サッカー・ワールドカップの中継の中でしばしば目にするのが選手たちが口をゆすいで吐き出す動作。
水分補給ではなく、なぜ吐き出しているのか、気になっている人も多いと思いますが、そこでXで気になる投稿を見つけました。
それが「炭水化物マウスリンス」という言葉。
炭水化物マウスリンスとはいったいどんな考え方なのでしょうか?
健康の維持・増進、「体操×マウスリンス」という最適解(2024年、関西大学)によれば、
炭水化物マウスリンスとは、炭水化物を含んだ液体を口に含んで吐き出し、体内にエネルギー源を入れなくとも運動パフォーマンスの向上を図ろうとするものです。マラソンなど長時間に及ぶ競技では、どうしてもエネルギーが減少し、パフォーマンスが低下します。そのためレース前やレース中の炭水化物補給は不可欠なのですが、物を胃や腸に入れてしまうと、身体に負担がかかります。そこで、飲み込まずに吐き出すマウスリンスという方式が考案されました。
なのだそうです。
炭水化物マウスリンスに適したスポーツはサイクリング(タイムトライアルなど)、ランニング(中長距離、特に30分〜1時間程度のペース走やレース)、トライアスロン、サッカー・バスケットボールなどのチームスポーツ(試合中の補給タイミングで、GI障害を避けたい場合)、スイミング、カヌーなど。
【参考文献】
- de Ataide e Silva T, Di Cavalcanti Alves de Souza ME, de Amorim JF, Stathis CG, Leandro CG, Lima-Silva AE. Can carbohydrate mouth rinse improve performance during exercise? A systematic review. Nutrients. 2013 Dec 19;6(1):1-10. doi: 10.3390/nu6010001. PMID: 24451304; PMCID: PMC3916844.
つまり、炭水化物マウスリンスをすることによって、炭水化物を実際に摂取・吸収しなくても、疲労の感覚が減少し、運動持続やパフォーマンスが向上し、また炭水化物を実際に摂取しないことから胃腸障害を避けられる利点があります。
この方法が注目されたのは、2018 FIFAワールドカップでイングランド代表(Harry Kaneら)が試合中に飲料をすすいで吐き出す様子がテレビ中継で目立ち、「carb rinsing」として世界的に報じられ、科学者らが「脳への信号で疲労を遅らせる手法」と説明したことで広まりました。
現在は、トップクラブや代表チームでGI(胃腸)負担を避けたい場面(試合中盤〜後半)で使われるようになり、Cristiano Ronaldoらの有名な選手たちを取り入れています。
■【補足】
今回の話から逸れますが、関西大学人間健康学部の弘原海剛教授によれば、従来からの液体を口に含む方法とスプレーを噴霧する方法を比較実験したところ、両社の効果に差がないことが立証されているそうです。
つまり、今後は衛生的に考えても、選手たちが液体を含んで吐き出す映像というのはスプレー式に切り替わっていくことが予想されます。
ちなみに、このマウスリンスはスポーツのパフォーマンスの向上に役立つだけではありません。
炭水化物も口に含むことで、脳に刺激を与えるということが分かっており、DLPFC(背外側前頭前野)という認知機能をつかさどる脳の部位を活性化させることから、エクササイズの合間にマウスリンスをすることによって、認知機能にプラスの影響があることから、認知症予防にも役立つ可能性があるようです。
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