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世界初iPS移植手術の患者の1年後も良好|がんもなく、視力低下抑制、腫れがなくなり、網膜の形が改善

Eye

by William Warby(画像:Creative Commons)




iPS移植 目の網膜の細胞 1年後も患者「良好」

(2015/10/2、神戸新聞NEXT)

報告によると、悪い血管は再発せず、体液の漏出もなくなり網膜の形が改善。既存治療では低下が続いていた視力は0・1程度を維持し、「明るく見える」との自覚症状もあるという。

世界初の「IPS」移植手術、患者「視界明るい」(2014/9/13)では、世界初の「iPS」移植手術(iPS細胞から網膜細胞を作り、滲出型加齢黄斑変性の手術)のニュースをお伝えしました。

⇒ 加齢黄斑変性 についてはこちら。

手術後は合併症もなく順調ということですが、やはり世界初の移植手術ですので、今後の様子を詳しく調べていく必要があるというところまでお伝えしていました。

今回の報告をまとめると次の通り。

●検査ではがんはなかった

理研の高橋政代プロジェクトリーダー(54)は「世界中が注目する中、懸念されていたがんにならなくてよかった」と話した。

iPS治療における重要なポイントは、iPS細胞ががんになるリスクがあることであり、がんの転移というリスクを考えて、今回は転移する恐れがない目の治療からスタートしています。

そういう意味でも今回の手術において腫瘍などが見られなかったというのは明るいニュースですね。

●視力の低下が抑えられた

財団などは「視力の低下抑制などは、移植時に悪い血管を除いたことが主に関係していると考えられる」と説明。「移植細胞は正常な場所で生きているが、その効果だと断言はできない」と慎重な姿勢を示した。

視力の低下が抑えられたことは評価できるものの、移植細胞による効果なのか、それとも移植時に悪い血管を取り除いたことによるものなのかは今後の研究で明らかになっていくのではないでしょうか。

●腫れがなくなり、網膜の形が改善

■まとめ

一年後の経過も良好ということで、大変良い結果といえそうです。

今後の研究に期待したいですね。

⇒ 加齢黄斑変性 についてはこちら。

【関連記事】







世界初のエイズ治療薬を発見した男 満屋裕明さん|NHK 10月8日

Pills

by Jamie(画像:Creative Commons)




世界で初めてエイズ治療薬を発見した、満屋裕明さんの特集番組がNHK総合テレビにて10月8日(木)午後10時から放送されるそうです。

映画「ダラスバイヤーズクラブ」を見ていた方ならご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

ダラス・バイヤーズクラブ(字幕版)

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1987年に世界初のHIV治療薬「AZT」を開発したのは日本人の満屋裕明さんという方で、この薬は人の命を救う薬なのだからタダ同然で売るようにという考えだったそうですが、アメリカの製薬会社が特許をとってしまい、高価格で売られてしまったそうです。

このことが「ダラスバイヤーズクラブ」ができるきっかけの一つとなっています。

エイズ治療薬を発見した男の軌跡

(2015/9/15、日刊ゲンダイ)

子供の頃、母親に「長生きの薬を見つける」と約束した満屋は夢を実現するために医学の道へ進み、原発性免疫不全症の研究に力を注ぐ。やがて留学先の米国立衛生研究所(NIH)で新種「エイズウイルス」の研究を始める。しかし、研究所の同僚はエイズ研究を拒否、満屋にも研究をしないよう求める。そこで満屋は早朝と夜だけエイズの研究に取り組み、やがて世界初のエイズ治療薬を発見する。しかし、アメリカの巨大製薬会社との間で起こる特許をめぐる訴訟に巻き込まれ――。

エイズ治療薬を発見した男 満屋裕明 (文春文庫)

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キスをするとアレルギー反応が抑制される!?|イグ・ノーベル賞

Dairy Queen

by Nicki Varkevisser(画像:Creative Commons)




イグ・ノーベル賞 キスの効用で日本人医師が医学賞

(2015/9/18、NHK)

木俣さんはアレルギー性の鼻炎や皮膚炎の患者60人に、恋人や配偶者と30分間キスをしてもらい、その前後で、スギ花粉やダニに対するアレルギー反応の変化を、皮膚の腫れに注目して調べました。その結果、キスをしたあとには、腫れが小さくなり、アレルギー反応が抑制されることを明らかにしたということです。

キスによるアレルギー反応の抑制効果を調べた木俣肇さん(医師)がイグ・ノーベル賞に選ばれたそうです。

今回の記事では、なぜキスをするとアレルギー反応が抑制されるかについては書かれていませんでした。

一つの可能性としては、キスによるホルモン分泌の変化が関係しているのではないでしょうか。

ぜんそくやアトピー性皮膚炎花粉症などのアレルギー疾患を引き起こす免疫細胞「Th2」の働きを抑える仕組みがキスが引き金となって起きるのかもしれません。

キス、それは化学反応の問題=米研究

血液と唾液(だえき)のテスト結果は、キスをしたグループの男性はオキシトシンが急増したが、同じグループの女性では同ホルモンが減少した。

ヒル氏は「コルチゾールのレベルはすべての人で減少した」と報告した。

このテスト結果によると、愛のホルモンともいわれるオキシトシンは男性では急増しましたが、女性では減少したそうです。

また、ストレスホルモンであるコルチゾールはすべての人で減少したそうです。

例えば、ストレスホルモンが減少することで、アレルギー反応を抑える何かが起きるとは考えられないでしょうか。







【アレルギー関連記事】

【キス関連記事】

世界初3Dプリントのチタン胸郭移植に成功|人間はサイボーグ化するか?

3D_printed_ribs

参考画像:Cancer patient receives 3D printed ribs in world first surgery|YouTubeスクリーンショット




義体化きた! 世界初3Dプリントのチタン胸郭移植に成功

(2015/9/15、ギズモード)

胸骨と胸郭の一部をがんで失った54歳のスペイン人男性が世界で初めて3Dプリントの義胸骨の移植に成功しました。素材は超軽量&超強靭なチタン

スペインで世界初の3Dプリントの胸郭(チタン素材)移植手術に成功したそうです。

Cancer patient receives 3D printed ribs in world first surgery

詳しい記事は元記事を参考にしていただくことにして、気になるのは今後の可能性です。

■人間はサイボーグ化するか?

3Dプリント技術は、当初はバイク事故で顔を損傷した人に3Dプリント技術を駆使した顔面の再建手術−英のように、顔面の再建手術における顔の模型として活用されるようなことから使われていたと思います。

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同時並行して、臓器を3Dプリントで作るという動きも進んでいます。

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こうしたことを含めて考えると、脳と神経以外の身体はすべて3Dプリンタで作られるようになるかもしれません。

神経系に接続してコントロールできる義手が開発触覚が感じられる義手開発、米国防総省|脳で義手を動かすことができるようになる!?によれば、脳の「運動皮質」部位と義手を接続して、義手の動きを思考で制御できるようになったそうです。

私達はすでに”サイボーグ化”している!?|バイオハックの視点からでは、「義足のほうが優れていたら義足に付け替える」「指(手)や腕を増やす」ということについて議論していく必要性について書きましたが、遠くない将来こうしたことが起きるかもしれないのです。

人間はサイボーグ化していくのかでしょうか?







ロボット手術が心臓手術にも拡大 厚労省部会が了承

Fort Belvoir Community Hospital astounds with groundbreaking technology and devotion to patient care

by Army Medicine(画像:Creative Commons)




ロボット手術、心臓に拡大 厚労省部会が了承

(2015/9/12、アピタル)

遠隔操作で内視鏡手術を支援する米国製のロボット「ダビンチ」について、厚生労働省の専門家部会は11日、製造販売の承認を心臓手術にも拡大することを了承した。

宇山一朗|ロボット手術「ダヴィンチ」の普及拡大に貢献|情熱大陸 9月28日によれば、ダヴィンチによる手術は、胃がん、前立腺がん、がん、食道がん、肝臓がんすい臓がんで行われているようで、今回心臓手術にも拡大するそうです。

■ロボット手術のメリット

ロボット手術のメリットと今後の課題とは?

ロボット手術のメリットをまとめます。

  • 一般の内視鏡手術では、1つのカメラによる平面の画像で、画面は鏡像(左右逆)になるのに対して、ロボット手術では、人間の視覚と同じ正対での3D画像で、最大15倍にズームアップすることが可能。
  • アームは、人間の手首以上の稼働域があるため、臓器の裏側や狭い隙間にも自在に入り込みことができる。







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