えられるとレイモンドは考えている。

ここで書かれていることは、自分の限界を超えた状態を作り出すこととたっぷりと休息をとることというサイクルを繰り返すことによって、爆発力を鍛えられるということです。

◯爆発力の持続のためのトレーニングメニュー

「爆発力の持続」能力を鍛えるためには、逆に休息を短く設定する。

もうスプリントをできない……というぎりぎりのオーバーロードの状況を作り、爆発力の持続力を高めるためだ。

オーバーロードの状況を作り、少しずつ休息を短く設定していくということみたいです。

 

Jリーグが進歩するために学ぶべき、世界最高のコンディショニング理論。~【第3回】 PTPのメニューと実践~

(2012/1/3、Number)

◯アクションの頻度を向上させるためのトレーニングメニュー

「アクションの頻度」を向上させるには、4対4や3対3といった少人数のゲームが最もふさわしい。

4対4なら1分間のアクションの数は12~13回にもなり、高い頻度を体に覚えさせられるからだ。

少人数のゲームを行うことで、短時間にたくさんのアクションを起こせるようになるようです。

「サッカーのアクションでは、酸素を取り入れている余裕はないから、筋肉内に溜め込まれた物質が使われる。回復とは、再びその物質を筋肉内に溜め込むこと。この機能を鍛えることで、回復時間が速くなり、短時間に何度もアクションを起こせるようになる」

◯アクションの頻度を持続させるためのトレーニングメニュー

レイモンドの場合、11対11(もしくは8対8)のゲームで監督がコーチングすることによって、「体はきついが、指示で動かなきゃいけない」という状況を作り、アクションの頻度をオーバーロードさせる練習を行なっている。

たとえば1セット10分間の11対11のミニゲームを、2分間の休憩をはさみながらやったとしよう。もし4セット目の6分の時点で、選手の息が切れていたり、攻守の切り替えができないといった状況になったら、それが回復力の持続の限界のポイントだ。

そのときにあえて「今、プレスをかけろ!」といったコーチングをすれば、選手は体力の限界を超えて動かざるをえない。

アクションの頻度を持続させるために行うことは、回復力の持続の限界を超えて動かすために、「体はきついが、指示で動かなきゃいけない」状況をあえて作るということである。

■選手の能力とコンディションを把握して、それぞれに合ったやり方をしなければいけない

ちなみにレイモンドは、従来のフィジカルトレーニングを完全に否定しているわけではない。

選手の能力に応じて、例外的にジムでマシーンを使ったメニューや体幹トレーニングを課すこともある。

「一番やってはいけないのは、指導者が理論にこだわりすぎて、理論を実行することが目的になってしまうこと。選手の能力とコンディションをきちんと把握して、それぞれに合ったやり方をしなければいけない」

先ほどまでの記事の内容を読むと、従来のフィジカルトレーニングは必要ないと思う人もいるかも知れませんよね。

しかし、選手の能力によっては、マシンを使ったトレーニングや体幹トレーニングをかすこともあるそうです。

それは、選手個々によってその能力は違うのであるから、理論にこだわり過ぎることなく、選手の能力とコンディションをきちんと把握して、それぞれに合ったやり方をしなければいけないというのが、大事なポイントです。

ここまで紹介してきたオーバーロード・トレーニングは、レイモンド理論の一部分に過ぎない。

こういうトレーニングをベースに、コンディショニングを6週間のスパンで向上させて行くサッカーの「ピリオダイゼーション」こそが、彼の真髄だ。

たとえば土曜日に試合があったら、日曜日はリカバリーの日に当て、月曜日はオフとする。そして火曜日は戦術トレーニング、水曜日に「フットボールスプリント」、「4対4」、「11対11」といったコンディショニング・トレーニングを行い、木曜日と金曜日に再び戦術トレーニングをする。

これまで紹介してきた内容はレイモンド理論の一部であり、こうしたトレーニングを試合のスケジュールに合わせて、コンディショニングを6週間のスパンで向上させて行くのが、最も大事なことみたいです。

そして、レイモンド氏が考える理論と同じ考えでたどり着いたのが、モウリーニョ監督なのだそうです。

José Mourinho / Жозе Моуринью

by Aleksandr Osipov(画像:Creative Commons)

実はレイモンドの「ほぼすべてのコンディション・トレーニングを、ボールを使って行う」という結論に、まったく独立に達した指導者がいる。

レアル・マドリードを率いるモウリーニョ監督だ。モウリーニョはシーズン前の合宿でも、走りこみといった従来のフィジカルトレーニングは一切行わず、ボールを使ったメニューだけで体作りを行う。

レイモンド氏も言っていますが、サッカーのことを分析し、コンディショニングのことを考えると、そうした結論に行き着くのかもしれません。

「私の理論どおりに、他のコーチが指導するのが大事だとは思ってない。大事なのは監督自身が、自分のやり方を見つけること。サッカーを分析し、自分のやり方を生み出してほしい。やり方をコピーするのではなく、その国の文化にあわせたやり方を見つけることが必要だ」

もちろんレイモンド理論が全て正しいわけではないでしょうし、さらによい理論が生まれてくるだろうと思います。

大事なことは、「サッカーを理解して、そのためのトレーニングを行なう」ということです。

このことはその他のスポーツについても言えるかもしれません。

今回紹介した記事では、具体的なメニューも紹介されていましたので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

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