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歯科に関する知識を得る場所によって保健行動と歯周病の有病率に差がある!|学校やテレビよりも歯科医院で知識を得ている人は定期的に歯科受診をする傾向にある|岡山大学

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■歯科に関する知識を得る場所によって保健行動と歯周病の有病率に差がある!|学校やテレビよりも歯科医院で知識を得ている人は定期的に歯科受診をする傾向にある|岡山大学

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by COMSEVENTHFLT(画像:Creative Commons)

歯科に関する知識を得る場所によって保健行動と歯周病の有病率に差があることを解明

(2017/7/28、岡山大学)

森田教授と岩崎教授らの研究グループは、岡山大学の大学生 2,220 人を対象とした調査において、歯科医院で歯科に関する知識を得ている者とそうでない者を比較。

前者は後者に比べ、1.49 倍デンタルフロスを使用する傾向にあること、また、2.92 倍定期的に歯科受診をしている傾向にあることが分かりました。

情報源としての歯科医院は、個人の行動変容を促す良い影響がある可能性があります。

さらに、デンタルフロスを使用している者や定期的に歯科受診をしている者では歯周病である者の割合が少なかったことから、歯科保健行動だけでなく、歯周病の有病率にも影響を及ぼしている可能性があります。

一方で、学校もしくはテレビから歯科に関する知識を得ている人は、そうでない人よりもそれぞれ 0.69 倍、0.71 倍定期的に歯科受診をしている傾向、つまり、定期的な歯科受診をしない傾向にあるということが分かりました。

岡山大学の森田学教授と岡山大学保健管理センターの岩崎良章教授らの共同研究グループによれば、歯科医院で歯科に関する知識を得ることによって、歯科保健行動を促し、また歯周病の有病率に影響を及ぼす可能性があること、また、学校やテレビから歯科に関する知識を得ても必ずしも行動変容を促すわけではないということが分かったそうです。




■まとめ

オーラルフレイルを知って健康寿命を延ばそう|自分の歯が多く保たれている人は、健康寿命が長く、要介護期間が短い|東北大学で紹介した東北大学の松山祐輔歯科医師が行なった研究によれば、自分の歯が多く保たれている人は、寿命が長いだけではなく、健康寿命(日常生活に制限のない期間)が長く、要介護でいる期間が短いことがわかったので、健康寿命を長くするためにもいかに歯の健康を保つかが重要になっています。

収入に関係なく高学歴ほど病気リスクが低い|なぜ高学歴ほど循環器疾患(心筋梗塞や脳卒中)の発症リスクが下がるのか、仮説を考えてみたで紹介したミネソタ大学の久保田康彦・客員研究員(公衆衛生学)が行なった45~64歳の男女1万3948人を学歴や収入でグループ分けし、45~85歳までに心筋梗塞、心不全、脳卒中といった循環器疾患を発症するリスクを分析したところ、収入に関係なく、高学歴ほど心筋梗塞や脳卒中になるリスクが低いということがわかったそうです。

これまで健康格差は所得や学歴など社会的・経済的な格差が要因と考えられてきましたが、ミネソタ大学の久保田康彦・客員研究が行なった分析結果によれば、収入は関係なく高学歴ほど循環器疾患の発症リスクは低いという結果が出たことから、健康格差は学歴が大きな要因であると仮定し、今回の研究結果を合わせて考えると、こういう仮説が生まれないでしょうか?

「高学歴の人ほど、知識の情報源を専門的なところから収集し、行動変容を促す良い影響があり、病気のリスクを減らしているのではないか」という仮説です。

つまり、この仮説が正しければ、いかに情報の質が高い知識の情報源を持つかどうかが病気のリスクを減らす方法といえます。

ただ、今回の研究は、ある一時点においての観察を行う「横断研究」であり、強い関連性を見出すためには、同一の対象者を一定期間継続的に追跡調査する「縦断研究」が必要になるそうです。

→ 歯周病の症状・原因 について詳しくはこちら

→ 歯周病は糖尿病の合併症の一つ!?糖尿病と歯周病の関係 について詳しくはこちら

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糖尿病治療薬「メトホルミン」による制御性T細胞の抑制効果を発見|岡山大

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■糖尿病治療薬「メトホルミン」による制御性T細胞の抑制効果を発見

Soybean Research

by United Soybean Board(画像:Creative Commons)

糖尿病治療薬メトホルミンによる制御性 T 細胞の抑制効果を発見

(2017/10/27、岡山大学プレスリリース)

がん局所に浸潤した制御性 T 細胞は免疫細胞の一種ですが、がん細胞を攻撃する細胞傷害性 T 細胞[2]の機能を抑制することが知られています。メトホルミンによる制御性 T 細胞の抑制効果は、がんに対する免疫作用を増強することにつながり、がんの免疫治療に貢献できる可能性が明らかになりました。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科免疫学分野の鵜殿平一郎教授、榮川伸吾助教と口腔顎顔面外科学分野の佐々木朗教授、國定勇希大学院生の共同研究グループは、メトホルミンが、がん局所に存在する制御性T細胞(免疫反応の抑制を行うT細胞の集団。過剰な免疫応答を抑制するためのブレーキ役を担い、自己免疫疾患などに罹患しないように全身に分布している。)の増殖と機能を抑制することを明らかにしました。

制御性T細胞の本来のエネルギー代謝[4]である脂肪酸に依存した酸化的リン酸化反応[5]が減少し、代わりに糖に依存した解糖系[6]が亢進することで、細胞死に至る経路を活性化していることがわかりました。

糖質代謝改善薬であるメトホルミンによって、酸化的リン酸化反応(細胞内で起こる呼吸に関連した現象で、ミトコンドリア内で高エネルギー化合物の ATP を産生する回路の一つ)が減少し、解糖系(グルコース(糖)をピルビン酸に分解(異化)する代謝過程)の促進を誘導することによって、それまで脂肪酸を取り入れて生存していた制御性T細胞の代謝バランスが崩壊し、続いて細胞死に至るということが明らかになりました。

メトホルミンは免疫細胞の代謝バランスを変化させることにより、今まで不可能であったがん局所だけの制御性T細胞の抑制をもたらす効果があるということによって、より有効で安全な治療法の開発につながることが期待されます。







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C型慢性肝炎治療薬リバビリンが脂質生合成を抑制することによって脂肪肝や肝がんの予防薬になる可能性|岡山大

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■C型慢性肝炎治療薬リバビリンが脂質生合成を抑制することによって脂肪肝や肝がんの予防薬になる可能性|岡山大

リバビリンによる脂質生合成に対する抑制機構
C型慢性肝炎治療薬リバビリンによりGTPの枯渇とMARK4キナーゼによるRXRαの発現レベルの低下が引き起こされ、最終的に脂質の生合成が抑制される。

参考画像:C 型慢性肝炎治療薬リバビリンの新たな機能の発見とその分子機序を解明(2017/7/21、岡山大学プレスリリース)|スクリーンショット

C 型慢性肝炎治療薬リバビリンの新たな機能の発見とその分子機序を解明

(2017/7/21、岡山大学プレスリリース)

まず ADK を発現させた肝細胞株を作成し、それを用いてリバビリンの機能解析を行いました。その結果、リバビリンが脂質生合成に関与する遺伝子の発現レベルを低下させ、中性脂質の量も低下させることを見出しました。この現象の分子機序の解析を進めた結果、リバビリンによる細胞内 GTP【用語 2】の枯渇、それに引き続き AMPK 関連キナーゼ【用語 3】の一つである MARK4 による核内受容体 RXRαの発現レベルの低下が起こり、最終的に脂質生合成が抑制されるという機序であることを明らかにしました(図1参照)。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腫瘍ウイルス学分野の佐藤伸哉助教、加藤宣之教授らの研究グループは、C型慢性肝炎治療薬の一つである「リバビリン」が脂質生合成(中性脂肪などの脂質が合成される細胞内の生化学的反応)を抑制する機能とそのメカニズムを解明しました。

これまでの研究から、リバビリンの抗 HCV 活性は、リバビリンをモノリン酸化するアデノシンキナーゼ(ADK)の発現レベルによって規定されることが分かっていました。一方、ADK のノックアウトマウスは生後すぐ致死性の脂肪肝を発症することも報告されていました。

抗 HCV 薬リバビリンの効き目を決める分子機構を解明

(2013/5/17、岡山大学プレスリリース)

今回同定した宿主因子はアデノシンキナーゼという核酸代謝酵素の一種で、リバビリンをリン酸化します。リン酸化されたリバビリンはイノシン一リン酸脱水素酵素を阻害して GTP の細胞内濃度を急速に下げます。

これにより HCV 遺伝子の複製が低下するので、リバビリンの抗 HCV活性が発揮されることになります。

本研究により、リバビリンの抗 HCV 活性がアデノシンキナーゼ遺伝子の発現レベルに依存していることが明らかになりました。

そこで、、リバビリンには抗HCV活性の他に、脂質代謝経路に対する作用があるのではないかというところからこの研究がスタートしたそうです。

リバビリンにより GTP(グアノシン三リン酸のことで、RNA合成やその他核酸の合成に用いられる。また、細胞内シグナル伝達やタンパク質の機能の調節に用いられる。)の枯渇とAMPK関連キナーゼ(アデノシン一リン酸(AMP)-活性化プロテインキナーゼ(AMPK)と関連のあるリン酸化酵素のことで、さまざまな代謝反応などに関与している。)の一つであるMARK4キナーゼによる核内受容体RXRαの発現レベルの低下が引き起こされ、最終的に脂質の生合成が抑制されます。

脂質生合成の亢進はC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖を高めるばかりでなく、C型慢性肝炎に伴う脂肪肝や肝がんの発症リスクを高めるリスク要因であることから、「リバビリン」が脂肪肝や肝がんの予防薬になる可能性があります。

→ 脂肪肝とは|脂肪肝の症状・原因・治し方 について詳しくはこちら







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指先から簡単採血で歯周病判定|歯科医院向けの採血キットを開発|岡山大

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by Alisha Vargas(画像:Creative Commons)

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指先から簡単採血で歯周病判定

(2008/11/7、山陽新聞)

岡山大大学院医歯薬学総合研究科の高柴正悟教授(歯周病態学)らの研究グループは、指先から採った微量の血液で歯周病菌感染の度合いを調べる検査方法を確立。

歯科医院向けの採血キットをサンスター(大阪府高槻市)などと共同開発した。

岡山大大学院医歯薬学総合研究科の高柴正悟教授らの研究グループは、微量な血液から歯周病を判定できる検査方法を確立し、サンスターなど共に歯科医院向けの採血キットを開発したそうです。

指尖毛細血管採血による血漿抗体価測定を用いた歯周病細菌感染度の判定法の研究|KAKEN

我々は, 歯周病検査法としての歯周病原細菌に対する血漿IgG抗体価検査の有用性を検討した。P. gingivalis(Pg)などの4菌株を標的とした。また対象は慢性歯周炎患者549名とした。「BOP陽性率」および「4mm以上の歯周ポケットの割合」を各々3群に分類して各群の抗体価の有意差を調べた結果, Pgに対する血漿IgG抗体価は歯周病の悪化に相応して高値を示した。また「歯周基本治療後」群の抗体価(N=377)は, 「初診時」群の値と比較して4菌株すべての抗原において有意に減少した。すなわち, 本検査法は歯周病病態を評価し得る検査であると考える

最近では、歯周病は、メタボリックシンドローム糖尿病などの生活習慣病との関係が注目されています。

この方法で歯周病の判定ができるのであれば、学校や企業の健診の際に、一緒に行なうこともできるので、早期の治療・予防につながりそうです。







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【参考リンク】

歯周病

歯周病とは|歯周病(歯肉炎と歯槽膿漏)の症状・原因

歯周病を予防する方法(歯磨き・歯ブラシ)

歯周病は糖尿病の合併症の一つ!?糖尿病と歯周病の関係