■変形性股関節症の進行に姿勢の悪化(立っている時の脊柱の傾き)と脊柱の柔軟性低下が影響|#京大
参考画像:姿勢の悪化と脊柱の柔軟性低下が変形性股関節症の進行に影響(2017/12/26、京都大学プレスリリース)|スクリーンショット
これまでに歩行における一日の股関節への負荷総量が変形性股関節症の進行に関わる要因であることを明らかにしてきましたが、建内 宏重 京都大学大学院医学研究科助教、市橋 則明 同研究科教授らの研究グループによる研究によれば、股関節の関節可動域制限や筋力低下など股関節自体の問題よりも、姿勢の悪化(立っている時の脊柱の傾き)と脊柱の柔軟性低下が歩行時の負荷に関わらず重要な要因であることがわかったそうです。
■まとめ
変形性股関節症は、股関節の痛みや可動範囲の制限、筋力低下などの症状がでる疾患です。歩行や立ち座りなどの運動機能や生活の質にも大きな悪影響を与えます。女性に多い疾患であることが知られており、日本では約 120 万から 420 万人の患者さんがいるとされています。
変形性股関節症は慢性進行性の疾患であるため、その進行予防は極めて重要な課題です。現在まで、骨形態の異常や遺伝的要素、年齢(加齢)、性別(女性)など複数の要因が疾患進行に関わることが明らかになっています。これらの要因はリハビリテーションなどの運動によって変化させることができない要因です。そのため、変形性股関節症の進行予防を目的としたリハビリテーションのターゲットを明確にすることができず、どのような運動が有効か不明でした。
今回の研究によれば、立っている時の姿勢や脊柱の柔軟性が変形性股関節症の進行に関わる重要な要因であることから、立っている姿勢における脊柱の傾きや脊柱の柔軟性の低下を評価することにより、リスクが高い患者を特定することが期待されます。
現在はまだリハビリテーションによって変形性股関節症の進行を抑制できるという十分なエビデンスは存在しませんが、立位姿勢や脊柱の柔軟性は理学療法士の適切な指導のもと医療機関や自宅での運動によって変化させることが可能です。今
現状ではリハビリによって変形性股関節症の進行を抑制できるという十分なエビデンスは存在しないものの、立っている姿勢や脊柱の柔軟性の改善によって変形性股関節症の進行予防ができるというデータが集まれば、新たなリハビリの開発につながることが期待されます。
【参考リンク】
(2017/12/26、京都大学プレスリリース)
股関節の痛みや関節可動域制限、筋力低下などよりもむしろ、立位姿勢における脊柱の前方への偏りおよび脊柱の柔軟性低下が変形性股関節症の進行に関わる重要な要因であることが分かりました。さらに、研究開始時点での年齢や体重、関節症の進行度の影響も含めて検討しても、やはり立位姿勢における脊柱の偏りや脊柱の柔軟性低下が疾患進行に関わることが明らかとなりました。立位姿勢の悪化は立位での股関節に加わる負荷の増大を通じて股関節症の進行に影響するものと考えられます。また、立ち座りなど日常生活における各種動作は股関節と脊柱が連動して動くことが多いため、脊柱の柔軟性が低下すると相対的に股関節での運動が増大し負荷が増えることが考えられます。
【参考リンク】
- Hiroshige Tateuchi, Haruhiko Akiyama, Koji Goto, Kazutaka So, Yutaka Kuroda, Noriaki Ichihashi Sagittal alignment and mobility of the thoracolumbar spine are associated with radiographic progressionof secondary hip osteoarthritis Osteoarthritis and Cartilage DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.joca.2017.12.005
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