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C型慢性肝炎治療薬リバビリンが脂質生合成を抑制することによって脂肪肝や肝がんの予防薬になる可能性|岡山大

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■C型慢性肝炎治療薬リバビリンが脂質生合成を抑制することによって脂肪肝や肝がんの予防薬になる可能性|岡山大

リバビリンによる脂質生合成に対する抑制機構
C型慢性肝炎治療薬リバビリンによりGTPの枯渇とMARK4キナーゼによるRXRαの発現レベルの低下が引き起こされ、最終的に脂質の生合成が抑制される。

参考画像:C 型慢性肝炎治療薬リバビリンの新たな機能の発見とその分子機序を解明(2017/7/21、岡山大学プレスリリース)|スクリーンショット

C 型慢性肝炎治療薬リバビリンの新たな機能の発見とその分子機序を解明

(2017/7/21、岡山大学プレスリリース)

まず ADK を発現させた肝細胞株を作成し、それを用いてリバビリンの機能解析を行いました。その結果、リバビリンが脂質生合成に関与する遺伝子の発現レベルを低下させ、中性脂質の量も低下させることを見出しました。この現象の分子機序の解析を進めた結果、リバビリンによる細胞内 GTP【用語 2】の枯渇、それに引き続き AMPK 関連キナーゼ【用語 3】の一つである MARK4 による核内受容体 RXRαの発現レベルの低下が起こり、最終的に脂質生合成が抑制されるという機序であることを明らかにしました(図1参照)。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腫瘍ウイルス学分野の佐藤伸哉助教、加藤宣之教授らの研究グループは、C型慢性肝炎治療薬の一つである「リバビリン」が脂質生合成(中性脂肪などの脂質が合成される細胞内の生化学的反応)を抑制する機能とそのメカニズムを解明しました。

これまでの研究から、リバビリンの抗 HCV 活性は、リバビリンをモノリン酸化するアデノシンキナーゼ(ADK)の発現レベルによって規定されることが分かっていました。一方、ADK のノックアウトマウスは生後すぐ致死性の脂肪肝を発症することも報告されていました。

抗 HCV 薬リバビリンの効き目を決める分子機構を解明

(2013/5/17、岡山大学プレスリリース)

今回同定した宿主因子はアデノシンキナーゼという核酸代謝酵素の一種で、リバビリンをリン酸化します。リン酸化されたリバビリンはイノシン一リン酸脱水素酵素を阻害して GTP の細胞内濃度を急速に下げます。

これにより HCV 遺伝子の複製が低下するので、リバビリンの抗 HCV活性が発揮されることになります。

本研究により、リバビリンの抗 HCV 活性がアデノシンキナーゼ遺伝子の発現レベルに依存していることが明らかになりました。

そこで、、リバビリンには抗HCV活性の他に、脂質代謝経路に対する作用があるのではないかというところからこの研究がスタートしたそうです。

リバビリンにより GTP(グアノシン三リン酸のことで、RNA合成やその他核酸の合成に用いられる。また、細胞内シグナル伝達やタンパク質の機能の調節に用いられる。)の枯渇とAMPK関連キナーゼ(アデノシン一リン酸(AMP)-活性化プロテインキナーゼ(AMPK)と関連のあるリン酸化酵素のことで、さまざまな代謝反応などに関与している。)の一つであるMARK4キナーゼによる核内受容体RXRαの発現レベルの低下が引き起こされ、最終的に脂質の生合成が抑制されます。

脂質生合成の亢進はC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖を高めるばかりでなく、C型慢性肝炎に伴う脂肪肝や肝がんの発症リスクを高めるリスク要因であることから、「リバビリン」が脂肪肝や肝がんの予防薬になる可能性があります。

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