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■ブルーライトをカットするPC用メガネは必要ない!?米国眼科学会はスマホのブルーライトが失明の原因になるものではないと発表
by Sam Bald(画像:Creative Commons)
No, Blue Light From Your Smartphone Is Not Blinding You
(2018/8/20、American Academy of Ophthalmology)
スマートフォン失明といったことが話題になった後、米国眼科学会は、ブルーライトは人間の概日リズムに影響し、眠りにくくなり、睡眠の質を下げるものの、スマホのブルーライトが失明の原因になるものではないという発表をしました。
【参考リンク】
- Be careful what you believe about screen time making you blind(2018/8/17、The Verge)
- Should You Be Worried About Blue Light?(2017/8/24、American Academy of Ophthalmology)
以前取り上げたなぜブルーライトが目に悪いのか?|青い光が目に悪影響の仕組み解明ー岐阜薬科大(2014/7/23)で紹介した岐阜薬科大学の原英彰教授などの研究グループによれば、マウスの目の細胞にLEDの光を当てたところ、緑の光をあてた細胞はあまり変化がなかった一方、白は約70%、青は約80%の細胞が死滅したそうです。
【参考リンク(論文・エビデンス)】
- Kasun Ratnayake, John L. Payton, O. Harshana Lakmal & Ajith Karunarathne Blue light excited retinal intercepts cellular signaling Scientific Reportsvolume 8, Article number: 10207 (2018)
- ブルーライトが網膜を傷つけ失明を引き起こすメカニズムが明らかに(2018/8/10、GIGAZINE)
- Choudhary A Hasan, Fariha Hasan,corresponding author and Sayed Mustafa Mahmood Shah Transient Smartphone Blindness: Precaution Needed Cureus. 2017 Oct; 9(10): e1796.
- Vicente-Tejedor J, Marchena M, Ramírez L, García-Ayuso D, Gómez-Vicente V, Sánchez-Ramos C, et al. (2018) Removal of the blue component of light significantly decreases retinal damage after high intensity exposure. PLoS ONE 13(3): e0194218. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0194218
ポイントとなるのは、実験において人間の眼から採取した細胞が使用されていなかったり、極端な量の光を投射したラットが実験対象となっていることでしょう。
【参考リンク】
- 米国眼科学会「ブルーライトで視力は低下しない。PC用メガネも推奨しない」(2018/10/1、ライフハッカー)
現時点では、人間の目の細胞で実験されておらず、また、実験で行われるような極端な量の光を実生活では受けることがないため、スマホのブルーライトで目が傷つくことを心配する必要がないということではないでしょうか。
ただ考えられるとしたら、ブルーライトを長期間曝されたという経験がないため、その影響がどれくらいあるかということです。
ブルーライトに限らず、長い間近くのものを見続けることは目を疲れさせる原因となります。
スマホを使い続けると目が疲れる理由は「距離」と「まばたき」!によれば、基本的には目の疲れは使いすぎが原因にあるのですが、スマホの性質上、目の疲れに拍車をかけてしまう要素があり、そのもっとも大きな要因が「距離」です。
現代人のライフスタイルは近くのものを見る生活が多いのですが、スマホの登場によって、その距離は45cmから15cmとなり、さらに近い距離で物を見るようになりました。
近くでモノを見続けるというのは、つまり、ピントを合わせ続けているということです。
スマホ老眼の症状・原因・予防でも紹介しましたが、現在、スマホやパソコンなどの画面を長時間見ることで目を酷使することにより、目のピント調整力が低下し、夕方頃になると老眼と同じような症状になっている人が増えています。
目には「水晶体」があり、カメラでいうとレンズに当たります。
この水晶体を、近くを見るときには厚くし、遠くを見るときには薄くなるように調節を行なっています。
スマホを見る際には、近くにピントを合わせるために毛様体筋の調節を行っているのですが、目を酷使することで、この毛様体筋に負担がかかっているからです。
そこで目を休める方法として紹介されているのが、「20-20-20」ルールです。
20-20-20ルール|目の疲れから守る方法や座り過ぎを防ぐ方法やまばたきで「疲れ目」解消!?眼精疲労回復エクササイズでも紹介した、米テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンターのEdward Mendelson医師が発案したのが、「20-20-20」という眼精疲労回復エクササイズは、20分おきに20フィート(約6メートル)離れたところを20秒間見つめながら、20回連続で瞬きをするという方法です。
目を疲れさせないためにも、距離をしっかりとって、まばたきに意識的に行ない、定期的に遠くを見るようにするようにしましょう!
【追記(2021/4/14)】
”最新の米国一流科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されています”
日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会、日本小児眼科学会、日本弱視斜視学会、日本視能訓練士協会の共同声明https://t.co/jlF4Hx8oQb
— 健康美容ブログ「HAKUR」|女性の知りたいがココにある! (@4050health) April 14, 2021
P.S.
LEDの「青い光」、目に大きな負担によれば、寝る前にPCやスマホなどの青い光をみると、睡眠を促す脳内物質メラトニンの分泌を抑え、睡眠・覚醒のリズムを狂わせるために、睡眠の質が悪くなると言われていました。
しかし、寝る前にパソコンやスマホを見ても睡眠の質は下がらない!?によれば、画面の明るさを「低~中」に設定するか、35センチほど離して使えば、目に届く光がメラトニンの分泌を阻害する30ルクス以下に抑えられるという結果が出ているそうです。
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