驚くべき科学的事実:オメガ3サプリメントを摂取しても記憶力や認知能力は向上しない(2026年6月18日、CNN)の記事のタイトルだけを読むと、オメガ3は認知症の予防には役立たないという印象を与えますが、記事をしっかり読むと内容が全然違うことがわかります。
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【参考文献】
- Yassine HN, Pour SG, Juarez M, Arrelanas IC, Ali N, Dikeman D, Sanchez A, Park J, Kerman B, Duro MV, Asante I, Louie S, Kono N, D’Orazio LM, Chui H, Mack WJ, Harrington MG, Braskie MN, Schneider LS. CNS target engagement of high-dose DHA supplementation in older adults at risk for dementia: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. EBioMedicine. 2026 Jun 18:106316. doi: 10.1016/j.ebiom.2026.106316. Epub ahead of print. PMID: 42315445.
■背景
人間の脳の脂質(脂肪)の約35%はDHAというオメガ3脂肪酸でできています。
オメガ3は脳の細胞膜の柔軟性や炎症の調整、シナプス(神経のつながり)に重要です。
体内でDHAを作れないので、魚(サケ・サバなど)やナッツから摂取する必要があります。
多くの人が魚を食べなくなり、アルツハイマー病や認知症予防のために、オメガ3サプリメントが人気になりましたが、過去の研究結果がばらばらであったため、本当に効くのかどうかがわかりませんでした。
また、APOE4遺伝子(アルツハイマーリスクを高める遺伝子)を持つ人はDHAの代謝が苦手という指摘もありました。
■研究結果
55〜80歳の365人(認知症なし)で全員がオメガ3摂取量が少なく、肥満・運動不足・高血圧などの認知症リスク因子を少なくとも1つ持ち、約47%がAPOE4(アルツハイマーリスクを高める遺伝子)キャリアを対象に、DHAサプリが認知症予防に役立つのかを調べた実験を行いました。
結果は、赤血球中のオメガ3指数は4.9%から11%に上昇し、また脳脊髄液のDHAも平均17%増加し、脳に届いたと考えられるのですが、認知機能の改善は見られず、海馬の容積にも変化はありませんでした。
この結果だけを見ると、オメガ3サプリは認知症予防につながらないという結論が出そうですが、研究者たちの意見は違います。
地中海式食事(魚・野菜中心)+運動+睡眠+ストレス管理をしている人では、オメガ3摂取量が多いと認知機能が良いという相関が見られます。
反対に不健康な生活(ファストフード・加工食品中心の典型的な欧米型の食生活、運動不足、慢性ストレス)では、サプリでオメガ3を増やしても「焼け石に水」だということです。
つまり、認知症予防をするには、不健康な生活をしている人であってもオメガ3サプリを飲めばいいというわけではなくて、週に2回脂身の多い魚を食べる(魚にはDHA以外にタンパク質・ビタミン・ミネラルが一緒にあり、サプリにはない相乗効果がある=ホールフードとしての相乗効果)、運動(有酸素運動+筋トレ)、質の高い睡眠、ストレス管理といった生活習慣の改善を心がけたうえで、オメガ3サプリメントを摂取すれば、アルツハイマー型認知症のリスクを軽減できるということなんですね。
この研究は「魔法のサプリは存在しない」ことを改めて教えてくれました。
オメガ3は脳にとって重要ですが、それを最大限に活かすためには、食事・運動・睡眠・ストレス管理という全体的な生活習慣が土台として必要不可欠なのです。
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