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痩せ型脂肪肝(lean MASLD)とは?肝臓の線維化が進んでいる人では、死亡のリスクが約2倍、重い肝臓病のリスクが約4倍に!

健康診断の結果を見て、こんなふうに思ったことはありませんか。

「体重は標準なのに、なぜ脂肪肝?」
「お酒も飲まないし、太ってもいないのに……」

脂肪肝というと、「太っている人」「お酒を飲む人」の病気というイメージが強いと思います。

実際、テレビでも「やせ型で規則正しい食生活を送っていた40代女性が脂肪肝と診断された」という事例が紹介され、ハクライドウでも以前、隠れ脂肪肝の記事で取り上げました。

→ 【隠れ脂肪肝/純烈リーダー酒井さん脂肪肝と診断された過去/やせ型で規則正しい食生活の40代女性も脂肪肝と診断】 についてはこちら

では、痩せている人の脂肪肝は、太っている人の脂肪肝より「軽い」のでしょうか。

2026年9月、この疑問を考えるうえで非常に大きな研究が発表されました。

■痩せ型脂肪肝(lean MASLD)とは?

脂肪肝のうち、肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症などの代謝の異常を伴うものを「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」と呼びます。

2023年に脂肪性肝疾患の新しい分類が提唱され、従来NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれていた病気の多くは、現在「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」という新しい概念で整理されるようになっています。

そのMASLDの中で、肥満ではない人に起こるものを「lean MASLD(痩せ型MASLD)」と呼びます。

アジア人ではBMIが低くても内臓脂肪や代謝異常がみられることがあり、体重やBMIだけでは肝臓の状態を判断できません。

そのため、「見た目は痩せているのに肝臓に脂肪がたまっている」ということが、日本人では珍しくありません。

■世界41か国、18,326人を調べた研究

2026年9月30日、米国医師会の学術誌「JAMA」に、世界41か国で肝生検(肝臓の組織を採取して調べる検査)により診断されたMASLD患者18,326人のデータを解析した国際共同研究が掲載されました。

横浜市立大学の小林貴助教、中島淳名誉教授らが参加しています。

この研究で分かったことは、次の3つです。

1.痩せ型は全体の6.7%、糖尿病や線維化は少なかった

肥満でない人は全体の6.7%でした。肥満の人に比べて、2型糖尿病は少なく、肝臓の線維化(炎症が続いて肝臓が硬くなっていく変化)が進んだ人の割合も低いという結果でした。

ここまで聞くと、「やっぱり痩せ型の方が軽いのか」と思うかもしれません。

2.しかし、死亡や重い肝臓病のリスクは肥満の人と差がなかった

ところが、死亡や、肝がんなどの重い肝臓病を起こすリスクについては、肥満の人との間に統計的に意味のある差がありませんでした。

つまり、「痩せているから安心」とは言えないのです。

3.分かれ目は体型ではなく「線維化」だった

さらに、肥満でない人の中でも、肝臓の線維化が進んでいる人では、死亡のリスクが約2倍、重い肝臓病のリスクが約4倍に高まっていました。

ここが今回の研究の一番大切なポイントです。

リスクを分けるのは「太っているか、痩せているか」ではなく、「肝臓の線維化が進んでいるかどうか」でした。

■なぜ痩せていても肝臓に脂肪がたまるのか?

では、なぜ痩せていても脂肪肝になるのでしょうか。

ハクライドウの隠れ脂肪肝の記事でも触れたように、痩せ型の脂肪肝には、次のような要因が関係すると考えられています。

・糖質に偏った食事(ご飯や麺、甘い飲み物が中心で、たんぱく質が少ない食事)
・運動不足による筋肉量の低下(サルコペニア)
・見た目では分からない内臓脂肪の蓄積
・体質や遺伝的な要因
・過度なダイエットによるたんぱく質不足(極端な食事制限が、かえって肝臓の代謝異常を招くことがあります)

「痩せている=肝臓に脂肪がない」ではなく、「脂肪をどこに蓄えているか」「筋肉がどれくらいあるか」が関係しているのです。

■健診で気をつけたい「FIB-4」の話

今回の研究では、検査についての大切な発見もありました。

肝臓の線維化の進み具合を調べる方法の一つに、「FIB-4」という指標があります。年齢と血液検査の値(AST、ALT、血小板数)から計算できるため、健康診断や日常の診療でもよく使われます。

この研究では、そのFIB-4の精度が、肥満でない人ではやや低かったことが分かりました。

一方で、体の外から肝臓に振動を加えて硬さを測る検査(肝硬度測定、エラストグラフィ)の精度は、肥満でない人でむしろ高かったと報告されています。

FIB-4は線維化リスクを調べるうえで有用な第一段階の指標ですが、今回の研究では、肥満でないMASLD患者ではその判別精度がやや低いことも示されました。そのため、FIB-4だけで判断するのではなく、必要に応じてエラストグラフィなどによる追加評価を検討することが重要です。

脂肪肝を指摘されたら、体型にかかわらず、線維化が進んでいないかどうかを医療機関で確認することが大切です。必要に応じて、肝臓の硬さを測る検査を受けられるかどうかも相談してみてください。

■痩せ型脂肪肝と言われたら、何をすればいい?

研究が示したのは「線維化を見逃さないこと」の大切さですが、日々の暮らしでできることもあります。

隠れ脂肪肝の記事で紹介したポイントと重なりますが、痩せ型の場合は特に、次の点を意識したいところです。

●「痩せる」より「筋肉を落とさない」

痩せ型の人では「さらに体重を落とすこと」だけを目標にするのではなく、運動習慣や筋肉量、食事内容なども含めて生活習慣を見直すことが大切です。

ウォーキングなどの有酸素運動に、スクワットなどの筋トレを組み合わせましょう。

●たんぱく質を不足させない

極端な食事制限でたんぱく質まで不足させないようにし、魚、肉、卵、大豆製品などをバランスよく摂ることを意識しましょう。

●甘い飲み物と糖質の偏りを見直す

清涼飲料水や甘い飲み物に含まれる果糖は、肝臓で中性脂肪に変わりやすい性質があります。「太らないから大丈夫」と甘い飲み物を日常的に飲んでいないか、振り返ってみてください。

●寝る前の食事を控える

不規則な時間の食事は、肝臓の体内時計(時計遺伝子)のリズムを乱し、代謝異常につながるという研究もあります。

■まとめ:「痩せているから大丈夫」を卒業する

2026年に発表された世界41か国、18,326人を対象とした大規模研究では、肥満でないMASLD患者は糖尿病や進行した線維化の割合こそ低いものの、死亡や重い肝疾患のリスクは過体重・肥満のMASLD患者と大きな差がありませんでした。

そして肥満でない人でも、線維化が進んでいる場合には、死亡や重い肝疾患のリスクが大きく上昇していました。

つまり大切なのは、

「太っているか、痩せているか」だけで脂肪肝のリスクを判断しないこと。

むしろ、

「肝臓の線維化が進んでいないか」

を見ることが重要だと考えられます。

2026年の日本のMASLD診療ガイドラインでも、進行した肝線維化は肝臓に関連する病気や死亡を予測する重要な因子とされ、FIB-4などを使ったリスク評価と、必要に応じたエラストグラフィなどによる追加評価が重視されています。

今回の研究から考えたいことをまとめると、

・痩せ型の脂肪肝(lean MASLD)は、MASLD全体の6.7%を占める
・糖尿病や進んだ線維化は肥満の人より少ない
・しかし、死亡や重い肝臓病のリスクは肥満の人と差がなかった
・リスクを分けるのは体型ではなく、肝臓の線維化が進んでいるかどうか
・血液検査の指標FIB-4は、痩せ型では精度がやや低く、見逃しにつながる可能性がある

ということになります。

「痩せているから大丈夫」

この思い込みこそが、痩せ型脂肪肝の一番の落とし穴なのかもしれません。

健康診断で脂肪肝を指摘されたら、体型にかかわらず、「線維化は進んでいないか」を確認する。そして日々の食事と運動で、筋肉と肝臓の両方を守っていく。

痩せ型の人にとっての脂肪肝対策は、「もっと痩せること」ではなく、「正しく知って、見逃さないこと」から始まるのではないでしょうか。

→ 脂肪肝とは|脂肪肝の症状・原因・治し方 について詳しくはこちら

→ 脂肪肝の改善方法 についてはこちら

【参考文献・参考リンク】
– de Avila L, AlNaamani KM, et al. Histologic Features and Clinical Outcomes of Lean Metabolic Dysfunction–Associated Steatotic Liver Disease. JAMA. 2026(2026年9月30日オンライン掲載). doi:10.1001/jama.2026.18491
– 横浜市立大学プレスリリース「肥満でなくても脂肪肝は要注意、カギは『肝臓の線維化』」(2026年10月19日)

【関連記事】
– ハクライドウ隠れ脂肪肝/純烈リーダー酒井さん脂肪肝と診断された過去/やせ型で規則正しい食生活の40代女性も脂肪肝と診断







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