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■肝線維化を促進する疾患特異的マクロファージを同定し、脂肪肝からNASHを発症する新たな病態メカニズムを解明|短期間でNASHを発症する誘導性NASHモデル開発|東京医科歯科大学
参考画像:「 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の新たな病態メカニズムの解明 」― 短期間でNASHを発症する疾患モデルの開発を通して ―(2017/11/16、東京医科歯科大学プレスリリース)|スクリーンショット
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子細胞代謝学分野・九州大学大学院医学研究院病態制御内科学分野の小川佳宏教授と名古屋大学環境医学研究所分子代謝医学分野の菅波孝祥教授を中心とする研究グループによる研究によれば、短期間で非アルコール性脂肪肝炎(NASH: non-alcoholic steatohepatitis)を発症する“誘導性モデル”を新たに開発しました。
「 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の新たな病態メカニズムの解明 」― 短期間でNASHを発症する疾患モデルの開発を通して ―
(2017/11/16、東京医科歯科大学プレスリリース)
近年、わが国においても NASH が急増しています。脂肪肝が 1,500 万症例、その 10%程度が NASH に進行し、さらに 10%程度が肝硬変や肝細胞癌を発症すると想定されます。しかしながら、どのようにして脂肪肝が NASHに進行するかは未だ明らかになっていません。
今回の研究のポイントは2つ。
一つは、1週間という短期間で肝線維化過程を評価できるため、病態解析や薬剤スクリーニングを効率的に行うことが可能であるということ。
もう一つは、NASHに特異的なマクロファージの同定。
新たなNASHモデルの開発と肝線維化を促進する疾患特異的マクロファージの同定により、患者の急増が予想されるNASHの発症メカニズムの解明や新しい治療法の開発につながることが期待されます。
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【参考リンク】
「 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の新たな病態メカニズムの解明 」― 短期間でNASHを発症する疾患モデルの開発を通して ―
(2017/11/16、東京医科歯科大学プレスリリース)
●短期間で非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症する“誘導性 NASH モデル”を開発しました。
●肝線維化を促進する疾患特異的マクロファージを同定し、脂肪肝から NASH を発症する新たな病態メカニズムを解明しました。
●このマクロファージはヒト NASH においても認められ、病勢を反映することを見出しました。
●新たな NASH モデルの開発と疾患特異的マクロファージの同定は、アンメットメディカルニーズの高い肝線維化疾患に対する新規治療法開発への応用が期待されます。
アンメットメディカルニーズとは、いまだ有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズのことです。
NASH の発症に先行して、肝臓の局所に特徴的な微小環境(hCLS:hepatic crown-like structure)が形成され、NASH の発症に至ることを見出しました(図 2)。この微小環境は主に組織常在性マクロファージ(クッパー細胞)で構成され、炎症促進性の形質を獲得することにより、肝線維化に働くことを明らかにしました。マクロファージは白血球の一種で、従来は一様と考えられていましたが、近年、臓器や疾患においてそれぞれ特徴的なマクロファージサブタイプが存在し、多種多様であることが明らかになってきました注 3)。
CLS: crown-like structure
近年、肥満を中心として発症するメタボリックシンドロームの病態形成に慢性炎症が深く関与することが知られています。肥満に伴い浸潤してきたマクロファージをはじめとした様々な炎症細胞によって、脂肪組織の機能は大きな影響を受けます。特に、肥大化して細胞死に陥った脂肪細胞をマクロファージが取り囲んで貪食・処理する組織像は CLS と呼ばれ、全身のインスリン抵抗性と相関することが明らかになっています。NASH の肝臓では脂肪組織の CLS と非常によく似た構造が認められ、炎症・線維化の起点であると考えられます。
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