衣食住が満たされた1週間の引きこもり体験を経験した結果、人の体・心にどのような変化が出るのか?




The Safety of Fear

by Alyssa L. Miller(画像:Creative Commons)

「地獄でした」 3食付き・DMMのコンテンツ見放題「1週間引きこもり」、27歳の無職男性が体験した結果は

(2015/8/7、ITmedia)

1週間、誰にも会わずにひきこもり、DMM.comのコンテンツを楽しむ「一週間の最高のひきこもり体験」参加者によるリポートが公開された。

衣食住が満たされ、ゲームや動画といったコンテンツだけの生活で人はどうなるかという実験です。

■肉体面の結果

1週間で体重は3.8キロ増え、体脂肪率は15.6%から19.7%にアップした。

1週間の引きこもり生活の時間配分を見ても、ほとんど運動をしていないので、基礎代謝だけのカロリーが消費され、活動代謝がないと思われますので、このような結果になったものと思われます。

それにしても、食事だけを与えられて、一歩も外に出ないとこれほど太ってしまうとは驚きです。

【関連記事】

■精神面の結果

就職活動に疲れて参加したというユウトさんは、「最初は楽しかったが、始まって3日目で急激にキツくなった」と振り返る。外に出られず誰ともコミュニケーションが取れないことが辛く、「5日目くらいからは今が夢か現実かわからないくらいフワフワしてきて、あんまりよく覚えていない」という。

「海馬 脳は疲れない」(著:池谷裕二・糸井重里)によれば、何の刺激もない部屋に2から3日放置されると、脳は幻覚や幻聴を生み出してしまうそうです。

海馬―脳は疲れない (新潮文庫)

新品価格
¥680から
(2017/3/28 12:15時点)

今回の実験では、コンテンツ見放題ということでしたが、それでも人とコミュニケーションをとったり、どこかに出かけるという刺激がないと脳が耐えられなくなるのではないでしょうか?

【関連記事】

■まとめ

この実験から感じることは、人間にとって、衣食住が満たされることは重要ですが、人間らしくあるためには、コミュニケーションであったり、社会とのつながりを持つことがいかに重要かということではないでしょうか。

【関連記事】

【追記(2015/8/9)】

Kinfolk japan edition volume nineより

所有物を意味する”belonging”と帰属を意味する”belonging”。

幸せで健康的な生活を送るために欠かせない最も基本的なものは、食料、水、そして住居。
しかし、豊かな社会のために必要な要素は別にある。それは、属しているということ。

グローバリゼーションによって世界が狭くなり、情報を即座にシェアすることができ、スピーディな技術が存在し、世界のどこにいても仕事をすることができる。とはいえ、こうしたことは、必ずしも帰属意識を生み出さない。関係性や様々な情報、多様な意見をもたらすが、そこから繋がりが生まれることはない。感情的に、精神的に、心理的に、仲間である場に満ちた安心感を得られるような、絆を生み出すことはない。

衣食住が全て満たされていても、人は何か足らないのだ。

それは、属しているということやつながっているということだろう。

属するということは、自分が誰かとつながっているということであり、自分が存在しているということでもある。

そのことが精神的に安心感をもたらしてくれるのだ。

先ほど紹介した実験の体験者は、何かに属しているという感覚が失われ、精神的に不安に陥ったに違いない。

社会とのつながり方をもっと考える必要がありそうだ。