■運動をする人は低ナトリウム血症(EAH)に注意!給水は「drink to thirst(喉が渇いたら水分補給)」戦略を推奨
by Peter Mooney (画像:Creative Commons)
(2016/6/26、NHK)
消防によりますと、参加した男性4人、女性3人の合わせて7人が、熱中症とみられる症状を訴えて病院に運ばれ、このうち男性1人が意識不明の重体となっています。また、主催した実行委員会によりますと、体調不良のため救護所を訪れた人が40人余りいて、大半が熱中症とみられる症状を訴えたということです。
レースは午前9時前から正午前にかけて行われ、実行委員会によりますと、会場付近での気温は午前9時で25度7分、正午で29度1分で、湿度は50%前後だったということです。<中略>
熱中症に詳しい国立環境研究所の小野雅司客員研究員は「今は季節の変わり目で、体が暑さに慣れていないと体に負担がかかりやすくなる。30度を超えていなくても熱中症になりやすい」と指摘しています。
気温が高く、湿度が高いと、かいた汗が蒸発しにくくなり、体温が十分に下がらないため、熱中症が起こります。
しかし、気温が高くなくても、何らかの原因で体温調節機能が働かなくなることにより、熱中症になることがあります。
→ 熱中症の症状・原因・対策 について詳しくはこちら
ただ、一つ気になるのは、「レース中の給水の代わりにスイカを食べる」ということ。
もしかすると、低ナトリウム血症ということはないのでしょうか?
■低ナトリウム血症とは?
正しい給水方法は?低ナトリウム血症にご用心|ダイヤモンド社
低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が極端に低くなった状態を指す。兆候は意識が遠のくような感じや、手足のむくみ、吐き気や頭痛など。放置すると錯乱など脳機能障害の症状が現れ、昏睡状態から時には死に至る。
運動誘発性の低ナトリウム血症(EAH)は、アスリートが水やスポーツドリンクなどを必要以上にがぶ飲みしたときに発生しやすい。エクササイズ時間が4時間を超える運動や、軍事教練なみのジムワークのEAHリスクは高く、当然、耐久レース関係は最も症例報告が多い。
低ナトリウム血症の症状は、意識が遠のく、吐き気、頭痛などが現れるそうで、熱中症の症状に似たところもあります。
また、運動慣れしていない人の汗はナトリウム濃度が濃い、つまり体内からナトリウムが失われてしまうために、EAHリスクが高くなってしまうという。
低ナトリウム血症は水分補給を必要以上に行なった時に起こりやすいそうで、また、運動をあまりしていない人の汗はナトリウム濃度が濃い、EAHリスクが高くなってしまうそうです。
■「drink to thirst(喉が渇いたら水分補給)」戦略
脱水症状を防ぐためにも水分補給は重要ですが、必要以上に水分補給を行なってしまうと低ナトリウム血症(EAH)になるリスクが高まってしまうとなれば、私たちが運動をする際には、どのようなタイミングで水分補給をしたらよいのでしょうか?
マラソン中に死亡も、低Na血症の防ぎ方…スポーツ飲料でも注意
(2015/7/14、あなたの健康百科)
一方で、脱水を防ぐために適度な水分補給は必要だ。声明では、マラソン選手では喉の渇き具合と血液中のナトリウム濃度に関連があり、喉の渇きに応じて水分摂取すると血液の浸透圧が維持されたという研究結果もあることを紹介。その上で、喉の渇きに応じて水分補給する「drink to thirst(喉が渇いたら水分補給)」戦略を推奨した。
マラソン選手では喉の渇き具合と血液中のナトリウム濃度に関連があり、喉の渇きに応じて水分摂取すると血液の浸透圧が維持されたという研究結果があることから、「Drink to Thirst=喉が渇いたら水分補給をする」が推奨されているそうです。
今回は、レース中の給水の代わりにスイカを食べながら、3~10キロを走るロードレースイベントであり、もしかすると、それほど喉が渇いていないのに、過剰に水分補給を行なってしまったのかもしれません。
また、どのような形でスイカを提供したのかわかりませんが(スイカに塩をふっているのかどうかなど)、スイカは余分なナトリウムの排出を促すカリウムが多く含まれている食べ物であり、運動慣れしていない人はナトリウム濃度の高い汗をかいてしまうと、それだけ低ナトリウム血症(EAH)になるリスクが高まるとは考えられないでしょうか。
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