高齢者の熱中症、6割が自宅で発症している!?その理由とは?


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■高齢者の熱中症、6割が自宅で発症している!?その理由とは?

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by Transformer18(画像:Creative Commons)

冷房我慢しないで…高齢者熱中症、6割が自宅で

(2011/7/30、読売新聞) 

昨年の夏に熱中症で救急搬送された65歳以上の患者のうち6割は自宅で発症していたことが、筑波大学と国立環境研究所の調査でわかった。

<中略>

高齢者は、熱中症にかかると重症化しやすく、暑さも感じにくくなる傾向がある。

筑波大学と国立環境研究所の調査によれば、2010年の夏に熱中症で緊急搬送された65歳以上の患者のうち6割が自宅で発症したそうです。

高齢者は暑さが感じにくくなる傾向があり、また、節電のために、冷房を我慢しているということも影響しているようです。

<汗ばむ季節>熱中症の意外な誤解 正しい知識で予防を

(2017/6/10、毎日新聞)

発症場所の1位が居間、2位が寝室、3位がトイレとの統計があるため、それらが発症の危険性が高い場所だと思われている。

現実には若者の熱中症患者のほとんどがスポーツや肉体労働の最中に屋外で発症しており、高齢者が日常生活の中で発症するケースは屋内と屋外が半々だという。

帝京大医学部付属病院の三宅康史・高度救命救急センター長によれば、熱中症の発症場所は統計上室内となっているが、居間は生活する時間が長い場所で、寝室は体調が悪くなって休んでいる場所で、トイレは吐いたりする場所であるため、家の中が熱中症の発症リスクが高いというわけではないそうです。

■65歳以上の高齢者が多い

高齢者が熱中症にかかりやすい理由|高齢者の世話をする人が注意する点|環境省
高齢者が熱中症にかかりやすい理由|高齢者の世話をする人が注意する点|環境省

参考画像:熱中症を防ぐには 高齢者と子どもの注意事項|環境省

熱中症で死亡した人の9割が屋内|65歳以上の高齢者やエアコン不使用のケースが多いで紹介した東京都監察医務院の死因調査によれば、死亡者全体の365人でみると、65歳以上は290人(79%)だったそうです。

高齢者が熱中症になりやすいのは、主に加齢による体の衰えが原因です。

1)暑さを感じにくくなる

気温の上昇に鈍感になり、脱水症状が始まっても自分で体の異変に気付きにくくなります。

熱中症を防ぐには 高齢者と子どもの注意事項|環境省

皮膚の温度センサーが鈍くなると、自律性体温調節の発動も遅れてきます。この行動性と自律性の体温調節の鈍化により、体に熱がたまり、熱中症の発生へと繋がります。

老化に伴い皮膚の温度センサーの感度が鈍くなることで、暑さを感じにくくなり、異変に気付きにくくなり、熱中症になってしまうのです。

2)熱放散能力が低くなる

暑いと体温調節を行ないますが、高齢者は若い人と比べると、熱放散能力(皮膚血流量や発汗量を増加して熱放散を促進する)が低いため、体に熱がたまりやすくなり、深部体温が高くなりやすいです。

3)体内の水分量の減少、のどの渇きを感じにくい

高齢になると、体内の水分量が減少することによって熱放散ができなかったり、高のどの渇きを感じにくいことや、腎機能が低下しているため、脱水状態に陥りやすいです。

その他にも、熱中症は、高血圧糖尿病など持病がある人も重症化しやすいので注意が必要です。

■熱中症対策(応急処置)

熱中症の応急処置|環境省熱中症予防情報サイト
熱中症の応急処置|環境省熱中症予防情報サイト

参考画像:熱中症の対処方法(応急処置)|環境省熱中症予防情報サイト

それでは、熱中症になったら、どうすればよいのでしょうか?

(1)涼しい場所に移し、衣服をゆるめてリラックスさせる

建物が近くにない場合には日陰で休ませましょう。

建物が近くにあればエアコンの効いた部屋で休ませましょう。

(2)首筋、脇の下、脚の付け根を(冷たいペットボトルなどを使って)冷やす

脈拍のとれる位置は血管が皮膚に近いため、そこを冷やすと、冷却された血液が全身を巡ることで、クールダウンします。

(3)顔が赤いときは頭を高く、青白ければ足を高くして寝かせる

(4)意識があり、嘔吐がなければ水分補給させる

水分だけでなく塩分などの電解質も失われていると考えられますので、水に塩分などの電解質と糖とがバランスよく配合された経口補水液を利用しましょう。

(5)皮膚が熱ければ、風を送ったり熱い部分にぬれタオルを当てる

(6)皮膚が冷たければぬれタオルをしぼり、冷たい部分をマッサージ

(7)意識がなかったり、急に体温が上がったらすぐ救急車を呼ぶ

<汗ばむ季節>熱中症の意外な誤解 正しい知識で予防を

(2017/6/10、毎日新聞)

三宅センター長は、Fluid(水分補給)▽Icing(冷やす)▽Rest(安静にさせる)▽Emergency call(救急車を呼ぶ)--の四つを挙げる。覚え方は「FIRE」。ただし、行う順番は逆からで、まず救急車を呼び、患者を涼しい所に運んで服を緩めて安静にさせ、首や脇の下や太ももの付け根を冷やして、できれば水分補給をさせる。

帝京大医学部付属病院の三宅康史・高度救命救急センター長によれば、熱中症の応急手当は「FIRE」で覚えるとよいそうです。

ただし、行う順番はつづりとは逆の順番で行なうそうです。

E(Emergency call:救急車を呼ぶ)

→R(Rest:涼しい場所に運んで安静にする)

→I(Icing:首筋、脇の下、脚の付け根など血管が皮膚に近い場所を冷やす)

→F(Fluid:水分補給)

■まとめ

筑波大学と国立環境研究所の調査によれば、2010年の夏に熱中症で緊急搬送された65歳以上の患者のうち6割が自宅で発症したそうです。

高齢者は加齢による身体の衰えが原因で、気温の上昇に鈍感になり、脱水症状が始まっても自分で体の異変に気付きにくくなります。

また、エアコンを使うのを我慢していることも影響しているようです。

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