■食中毒の原因となるO157などの腸管出血性大腸菌の感染者が急増している!
by MIKI Yoshihito(画像:Creative Commons)
食中毒の原因となるO157などの腸管出血性大腸菌の感染者が急増しているというニュースに関心が高まっています。
【急増中】O157など食中毒の予防ポイントは…「食品の常温保存は避ける」https://t.co/i0THfhQ93d
手だけでなく調理器具も清潔に保つこと。無症状でも感染していることがあり、排便後の手洗いは必須だ。 pic.twitter.com/XAHMP8iAN7
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2017年8月22日
【O157 室温15分放置で菌2倍に】O157などの腸管出血性大腸菌は気温が上がると増えやすい。室温放置なら約15分で菌は2倍に増えるとされ、調理済みの食品は冷やして持ち帰り、冷蔵庫にすぐ入れたほうがいいという。 https://t.co/cjQD2ae9kq
— Yahoo!ニュース 速報や地震情報も (@YahooNewsTopics) 2017年8月23日
【参考リンク】
- O157、食品15分放置で菌2倍 感染者、夏に急増(2017/8/24、朝日新聞)
- O157など食中毒が急増…予防ポイントは「手洗い」「調理器具の洗浄」「冷蔵庫で保管」(2017/8/23、産経新聞)
以前にもこのブログではジャーサラダに対する食中毒の不安から食中毒を防ぐ方法やジビエ料理を安全に食べる方法について紹介してきました。
【関連記事】
- 牛の肝臓(レバー)内部にO157を初確認 生食禁止の可能性(2011/12/15)
- ジャーサラダに食中毒を心配する声|食中毒を防ぐ方法
- ジビエ料理を安全に食べるための指針―厚生労働省
- 魚を食べたら、激しい腹痛|胃アニサキス症の症状・対策(加熱・冷凍)・予防
O157による食中毒のニュースで関心が高まる中、改めて政府広報オンラインの食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイントから学んでいきたいと思います。
■O157とは?
その前に、まずはO157の基本情報を紹介します。
食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント|政府広報オンライン
牛や豚などの家畜の腸の中にいる病原大腸菌の一つで、O157やO111などがよく知られています。毒性の強いベロ毒素を出し、腹痛や水のような下痢、出血性の下痢を引き起こします。腸管出血性大腸菌は食肉などに付着し、肉を生で食べたり、加熱不十分な肉を食べたりすることによって食中毒を発症します。乳幼児や高齢者などは重症化し、死に至る場合もあります。
O157のような腸管出血性大腸菌による食中毒を発症すると、腹痛や下痢、出血性の下痢を引き起こし、乳幼児や高齢者の場合には重症化する恐れがあります。
それではどのようにして食中毒を防げばよいのでしょうか?
■食中毒を防ぐ3つの原則
食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント|政府広報オンライン
食中毒を防ぐためには、細菌の場合は、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3つのことが原則となります。
1.食中毒の原因菌を「つけない」
→洗う。分ける。
具体的に、手についた雑菌を食べ物につけないように、生の肉や魚、卵などを取り扱う前後や調理の途中で、トイレに行ったり、鼻をかんだりした後、おむつを交換したり、動物に触れたりした後には必ず手を洗いましょう。
2.食中毒の原因菌を「増やさない」
→低温(マイナス15℃以下では増殖が停止)で保存
3.食中毒の原因菌を「やっつける」
→加熱処理(肉料理は中心部を75℃で1分以上加熱する)
また、ふきんやまな板、包丁などの調理器具にも、細菌が付着するので、きちんと洗剤で洗ったり、熱湯をかけて殺菌しましょう。
■O157の検査をスマホでできる技術を開発|MIT
(2017/4/14、マイナビニュース)
マサチューセッツ工科大学(MIT)とマックス・プランク研究所の共同研究チームは、病原性大腸菌O157など食中毒の原因となる細菌の検出を、スマートフォンを利用して簡便かつ迅速に行う技術を開発した。
MITとマックス・プランク研究所による研究によれば、O157などの細菌の検出をスマホを利用して行う技術を開発したそうです。
Janus Emulsions for the Detection of Bacteria
Janus emulsions stabilized by carbohydrate surfactants agglutinate in the presence of proteins or bacteria. Optical changes can be detected by a smart phone qualitatively and can also be processed to quantify the amount of analyte.
炭水化物界面活性剤によって安定化されたヤヌス乳剤は、タンパク質または細菌(バクテリア)が存在すると凝集します。
光学的変化は、スマホで検出でき、また分析物の量を定量化するために処理することもできるそうです。
(2017/4/5、MIT)
To demonstrate how these droplets could be used for sensing, the researchers placed them into a Petri dish atop a QR code that can be scanned with a smartphone. When E. coli are present, the droplets clump together and the QR code can’t be read.
大腸菌を検出すると液滴(ヤヌス乳剤)が曇るので、シャーレの下のQRコードが読み取れなくなるという仕組みなのだそうです。
A simple way to make and reconfigure complex emulsions
■まとめ
O157による食中毒を防ぐ方法としては、食中毒の原因菌を1.「つけない」、2.「増やさない」、「やっつける」を守りましょう。
また、MITの研究グループが開発したスマホを活用して迅速にかつ低コストでO157のような食中毒の原因菌を検出する技術が浸透すれば、より食中毒で苦しむ人が少なくなっていくと思います。
【参考リンク】
- Qifan Zhang, Suchol Savagatrup, Paulina Kaplonek, Peter H. Seeberger, and Timothy M. Swager Janus Emulsions for the Detection of Bacteria ACS Cent. Sci., 2017, 3 (4), pp 309–313 DOI: 10.1021/acscentsci.7b00021
- Scientists make microscopes from dropletsWith chemistry and light, researchers can tune the focus of tiny beads of liquid.(2017/3/10、MIT)
- Sara Nagelberg, Lauren D. Zarzar, Natalie Nicolas, Kaushikaram Subramanian, Julia A. Kalow, Vishnu Sresht, Daniel Blankschtein, George Barbastathis, Moritz Kreysing, Timothy M. Swager & Mathias Kolle Reconfigurable and responsive droplet-based compound micro-lenses Nature Communications 8, Article number: 14673 (2017) doi:10.1038/ncomms14673
- A simple way to make and reconfigure complex emulsions Researchers can precisely control the distribution of liquids suspended within each other.(2015/2/25、MIT)
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