「コラム」カテゴリーアーカイブ

どうやってコンピュータの認識の外の世界へ越境するかということがアートになる|#落合陽一 さんインタビューより

Fairy _Lights_in_Femtoseconds

参考画像:Fairy Lights in Femtoseconds: Tangible Holographic Plasma (SIGGRAPH)|YouTubeスクリーンショット




「Fairy Lights in Femtoseconds」落合陽一さんインタビュー:「アートはもうテクノロジーでしかなくなる」

(2015/8/17、ギズモード)

アートって明日からの世界の見方を劇的に変えてしまうようなことがすごい重要で、それってもうテクノロジーか技法の発明からしかこないんじゃないかなと思います。

猪子寿之さんがいっていたのは、孫正義さんは歴史に名を残すことはなく、あまり知らないような画家が歴史に名を残す理由として言っていたのは、画家(アーティスト)は認識のパターン、世界の新しい見方を発見したことがすごいからだといっていました。(Harvard Business Review July 2015)

落合陽一「あらゆる体験は多次元になる」×猪子寿之「高次元で考える」|これからの未来とはVerily(元Google X)のProject Baseline studyの目的は、病気のサインを見つけ病気の予防をすること!?でも紹介しましたが、アートの進化は技術革新と共に起きています。

グラフィックアートの新たな可能性を探る 森俊夫教授 京都文教大学

実は、アートと技術革新は非常に密接な関係を持っています。例えば、屋外に出ての写生が可能となったのは、「絵の具を入れるためのチューブ」が開発されたから。絵の具が乾くことなく持ち運べるようになったことで、印象派と呼ばれる画家たちの作品も生まれたのです。

テクノロジーを発明し、アートを作っていくというのは昔から行われてきたそうです。

しかし、これからの時代はアーティストにとって厳しい時代になるのではないかというのが、落合陽一さんの予測です。

世界がコンピューター化したとき、人間はもっと自由になると思うんですよね。ただアーティストにとっては苦しい時代ですよ、なかなかコンピューター(の思想のフレームワーク)倒せないからね。

俺たちがはっとするような、心からびっくりするようなものっていうのは、テクノロジーのほうからどんどん生まれてくるようになってきている。

アートはもうテクノロジーでしかなくなる」というのが俺の持論なんです。技法やメディアの発明はアートの表現を加速してきたけど、今ってすごい速度で発明が起こるじゃない。

そしたらコンテンツよりもテクノロジーが重要になってしまう。

近い将来、コンピューターと実世界の区別がつかない時代が来たら、コンピューターの殻をどうやって破るか、どうやって認識の外の世界へ越境するかということがアートになるはずです。

コンピュータ・人工知能はあらゆるものをデータ化して、膨大な量の情報の中から様々なパターンを予測するはずです。

つまり、世界がコンピュータ化すると、新しい認識のパターンを生み出すのが難しい時代になってくるということです。

これからのアーティストは、新しい技術革新を行える人にしかなれないかもしれません。

【関連記事】







【コラム】自分が自分であることを証明するにはどうしたらいいのだろう?

Identity

by Jon Nicholls(画像:Creative Commons)




■【コラム】自分が自分であることを証明するにはどうしたらいいのだろう?

今回のタイトルを付けたのは、偶然流れてきたこちらのツイートがきっかけ。

このことは未来感のある話だと思ったけど、今起きていること。

今は、いろんなサービスがSNSと関連付けられている。

アプリにログインするにも、GmailやFacebook、Twitterなどを使ってログインすることが多い。

簡単にログインできるので便利なのだが、もしこうしたものすべてが乗っ取られてしまったら、今回紹介したTweetの方のようになりかねないのだ。

もし、自分が自分であることを証明するためのものをすべて乗っ取られた場合、どうやって証明すればいいのだろう?

これからの未来は手続きを簡単に省略していくためにSNSを活用して自分であることを証明することもあるだろう。

しかし、もしすべてのアカウントを乗っ取られてしまったら、自分であることを証明する手段がなくなってしまう。

現実的な解決手段としては、アカウントを乗っ取られないようにすること。

そのためには、同じパスワードを使いまわさないようにするのが現時点での最善の選択だ。(もっと別の手段があったら教えてください)

ただ、パスワードを全部変えるのは面倒くさい。

現在でも、指紋認証・虹彩認証などが出てきていて、もう少し先の未来ではパスワードという存在がなくなるだろう。

しかし、それで安心かといったらそうではない。

パスワードの代わりの存在自体が乗っ取られてしまったら・・・。

結局はまた同じところに戻ってしまう。

理想としては、同じ鍵でも使う人によって「開けられる/開けられない」という仕組みが面白いのではないか。

その人の持つ体温・触れ方・使い方・癖というものは真似したくてもまねできるものではない。

そうしたコピーしたくてもコピーできないもの(一つのもので完結するのではなく、モノと人の組み合わせで完成する)を鍵にすることがこれからでてくるのではないだろうか?

■ブロックチェーン技術がアイデンティティを守ってくれるようになる!?

【追記(2017/6/2)】

ドン・タプスコット:ブロックチェーンはいかにお金と経済を変えるか|TED

「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット+アレックス・タプスコット)の中ではアイデンティティの話が出てきます。

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ブロックチェーン技術を使えば自身のアイデンティティを守ることもできるようになり、また、必要に応じて個人の情報を開示することもできるようになるそうです。

アイデンティティを守る方法について漠然とした考えを持っていましたが、ブロックチェーンという新しい技術によって可能になるかもしれません。







【関連記事】

「星の王子さま」は自分がオトナの視点で世界を見ていることを思い出させてくれる

132/365 The Little Prince

by Chris Waits(画像:Creative Commons)




星の王子さま―オリジナル版

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「星の王子さま」は長いあいだ読まれている本なのだそうだ。

児童書だと聞いていて、今の自分が読む必要があるのだろうかとも思ったが、これだけ多くの人が読みつないできた本には何か秘密があるのではないかと思い、今回初めて読むことにした。

「星の王子さま」というタイトルから、夢を与えるような華やかな話なのかなと読む前は想像していた。

しかし、どうも思っていたものとは違う。

まるで黒い霧が立ち込めているようで、心がすっきりしないのだ。

途中途中で読む手が止まり、少し物悲しく、落ち込んだ気持ちにさせるのだ。

なぜそんな気持ちになってしまうのか。

読み終えたあとに考えてみた。

それは僕が大人になってしまったからから、もとい正確には僕がオトナの視点から世界を見ているからなのだ。

「モモ」を読んだ時と同じような感覚だ。

モモ (岩波少年文庫(127))

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「モモ 時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語」(著:ミヒャエル・エンデ)

「大人には早くなりたい、けど大人のようにはなりたくない」と小さいころは思っていたのだが、なぜか昔自分がなりたくないと思っていたそんな大人になっていたのだ。

大人の視点で世界を見ると、とても楽だ。

なんでもわかったようなふりで、物知り顔でいれば、誰にもバカにされない。

数字だけで人や物を判断する。

そんな大人は楽なのだ。

だけど、ラク=楽しい、というわけではない。

甲本ヒロトの言葉に次のような言葉がある。

「“楽しい”と“楽”は違うよ “楽しい”と“楽”は対極だよ」

「ただ 生活は楽な方が絶対いいと思うよ でも人生は楽しい方がいいじゃん」

大人になると見失ってしまうのだ。

生活=人生であると。

人生を楽しむためには、楽してはダメなのだ。

わからないことがあったら素直に人に尋ねる。

純粋にもっと自分がしたいのか、心に問いかける。

こういう行動をすると、大人の論理からすれば、最初は恥ずかしい思いをするかもしれないし、きっと苦しい。

でも、次第に楽しくなってくるはずだ。

なぜなら、それが本当の自分が楽しいと思うことなのだから。

「星の王子さま」は大人が読むとそんな複雑な感情を呼び起こしてくれる作品であり、子どもが読むとファンタジックで、別の世界に行った気分になるだろう。

そして、「星の王子さま」は愛し方・友達との関わり方で悩んでいる人の一つの道標になる。

自分と違った視点を理解するというのは自分の視野を拡げることであり、世界が広くなること。

読む前と読んだ後ではきっと違った自分になっているよ。

読み終わった自分に対して、今の気持ちを忘れないためにも、言葉を残しておくことにする。

「もっと自分の感覚を信じてみよう。」


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「言語がなくなっていく世界」と「怒りのない世界」は素晴らしい世界か?

Angry

by Maggie Stephens(画像:Creative Commons)




■「言語がなくなっていく世界」と「怒りのない世界」は素晴らしい世界か?

nanapi古川健介【第3回】インターネットはこれから、もっと日常生活を自動化する

古川 僕は最近「言語がなくなっていく」のではないかと考えているんですよ。というのも、言語があるとマイナスの感情に振れやすいらしいと聞いたことがあります。例えば、これはチームラボの猪子さんが言っていたのですが「ボクサーは試合前にののしり合わないと相手を殴れない」らしいです。つまり、言語に落とし込まないと怒りという感情は長続きしないんです。

チームラボの猪子寿之さんによれば、『言語を介さないと怒りの感情は長続きしない』そうで、それはつまり、言語がない状態であればポジティブなやりとりしか出来ないのではないかという発想を元にnanapiの古川さんはemosiというテキストが使えない画像や動画、音声を投稿するコミュニケーションサービスを開発したそうです。

言語がなくなっていく世界と怒りのない世界という予測については、その意味を考えなければ素晴らしい物に感じますが、別の視点からみると世界を悪い意味で小さくしてしまう可能性があります。

1つ目の怒りについて。

怒りという感情はネガティブな印象を受ける感情ですが、怒りの感情を自分の夢を叶える力に変えるによれば、怒りという感情は、集中力を高める、自信を高める、ということを強化してくれるそうです。

また、思春期の頃に感じた怒りの感情をいい方向に向けることが出来た人は素晴らしい作品を残したりもしています。

決して怒りという感情が悪いわけではなく、怒りの感情をどういう方向に向けるのか、どうコントロールするのかが大事だと思うのです。

2つ目の言語がなくなっていくことについて。

90%の言語が消失の危険性、米専門家が指摘-英紙によれば、言語が失われると、その地域の文化や価値観が失われることを意味します。

「天才が語る サヴァン、アスペルガー、共感覚の世界」(著:ダニエル・タメット)に書かれているMITの言語学者だった故ケン・ヘールは言語の喪失についてこう語っています。

MITの言語学者だった故ケン・ヘールは「言語の喪失は、この世界が被っているはるかに大きな喪失、つまり、あらゆる事柄に備わっている多様性の喪失の一部なのである」と述べた。

言語が消失するということは、世界から多様性が失われるということです。

私は、多様性はクリエイティビティに欠かせないものの一つだと思っているので、言語が消失するという状況が続けば、世界からクリエイティビティが失われてしまうかもしれません。

つまり、怒りのない、言語がなくなっていく世界というのは世界を小さくしてしまう可能性があるのです。

【追記(2017/6/8)】

けんすう氏が語る“遊びが仕事になる”時代の事業の作り方

(2017/6/7、ログミー)

当時、ちょっとなんか考えすぎていて「言語ってださいなー」と思ったんですね。

(会場笑)

言語って、1万年ぐらい使われてるテクノロジーなんですけど、明らかに頭の中のものを言語化した時点で劣化してるじゃないですか。「本来劣化するものをネット時代に使い続けてるのってやばいなー」と思ったんですね。僕のほうがやばいんですけど。

(会場笑)

そこで、テキストを使ったコミュニケーションをさせようみたいな感じで、グローバルサービスをやり、めちゃくちゃこけたんですよ。これ、今から考えるとニーズとか無視してとにかく自分の世界観を表現したいだけの場、……現代アートみたいになっちゃって。「これはいかんなぁ」と反省はしたりしています。

emojiというサービスが失敗したのは、時代が速すぎたのか、そもそもニーズがなかったのかはわかりませんが、メッセンジャーサービスでスタンプを押しあって会話することがあったりするのですから、そういうことが流行る時期もあるかもしれません。

【!追記終わり】







スローテック・ムーブメント|毎日忙しいと思っている人は生活をスローダウンさせてみませんか?

Find a Time that moves real slow...

by Geraint Rowland(画像:Creative Commons)




多忙中毒になってない? 速度をゆるめてテクノロジーと付き合う 「スローテック・ムーブメント」とは

(2015/3/29、ライフハッカー)

スローテックはテクノロジーの速度を落とすということではありません。生活の速度を上げるためではなくて、生活を向上させるためにテクノロジーを使うということです。

<中略>

スローテック・ムーブメントの目指すところのほとんどは内省に関することですが、外界とのシンプルな触れ合いもそれに劣らず大切です。いま手掛けているプロジェクトを次のステップに進めるのに必要な返信が来ているかチェックするよりも、家族や友人にはじまりバスの中の見知らぬ人に至るまで、自分の周囲にいる人たちと触れ合う瞬間を大切にすることです。

これまでにもテクノロジーとの距離感の取り方についてこのブログでは何度か取り上げてきました。

【関連記事】

テクノロジーに囲まれた生活をしていると、ニュースから置いてけぼりにあっているんじゃないかとか、友達といつもつながっていないと不安だとか、スキマ時間を埋めたいなどいうように思ってしまいがちです。

しかし、本来テクノロジーというのは、その効率性によって時間を作ったり、生活の質を向上させるためにできたはずですが、今はそのテクノロジーによって心がせわしない状態になってしまい、文字通り忙殺されています。

いつも忙しいと感じている人は、この記事で提案されているように、テクノロジーから離れてみて、生活をスローダウンさせてみてはいかがでしょうか。

例えば、メールやLINEなどをチェックをしない時間を作る、テクノロジーから離れて散歩したり、読書したりする、人に会う時間をつくる。

目の前にいる人とのコミュニケーションを大事にすることで、自分の周囲にいる人たちと触れ合う瞬間を大切にすることこそが最も自分の人生を豊かにしてくれるはずです。

テクノロジーとの向き合い方を考えることが自分の生活の質を向上させるきっかけになるのではないのでしょうか?




→ 自律神経のバランスを整えるポイントは「ゆっくり」を意識すること について詳しくはこちら




P.S.

さぁ、私は今からスクリーンから離れてみます。

【オススメ動画】

カール・オノレイ: 「スロ-」の勧め|TED TALK

ジャーナリストのカール・オノレイは西欧のスピード偏重が、健康や生産性、生活の質へ悪影響を与えていると考えています。一方で、スローダウンする風潮が次第に醸成されつつあることを指摘します。

【追記(2015/8/5)】

Kinfork(Japan Edition Volume Eight)で紹介されているカール・オノレイさんのコメントが印象的です。

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スローダウンすることで人生の様々な出来事を見逃してしまうと不安になる人がいますが、人生はこの瞬間、ここに存在しているのです

人が忙しくしている理由は「不安」があるからなのかもしれません。

「不安」にフォーカスするのではなく、例えば「ロマンチックなこと」にフォーカスをすると、忙しくすることが大事ではなくて、味わうゆとり・余裕が重要なことがわかるのではないでしょうか。