緑内障患者の抗酸化力と重症度(網膜神経節細胞数)には関係があることを解明|東北大


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■緑内障患者の抗酸化力と重症度(網膜神経節細胞数)には関係があることを解明|東北大

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by PACAF(画像:Creative Commons)

抗酸化力と緑内障重症度との関係を解明

(2017/8/22、東北大学プレスリリース)

本研究において、抗酸化力の指標となる BAP(Biological Antioxidant Potential)注 4 を、ヒトの血液サンプルからフリーラジカル分析装置を用いて測定した結果、65 歳以下の比較的若年男性の緑内障患者では BAP と緑内障重症度である網膜神経節細胞数に正の相関があることを見出しました(図 1)。さらに、65 歳以下の男性緑内障患者において解析を行った結果、BAP は網膜神経節細胞数に対して影響を及ぼす因子であることが示されました。

東北大学大学院医学系研究科眼科学分野の中澤徹授、檜森紀子助教、浅野良視医師らのグループの研究によれば、緑内障患者の持つ抗酸化力と緑内障重症度の関係があることがわかったそうです。

緑内障患者における抗酸化力(BAP)と緑内障重症度の関係。65歳以下の男性緑内障患者では両眼ともBAPと緑内障重症度に相関を認める。
緑内障患者における抗酸化力(BAP)と緑内障重症度の関係。65歳以下の男性緑内障患者では両眼ともBAPと緑内障重症度に相関を認める。

参考画像:抗酸化力と緑内障重症度との関係を解明(2017/8/22、東北大学プレスリリース)|スクリーンショット

具体的には、65 歳以下の男性の緑内障患者では BAP(フリーラジカル分析装置で測定できる血漿中の抗酸化力)と緑内障重症度である網膜神経節細胞数に正の相関があることがわかったことから、抗酸化力が低いと緑内障が重症化しやすく、また緑内障患者においては抗酸化治療を行なうことが視野維持に有効な治療法になる可能性が示唆されます。




■まとめ

緑内障は日本人の中途失明原因第一位の疾患です。現在唯一エビデンスのある治療法は眼圧下降療法(薬物、レーザー、観血手術)ですが、日本の緑内障
患者の多くは眼圧が正常範囲である正常眼圧緑内障であり、眼圧以外の因子が発症に関わっている可能性があります。酸化ストレスは生体内で発生した活性酸素が自身の持つ抗酸化力を上回ると、タンパク質、脂質、核酸などを障害し、細胞機能低下を引き起こす原因になります。近年、緑内障の発症・進行に酸化ストレスが関与する可能性が我々の以前の報告を含め、注目されています。

日本人の緑内障患者の多くが正常眼圧緑内障であり、眼圧以外の要因が発症に関わっている可能性があり、近年、酸化ストレスはその要因の一つではないかと注目されています。

ヘスペリジンによる緑内障治療の可能性がある|青みかんのポリフェノールは網膜細胞障害において神経保護作用を持つことを発見|東北大(2017/8/21)によれば、網膜障害のマウスモデルにポリフェノールの一種であるヘスペリジンを投与すると、網膜内の酸化ストレスが軽減し、網膜神経節細胞を保護する効果があること、また、ヘスペリジンをサプリメントなどで摂取することにより、緑内障による網膜神経節細胞障害を軽減させる可能性があることが示されましたが、今回の研究は抗酸化ポリフェノールによる緑内障治療の可能性をさらに期待させるものになりそうです。

また、今後は緑内障の原因を診断する方法として、全身の抗酸化力をチェックするようになるかもしれません。

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