VRで痛みを軽減し、依存性のある鎮痛剤の使用を抑制しようという取り組み|シーダーズサイナイ医療センター





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■VRで痛みを軽減し、以前性のある鎮痛剤の仕様を抑制しようという取り組み|シーダーズサイナイ医療センター

Viking

by Leonard Lin(画像:Creative Commons)

VRで痛み軽減:没入感が脳を乗っ取る

(2017/7/17、WSJ)

センターの研究者、ブレナン・スピーゲル氏によると、過去2年に行った臨床実験の結果、VRを体験することで痛みを24%軽減できることが分かった。VRはがんや整形外科的な傷、腹部の不快感などさまざまな痛みを緩和できるという。

ロサンゼルスのシーダーズサイナイ医療センターでは、VRによって痛みを軽減するという研究が行なわれているそうです。

3月に医学誌「ジャーナル・オブ・メディカル・インターネット・リサーチ・メンタル・ヘルス」に掲載された研究論文によると、シーダーズサイナイの患者50人を対象に、痛みを緩和するためテディベアのVRゲームをプレーさせたところ「統計的に有意かつ臨床的に重要な」改善が見られたという。

リラクゼーション用の映像よりもVRゲームをさせたグループのほうが痛みが緩和されたという結果が出たそうです。

【参考リンク】

VRで痛みを軽減するというのは面白いアイデアですが、この背景にあるのは、依存性のある鎮痛剤の使用を抑制しようという取り組みです。

米国では今、医師が依存性のある鎮痛剤の使用を抑制しようと取り組んでおり、スピーゲル氏らはVRが有効な代替策や補完治療になり得ると話す。

【参考リンク】




■まとめ

がん患者の心の悩みが減る一方、体の痛み(脱毛・しびれ・後遺症・体力の低下)に悩む人が増えているで取り上げた山口建・静岡県立静岡がんセンター総長らの研究チームの調査によれば、10年前に比べて、再発の不安や残される子どもの心配などの「心の苦悩」の占める割合が53.0%から36.6%に減った一方、抗がん剤の副作用や手術の後遺症などの「身体の苦痛」は15.1%から22.8%に増加しているそうです。

痛みを軽減する方法としては、「痛いの痛いの飛んでけー」を活用した生理痛の痛みを消す方法を以前紹介しました。

「痛いの痛いの飛んでけー」生理痛をスイッチオフするウェアラブルデバイス「LIVIA」!その仕組みとは?によれば、Liviaの技術は「ゲートコントロール理論」に基づいているもので、この理論を自分なりにものすごく簡単にかみ砕くと、「痛いの痛いの飛んでけー」理論です。

人は、痛いところがあると、自然とその部分をさすってしまうものです。

感覚神経には細い繊維と太い繊維があり、痛みのシグナルの伝達速度が速い太い繊維に刺激を与えると、ゲートを閉鎖して細い繊維の痛みのシグナルが通過することができず痛みを感じなくなるという「ゲートコントロール理論」の考えを基に作られたのが「Livia」なのだそうです。

「Livia」は電気刺激を与える2つのパッドを痛みのある部分に貼り付けると、生理痛の痛みが消えてしまうそうです。

今回の研究では、体の痛みを鎮痛剤で抑えることなく、没入感のあるVR体験によって、痛みに意識が行かなくなることを目指しています。

VR対応ヘッドマウントディスプレイを使って視界の80%以上を覆うような映像を展開すると、脳はそれを現実のように認識してしまう!?によれば、VRの特徴といえば、「没入感」ですが、VR対応ヘッドマウントディスプレイを使って、視界の80%以上を覆うような映像を見ると、脳はそれを現実のように認識してしまうそうです。

PlayStation VR用ゲーム「サマーレッスン」を開発した、バンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘チーフプロデューサーによれば、VRゲームについて研究する中で、VRを悪用すれば数千人を一斉に車酔いさせ嘔吐させることも可能なのだということでしたが、それほど没入感の強いものだということですね。

【参考リンク】

VRはゲームや3D映画向けに作られているだけでなく、医療や教育分野でも関心が持たれています。

VRによって痛みの緩和ができて、鎮痛剤の依存に悩まされる人が少なくなるといいですね。







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