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【目次】
■運動によって非アルコール性脂肪肝の脂肪蓄積と肝硬度は改善する
参考画像:運動プログラムにより非アルコール性脂肪肝の脂肪蓄積と硬さの両方が改善 ~臨床試験による効果的なトレーニング方法の検討~ (2017/2/27、筑波大学)|スクリーンショット
筑波大学の正田純一教授と田中喜代次教授らの研究グループが行なった研究によれば、運動習慣のない中年の肥満男性を対象に行なった3種類の運動プログラムが非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の肝脂肪蓄積と肝硬度にどのような改善効果の違いが現れるかを調べる臨床試験を実施したところ、脂肪肝の肝脂肪蓄積は運動トレーニングの種類と強度に関わらず改善すること、そして、肝臓の硬さ(肝硬度)の改善には高強度インターバル有酸素性トレーニング(HIAT)のみが有効であることがわかりました。
このことから、脂肪肝を改善するためには、まずは規則的に運動を続けて、徐々に運動強度を上げていくことが重要であるということが示唆されました。
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■まとめ
肝臓に脂肪が蓄積した脂肪肝になると、肝炎や肝硬変などの肝臓の病気になるリスクが高まり、ついには肝臓がんを引き起こす可能性があるといわれています。
週250分の運動で脂肪肝改善 「やせなくても効果あり」―筑波大研究グループで紹介した筑波大の研究グループによれば、肥満の人は、週250分以上早歩きなどのやや強めの運動をすると、体重が減らなくても、肝臓に蓄積した脂肪が減少したり、善玉コレステロールや肝臓の炎症を防ぐ物質「抗炎症性アディポカイン(adiponectin)」が増えていること、肝臓の貯蔵鉄(ferritin)と過酸化脂質(TBARS)の減少がわかったそうです。
つまり、脂肪肝の改善には運動を継続して行うことが重要であり、そして徐々に運動強度を増加することができれば、さらに改善につながるということですので、運動する習慣を身につけることが脂肪肝改善の近道ということですね。
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【参考リンク(論文・エビデンス)】
- Oh S, So R, Shida T, Matsuo T, Kim B, Akiyama K, Isobe T, Okamoto Y, Tanaka K, Shoda J. High-Intensity Aerobic Exercise Improves Both Hepatic Fat Content and Stiffness in Sedentary Obese Men with Nonalcoholic Fatty Liver Disease. Sci Rep. 2017 Feb 22;7:43029. doi: 10.1038/srep43029.
- 運動プログラムにより非アルコール性脂肪肝の脂肪蓄積と硬さの両方が改善 ~臨床試験による効果的なトレーニング方法の検討~
(2017/2/27、筑波大学)
1. 運動習慣のない中年肥満男性を対象に、1 週間に 3 回、12 週間のレジスタンストレーニング(RT)、高強度インターバルトレーニング(HIAT)、中強度持続性トレーニング(MICT)が非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝)の肝脂肪蓄積と肝硬度に及ぼす改善効果に関する臨床試験を実施しました。
2. 3 種類のトレーニングはいずれも、体重と内臓脂肪の減少を伴わずに、非アルコール性脂肪肝の肝脂肪蓄積を同等に改善させることが明らかとなりました。
3. 3 種類のトレーニングのうち HIAT のみが、肝臓の硬さが増している進行した非アルコール性脂肪肝に対して有用な運動プログラムであることがわかりました。
注1)レジスタンストレーニング(resistance training; RT): 米国スポーツ医学会におけるガイドライン(2009)を参考し、シットアップ、レッグプレス、レッグエクステンション、レッグカール、チェストプレス、シーテッドロウ、プルダウンで構成した。参加者は1RM(ウェイトトレーニングの最大挙上重量)の70-80%を目標に運動を実施した。
注2)高強度インターバル有酸素性トレーニング(high-intensity interval aerobic training; HIAT): JAXAで宇宙飛行士の運動プログラムの目的として考案された自転車による訓練方法である。13分間のインターバルプログラムに構成されており、約180kcalを消費する。「プロトコル:VO2max 80-85% (3分)- 50%(2分)- 80-85% (3分)- 50%(2分)- 80-85% (3分)」
注3)中強度持続性トレーニング(moderate-intensity continuous training; MICT): 40分間の持続性の自転車訓練方法である。約360kcalを消費する。「プロトコル:VO2max 60-65% (40 分)」
- Sechang Oh, Kiyoji Tanaka, Eiji Warabi, Junichi Shoda, “Exercise reduces inflammation and oxidative stress in obesity-related liver diseases”, Medicine & Science in Sports & Exercise, vol.45, pp.2214-2222, Dec, 2013
- Sechang Oh, Kiyoji Tanaka, Takehiko Tsujimoto, Rina So, Takahashi Shida, Junichi Shoda, “Regular exercise coupled to diet regimen accelerates reduction of hepatic steatosis and associated pathological conditions in non-alcoholic fatty liver disease”, Metabolic Syndrome and Related Disorders, vol.12, pp.290-298, Apr, 2014
- Sechang Oh, Takahashi Shida, Kazumasa Yamagishi, Kiyoji Tanaka, Takehiko Tsujimoto, Rina So, Junichi Shoda, “Moderate to vigorous physical activity volume is an important factor for managing non-alcoholic fatty liver disease: A retrospective study”, Hepatology, vol.61, pp.1205-1215, Apr, 2015
- Sechang Oh, Takahashi Shida, Tsuyoshi Maruyama, Kiyoshi Eguchi, Tomonori Isobe, Yoshikazu Okamoto, Emi Arai, Junichi Shoda, “Therapeutic effect of hybrid training of voluntary and electrical muscle contractions on middle-aged obese women with non-alcoholic fatty liver disease: a pilot study”, Therapeutics and Clinical Risk Management, vol.11, pp.371-380, Mar, 2015
- Sechang Oh,Takahashi Shida, Tsuyoshi Maruyama, Kiyoshi Eguchi, Tomonori Isobe, Yoshikazu Okamoto, Noriko Someya, Kiyoji Tanaka, Akiko Tozawa, Emi Arai, Junichi Shoda, “ Acceleration training for management of obese subjects with non-alcoholic fatty liver disease”, Therapeutics and Clinical Risk Management, vol.10, pp.925-936, Dec, 2014
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