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「ミニ腸」の創薬分野への応用に向けた共同研究を開始|国立成育医療研究センター・大日本印刷(DNP)




■「ミニ腸」の創薬分野への応用に向けた共同研究を開始|国立成育医療研究センター・大日本印刷

ヒトES細胞の自己組織化する能力を引き出すことでより高度で複雑な「小さい腸管(ミニ腸)」の創生に成功
ヒトES細胞の自己組織化する能力を引き出すことでより高度で複雑な「小さい腸管(ミニ腸)」の創生に成功

参考画像:ES細胞から機能的で動きも伴う立体臓器(「ミニ腸」)を創り出すことに成功(2017/1/13、国立成育医療研究センターニュースリリース)|スクリーンショット

国立成育医療研究センターと大日本印刷 次世代臓器チップ「ミニ腸」を使った創薬支援に向けて共同研究を開始

(2017/10/2、大日本印刷プレスリリース)

創薬分野では、細胞を用いた試験が一般化していますが、細胞は生体臓器との機能面での相違が大きく、より精度の高い試験系として、「ミニ腸」のような生体臓器に近似した立体臓器を用いた試験系の実用化が期待されています。両者は当初、創薬分野での実用化を目指すべく、国立成育医療研究センターの多能性幹細胞(ES細胞、iPS細胞)制御技術と、DNPの薄膜多層パターニング技術を活用し、「ミニ腸」を安定的に製造・供給するための、一連の製造供給プロセス及び、必要となる自動化等の研究・開発を推進します。また、製薬メーカーや臨床検査会社の協力を得て、「ミニ腸」の特徴を活かした「次世代臓器チップ」 および、それを用いた試験法の確立などに取り組み、5年後の実用化を目指します。

国立成育医療研究センターと大日本印刷株式会社(DNP)は、生体の腸に近い特性を示す立体臓器「ミニ腸」の創薬分野への応用に向けた共同研究を開始します。

ヒトのES細胞から腸管の機能を持つミニ腸を作り出すことに成功 世界初|国立成育医療研究センターでは、国立成育医療研究センターの研究グループは、ヒトのES細胞から、腸が食べ物を送り出すときに伸び縮みを行う蠕動(ぜんどう)運動や栄養などを吸収する能力、分泌する能力など腸管の機能を持つ立体腸管(ミニ腸)を試験管内で作り出すことに成功しました。

「ミニ腸」の作製にはDNPの培養器材が用いられており、DNPが印刷技術を応用して開発した薄膜多層パターニング技術を利用して、「ミニ腸」の安定した作製プロセスの開発などを行なっていくそうです。

薄膜多層パターニング技術はミニ腸の作成にどのように活かされているのでしょうか?

国立成育医療研究センター×DNP、「ミニ腸」の応用に向けた共同開発を開始

(2017/10/3、マイナビニュース)

薄膜のパターニング構造を持った「CytoGraph(サイトグラフ)」という特殊な器財上に多機能制幹細胞を撒くと、パターニングされた領域のみに細胞が集まり、成長・分化したのち、やがて自然にパターンからひとつの組織として離れていく仕組みとなっており、約60日間かけて1cm強のミニ腸になっていくという。

【参考リンク】




■まとめ

最近、創薬を目的としたヒト生体組織チップ(Human/Organ‐On‐A‐Chip)の開発が盛んに行われています。

なぜ創薬を目的としたヒト生体組織チップの開発に注目が集まっているのでしょうか?

医薬品開発においては、薬効や副作用を確かめる必要があり、そのために、マウスやラット、サルなどの実験動物を用いて、薬効や毒性を調べる全臨床試験を行なわれています。

しかし、これらの動物はヒトと異なる生体構造・生理反応機構を持っているので、医薬品がヒトとは異なる反応を示すことがあり、また、動物実験が動物虐待に当たるのではないかという批判から化粧品メーカーによる動物実験が世界的に廃止の流れを受けて、今後医療分野においても廃止の流れになる可能性があります。

そこで、ヒトの生理学反応を生体外で再現する試験法の開発が求められている中で注目されているのが、「Human/Organ‐On‐A‐Chip」です。

ミニ腸のように生体臓器に極めて近似した立体臓器による創薬研究は、こうした生体機能チップ分野の中でも注目を集めていきそうです。

国立成育医療研究センター×DNP、「ミニ腸」の応用に向けた共同開発を開始

(2017/10/3、マイナビニュース)

腸の機能障害には、腸の運動が正常に働かない疾患と、吸収・消化ができない疾患とのふたつに大別されるが、ミニ腸を使うことでこのようなメカニズムを解明することが期待できるという。また、腸疾患によって幼少時に腸を大量に切除すると、身体が成長しないうえ、中心静脈栄養によってやがて肝機能が衰えるため、やがては小腸移植を行わなければならなくなるなどの影響がある。

国立成育医療研究センター 臓器移植センターの笠原群生さんによれば、ミニ腸を使うことで腸の機能障害のメカニズムの解明や腸が足りない患者への再生医療、ノロウイルスなどによるウイルス性腸炎の治療に向けてのミニ腸にウイルスを感染させた疾患モデルの作成もできるのではないかということです。







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