「脳の病気」カテゴリーアーカイブ

落書きは、集中力の維持、ひらめき、情報の記憶に役立つ!?

2008-01-26 (Editing a paper) - 19

by Nic McPhee(画像:Creative Commons)




「落書き」は脳に効く、集中・記憶・ひらめきも

(2014/7/31、WSJ)

神経科学と心理学、それにデザイン分野にまたがる最近の研究で、落書きは人が集中力を維持したり、新たなひらめきを得たり、情報を記憶したりするための一助になることが分かってきた。

落書きが集中力を維持したり、ひらめきを得たり、記憶に役立つことがわかってきたそうです。

■実験

2009年に実施された応用心理学の研究によると、人の名前のリストが読み上げられている間、落書きをするよう促されたグループは、その後実施された抜き打ちのクイズで、そうでないグループより29%多く情報を思い出すことができた。

落書きをしたグループのほうが、そうでないグループよりも約30%多く記憶を保持したという結果が出たそうです。

■なぜ、落書きをすると、脳が活発になるのか?

ランセットに掲載された研究によると、一部の研究者は「デフォルト・ネットワーク」――外部からの刺激がない場合に大脳皮質の基本的な活動を維持する領域――を連動させておくことによって、落書きが脳の活発な働きを維持する助けとなっている可能性があると考えている。

デフォルト・ネットワークを連動させておくことによって、落書きが脳の働きを維持する可能性があるそうです。

Kinfork(japan edition volume eight)で紹介されている科学者ジャッキー・アンドレードは、落書きの効果について次のように語っています。

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「落書きによって、注意散漫になりがちな脳の性質を抑えるため集中力が高まり、脳の機能を最高レベルまで上げることができる」

初めてのことをやるときには脳は刺激があるため集中するのですが、慣れてくると、余裕ができていると同時に集中力が散漫になるということを聞いたことがあります。

そのため、慣れたことをするときには、音楽をかけることで、適度に脳の余裕ができた部分を埋めることで、集中力が増すといわれていますが、この考え方を参考にすれば、落書きにも同様の働きがあるのではないでしょうか。

Kinfork(japan edition volume eight)の中で紹介されているサニー・ブラウンは次のように語っています。

視覚的学習者にとって「落書きをすることは、私たちの情報処理能力と問題解決能力に大きな影響を与える」

【参考動画】

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■落書きをして初めて、全体像を考える。自分が何を理解し、何を理解していないかがわかる

カナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学で医学部に通うマルヤマ・ミチコさんは、授業を受けている最中にキーワードを書きとめ、その後「その日の落書き」を描いて学習した内容をまとめる。胃液分泌やヘルニアなど授業で学習した内容の絵を描きながら、理解していないところの不足を補うのだという。

言葉にできている部分と言葉にまでは落とし込めていない部分があることが落書きによって明確になるということではないでしょうか。

つまり、落書きは全体像を把握する有効なツールともいえるのです。

Health Prototype Candidates

by Juhan Sonin(画像:Creative Commons)

これを発想方法としてまとめられたのが、マインドマップなのでしょう。

マインドマップとは、テーマを紙の中央に絵や言葉で描き、そこから放射状に枝を伸ばして、キーワードやイメージをつなげながら、発想を広げていくというものです。

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■まとめ

会議や勉強をする際には、ペンを手に取って、落書きをしながらやることによって、集中力が高まり、創造性も高まるのではないでしょうか。







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子どもの食事とIQに関連性、健康志向の食事で有意に高く

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by Emily Burnett(画像:Creative Commons)




子どもの食事とIQに関連性、健康志向の食事で有意に高く 英研究

(2011/2/8、AFPBB)

加工食品をたくさん食べて育った子どもは、そうでなかった子どもに比べて知能指数(IQ)がやや低くなるという研究結果が7日、英国医師会(British Medical Association、BMA)が発行する専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に発表された。

<中略>

具体的には、調査対象の子どもたちのなかで加工食品の食事が多かった方から20%の子どもの平均IQが101だったのに対し、「健康志向食」が多かった方から20%の子どもでは106だった。

子どもの食事とIQに関連性があるという研究結果が出たそうです。

簡単にいえば、加工食品をたくさん食べて育った子供に比べて、健康志向の食事をしていた子供はIQが高かったそうです。

IQには教育や社会的背景といった多くの要因が絡むため、IQと栄養を直接結びつけることには論議がある。

例えば、中流家庭(もしくはより経済的に余裕のある家庭)のほうが貧困家庭よりも、健康的な食生活に対する志向が高いだろうし、子どもの教育に熱心な傾向もあるだろう。

研究チームは、こうした栄養以外の要素の影響を特別な注意を払って取り除いたとしている。

IQと栄養との関係を直接結びつけることには様々な要因が絡んでいるため、安易に受け入れてはいけないかもしれませんが、今回の結果は頭に入れておきたい情報です。

エメット氏よると、ジャンクフードがIQに悪い影響を与えうる主な理由は、幼少時の脳の発達の鍵となるビタミンなどの重要な栄養素が、加工食品では不足しているためだと考えられる。

健康志向の食事をしていた子供に比べて、加工食品をたくさん食べて育った子供のIQが低い理由としては、加工食品には、脳の発達に必要な栄養素が不足していると考えられるようです。







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Facebookやりすぎると脳が退化してしまう?

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by Jessica Fiess-Hill(画像:Creative Commons)




依存は危険!Facebookやりすぎると脳が退化してしまう

(2012/3/5、Menjoy)

■SNSに依存すると脳が退化する?

持続的にコンピューターやインターネットを使用することで、「脳が再配線される可能性がある」と考えているのは、神経科学者でオックスフォード大学教授のスーザン・グリーンフィールド氏です。

<中略>

その“再配線”は、集中力の低減とその場限りの満足感を促進し、共感能力の欠如を引き起こすなど、悪い方に配線が変化するというのです。

オックスフォード大学のスーザン・グリーンフィールド教授によれば、持続的にコンピューターやインターネットを使用することで、「脳が再配線される可能性がある」そうです。

その再配線とは、SNSに依存しすぎると、集中力の低減とその場限りの満足感を促進し、共感能力の欠如を引き起こすようになる可能性があるということです。

また、アメリカのタフツ大学の認知神経科学者メアリーアン・ウルフ氏は、長時間のコンピューター使用によって損われる可能性があるのは、読書をすることや読んだことについて考えることで磨かれる“脳の回路”であるとコメントしています。

「ある情報について深く考えるには、時間がかかるものです。それなのにネット上では、さっさと気晴らしから気晴らしへと飛んでいくことができます。

これでは大人でも、じっくり読み深く考える脳の回路が退化してしまいかねません。そして子どもの場合は、脳の回路がきちんと発達しない可能性があります」

タフツ大学の認知神経科学者メアリーアン・ウルフさんによれば、長時間コンピューターを使用していると、読書をすることや読んだことなど、じっくりと物事について考える脳の回路(能力)が退化してしまう可能性があるようです。

次々と新しい情報に移っていくということは、物事を深く考える機会をなくしてしまう可能性があるということです。

つながっていても孤独?|つながりすぎることで失ったものとは何か?で紹介した「マリアビートル」(著:伊坂幸太郎)にはこう書かれています。

「本を読み、内容を噛み砕く事で、語彙が増え、知識が増え、いっそう読解力が増した。本を読む事は、人の感情や抽象的な概念を言語化する力に繋がり、複雑な、客観的な思考を可能にした。」

本を読むことを通じて、他人の感情を慮ることや自分にはこんな感情があるんだということに気づき、そして、著者が経験したことから学ぶこともできます。

「魔王」(著:伊坂幸太郎)の中にはこういう台詞もあります。

『おまえ達のやっていることは検索であって、思索ではない-。』

この台詞を読んだ後、何かわからないことがあったらすぐに検索してしまい、その情報が本当にあっているのかどうか考えることなく、わかったような気になっているなと思わされました。

情報を仕入れることは大事ですが、それを自分の考えにするのには、長い時間がかかります。

静かに横たわって、のんびりして、待っていること、しんぼうすること―だが、それこそ、考えるということではないか!

ニーチェ(ドイツ)

静かに横たわって、のんびりして、待っている時間は決して無駄な時間ではなく、考えるための必要な時間ともいえるのではないでしょうか。







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脳卒中の初期症状である「一過性脳虚血発作」の3つの症状とは?

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by Sander van der Wel(画像:Creative Commons)




脳卒中の兆候「顔が引きつる、手に力が入らない、ろれつが回らない」があらわれても受診しない人が大半と判明【英リサーチ会社】

(2012/10/30、IRORIO)

脳卒中の初期症状である「一過性脳虚血発作」には以下の3つのケースがある。

■顔:顔の半面がひきつる。いつもみたいに笑顔が作れない。

■腕:腕に力が入らず、腕をあげたままキープできない。

■話す:ろれつが回らない。

脳卒中の初期症状には、顔が引きつる、腕に力が入らない、呂律が回らないといった主な3つの症状があり、一つでも当てはまれば受診したほうが良いようです。

しかし、こうした症状が出ても多くの人はこのことを知らず、また知っていたとしても病院に行かない人が多いそうです。

一過性脳虚血発作は、脳に十分な血液が送られていないために起こるものだが、英リサーチ会社ICMが2000人を対象に行った調査によると、2/3の人はこのことを知らず、3/4の人がもしこの様な兆候があっても病院には行かないだろうと答えた。これらの兆候を見逃がし放っておくと、10人に1人の割合で1週間以内に深刻な脳卒中に襲われるらしい。

初期症状に気づき適切に処置すれば大事に至らない人がいるそうです。

ぜひ覚えておいてくださいね。

→ 脳卒中の症状・前兆・原因・予防 について詳しくはこちら







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「憂鬱な気分が課題解決力アップやクリエイティブワークに役立つ」という研究結果

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by PYLmom(画像:Creative Commons)




「憂鬱な気分が課題解決力アップやクリエイティブワークに役立つ」という研究結果

(2010/3/5、ライフハッカー)

この記事によると、ヒトの「何に注意を払うか?」を制御しているのは、大脳の前部にある前頭前皮質腹外側部(VLPFC)という場所。

気分が落ち込んでいる人のVLPFCでは、脳の活動が増加し、深刻な患者ほど前頭前野の活動が活発になるということが明らかになっています。

つまり、気分が沈むと脳の動きが活発になり、直面する問題に対して、じっくりと繰り返し何度も考えるようになるわけです。

心理学者のAndrews氏とThomson氏は、「気分の落ち込みとVLPFCの活動は、このきっかけとなった複雑な人生の問題を、効果的に分析するための特別な『調整システム』である」と述べています。

もちろん、気分を落ち込ませた原因としてはっきりとした出来事や事実が存在することもあれば、特段の原因が認められない場合もありますが、いずれにしろ、憂鬱な気分がなければ、自分の苦境を解決しようとはなりにくいわけです。

じっくり考えることにより、課題の解決につながりやすいという面も…。

ワシントン州立大学の人類学者Ed Hagen氏は、憂鬱な状態は、課題解決能力を向上させることがあると述べています。

たとえば、うつ状態の人は身なりを気にしなくなり、お風呂やトイレすら面倒くさがることがありますが、Hagen氏曰く、この状態は「考えるための時間を途切れさせないためではないか」とのことだそうです。

また、豪ニューサウスウェールズ大学の社会心理学者Joe Forgas氏は、複数の実験を通して、複雑な状況において、ネガティブな気分がよりよい決断を促すことを示しています。

悲しみが、厳しい状況に対処するために最も相応しい情報処理戦略を促すのだそうです。

このような感情の高まりが、クリエイティブな作品を生み出すこともあります。

神経科学者のNancy Andreasen氏が、米アイオワ州の30名のライターを対象に調査したところ、80%の人が何らかのうつ症状の診断基準に当てはまったそう。

英国のライターや、アーティストを対象とした研究でも同様に、成功している人は通常の8倍の確率でうつに関する疾患があることがわかったそうです。

気が滅入る・落ち込むといった憂鬱な気分というものは、あまり体験したいものではありません。

しかし、憂鬱な気分になる意味もあるようです。

  • 気分が沈むと脳の動きが活発になり、直面する問題に対して、じっくりと繰り返し何度も考えるようになる。
  • 憂鬱な気分がなければ、自分の苦境を解決しようとはなりにくい
  • ワシントン州立大学の人類学者Ed Hagen氏は、憂鬱な状態は、課題解決能力を向上させることがあると述べています。
  • 悲しみが、厳しい状況に対処するために最も相応しい情報処理戦略を促す
  • 感情の高まりが、クリエイティブな作品を生み出すこともある

憂鬱な気分が嫌だと思うよりも、憂鬱な気分にもちゃんと意味があると思えれば、いいかもしれませんね。