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排泄のタイミングを予知するウェアラブルデバイス「DFree」|高齢者・介護分野・車いすユーザーに役立つ期待|#激レアさん

【目次】




■排泄のタイミングをお知らせするウェアラブルデバイス「DFree」

排泄のタイミングをお知らせするウェアラブルデバイス「DFree」
排泄のタイミングをお知らせするウェアラブルデバイス「DFree」

参考画像:もうトイレに焦らない! 排泄予知ウェアラブルDFree|YouTubeスクリーンショット

2017年11月27日放送の「激レアさんを連れてきた」(テレビ朝日系)では「派手に漏らしてしまった苦い経験をバネにトイレのタイミングを予知してくれるマシーンを発明した人。」として中西敦士さんが出演し、DFreeを紹介しました。

世界初!排泄予知ウェアラブル「DFree」先行予約、受付開始!|Readyfor

排泄を予知するウェアラブルデバイスの「DFree」は、超音波センサーで、体内の動きをモニター・分析して、排尿、排便のタイミングを予知する仕組みです。

番組によれば、超音波で直腸の動きをとらえることに成功し、排泄サイクルを観察することでいつ出るかという予知が可能になったそうです。

また、現在尿意のみの製品化されているそうです。

【排泄予知マシーンの使い方】

※DFree(本体)とスマホなどのタブレット機器を用意します。

1.スマホと本体を専用の無線で接続します。

2.DFreeを下腹部の膀胱の上あたりに設置し固定します。(超音波センサーが膀胱のふくらみを検知してくれる)

3.通常の生活を送る(※激しい運動は控える)

→排尿サイクルを1週間ほど学習させる

4.排尿のタイミングを通知してくれる

DFree」の動画を見ると、排泄の時間のログをつけることで、排泄タイミングを自己学習し、お知らせタイミングの精度が向上するとありましたが、超音波センサーで分析して排泄のタイミングを検知してくれるそうです。

もうトイレに焦らない! 排泄予知ウェアラブルDFree

このデバイスはどのような人に役立つのでしょうか?

現在、日本では介護を受けている方が約600万人。また、自分でコントロールができず、便が漏れてしまう方は、20~65歳で300万人以上、65歳以上で130万人以上ともいわれています。加齢による機能低下以外に、出産後などにも排泄に困るようになる方がいらっしゃいます。DFreeはこうした排泄でお悩みの方はもちろん、トイレへの移動が困難な車いすの利用者、介護分野での活用が期待されています。

排泄がコントロールできない高齢者の方やトイレへの移動が困難な車いすの利用者、介護が必要な方にとって役立つデバイスといえそうです。

【参考リンク】

以前大人用紙オムツの売上が子供用オムツの売上を追い抜いた!?|日本の紙おむつが国際規格化|高齢化社会がビジネスチャンスに変わる!?では、2012年に大人用オムツの売上高が子供用オムツの売上高を追い抜いてしまったというニュースを紹介しましたが、このこともDFreeを開発するきっかけとなったそうです。(もう一つは自身のおもらし体験です)




■約4人に1人が排泄トラブルを経験!

約4人に1人が排泄トラブルを経験!
約4人に1人が排泄トラブルを経験!

参考画像:もうトイレに焦らない! 排泄予知ウェアラブルDFree|YouTubeスクリーンショット

高齢化社会の日本では排泄トラブルは珍しいことではありません。

排泄トラブルが健康寿命を阻害する?|ユニ・チャーム

ユニ・チャームの調査では、排泄トラブルを経験したことがある人が全体の24.9%。約4人に1人が経験していることがわかりました。

4人に1人が排泄トラブルを経験したことがあるそうで、誰しもが経験する可能性があります。

<軽失禁ケア>下着感覚で 機能とイメージアップの商戦熱く

(2017/6/11、毎日新聞)

厚生労働省の13年のまとめによると、尿失禁の経験者は約153万人で、このうち65歳以上は121万人と全体の約8割を占めている。

厚生労働省のまとめによれば、尿失禁の経験者で65歳以上の人は121万人いるそうです。

<軽失禁ケア>下着感覚で 機能とイメージアップの商戦熱く

(2017/6/11、毎日新聞)

軽失禁ケア商品の市場が拡大している。2016年度の販売金額は約300億円とされ、前年比110%の伸びだ。

尿もれ、便漏れといった軽失禁商品の市場は前年比110%の伸びを見せ、団塊世代が後期高齢者となる2025年にはもっと多くの人が排泄トラブルを経験することが予想されます。

しかし、排泄トラブルを抱えているにもかかわらず、その対処をしていない人が46.3%いるという結果が出ています。

排泄トラブルが健康寿命を阻害する?|ユニ・チャーム

月1回以上排泄トラブルを抱えている人で、排泄トラブルに対するケア(排泄ケア)を「特に何もしていない」人が半数近い46.3%で、半数近い人が、トラブルを抱えているにもかかわらずケアをしていないことがわかりました。

<中略>

排泄トラブルを抱える18.7%の人が「排泄トラブルが気になって外出を控えた経験がある」と応えています。

排泄トラブルを抱えている人は、根本的な対処をすることができずに、外出を控えたり(運動不足の可能性)、水分補給を控えたり(熱中症リスクが高まる可能性)といった健康にとってリスクある行動を選びがちになってしまうようです。

排泄ケアに取り組むことは高齢化社会の真っただ中にいる私たちにとって考える必要のある問題なのです。

そういう意味でも排泄のタイミングをお知らせしてくれるデバイスというのは解決策としての一つとなるのではないでしょうか。

■排泄ケアへの取り組み

介護用おむつの問題を解決することは重要であり、様々な人・企業がこの問題に取り組んでいます。

大人用紙オムツの売上が子供用オムツの売上を追い抜いた!?|日本の紙おむつが国際規格化|高齢化社会がビジネスチャンスに変わる!?

大人用紙おむつの評価方法に関する規格「ISO15621尿吸収用具―評価に関する一般的指針」が改訂し、欧米の「テープ止め型(体にテープで固定するタイプ)」ではなく、日本が提案する装着車の症状や生活環境に合わせたきめ細かい高齢者介護学科脳になるパンツ型やテープ止め型のおむつに吸着パッドを挿入するタイプなどを規格化されました。

「介護用おむつセンサー」|紙おむつにつけたセンサーが排泄をしたときの温度と湿度の変化を検知しスマホに通知

iQLaboが開発したのは介護に悩みを抱えている方のための補助アイテム「介護用おむつセンサー」です。

「介護用おむつセンサー」は、おむつにセンサーをとりつけ、Bluetoothでセンサーと接続し、接続したらモニターを開始されます。

交換のタイミングになったらアラームでお知らせしてくれるそうです。

学習機能搭載・排泄検知シート|介護の現場を助けるニオイで検知するシート

学習機能搭載・排泄検知シート

(excretion detection sheet learning capability – ジェームズ ダイソン アワード)

シートには穴が空いており、穴から空気を吸い、排泄物の臭いを吸引し、排泄検知している。
従来品が濡れセンサーや超音波センサーを用いる中で、我々はにおいに着目することで、人体非装着での排泄検知・尿便の識別を可能とした。
さらに我々は、誤報の原因となっている施設固有臭・個々人の体臭・排泄臭に対応できる学習機能を開発した。

このシートは排泄物のにおいで排泄物の検知するだけでなく、他のにおいと見分けができる学習機能も付いているそうです。

我々の排泄検知シートを使えば、認知症患者による便いじりを未然に防ぐことや、排泄があったときだけおむつ交換ができるなど、おむつ使用者・介護者両者にとってよい関係を築ける。
また排泄パターンを把握し、いつ頃排泄するのか、確実な予測をすることもできる。

要介護者の排泄の自立支援、介助者の負荷軽減の目的で作られた『ベッドサイド水洗トイレ』|トイレに自分が行くのではなく、トイレの方が自分のところに来るというアイデア

『ベッドサイド水洗トイレ』は、要介護者の排泄の自立支援、介助者の負荷軽減の目的で作られた製品です。

介助者の高齢化、人手不足、心身的負担が社会問題となっているなか、設置の自由度が高い居室内水洗トイレ『ベッドサイド水洗トイレ』により、要介護者の排泄の自立促進、介助者の負荷軽減が期待できます。

このアイデアで一番素晴らしいと感じたのは、「トイレに自分が行くのではなく、トイレの方が自分のところに来る」という点です。

2018年介護報酬改定のポイントは「自立支援」強化|介護ロボット(夜間見守りシステム)を導入で加算!?脱おむつで介護報酬アップ!?

高齢者の「自立支援」を促す仕組みの具体策として、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などがおむつをしている入居者がおむつなしで暮らせるように支援すると介護報酬を手厚くする方針を固めたそうです。

■まとめ

排泄のタイミングをお知らせするウェアラブルデバイス「DFree」
排泄のタイミングをお知らせするウェアラブルデバイス「DFree」

参考画像:もうトイレに焦らない! 排泄予知ウェアラブルDFree|YouTubeスクリーンショット

以前紹介した学習機能搭載・排泄検知シート|介護の現場を助けるニオイで検知するシートでは、排泄物のにおいで排泄物の検知するシートというアイデアを紹介しましたが、今回紹介したDfreeは、排泄した後ではなく、排泄する前に検知することを目指した製品です。

排泄のタイミングをお知らせするウェアラブルデバイス「DFree」は介護者の負担を減らす意味でも注目ですね。

もし可能であるならば、「お腹虚弱体質」なエンジニアがIOT駆使してオフィスのトイレ空き状況をスマホでリアルタイムに確認できるシステムを開発で紹介した近くで個室の開いてるトイレがあらかじめ教えてくれるシステムと連携するとよいのではないでしょうか。

また、過敏性腸症候群のように突然便意をもよおしてしまう病気にまで応用されると、幅広い人たちが利用してくれそうです。

→ 過敏性腸症候群(IBS)の症状・原因・チェック・治し方 について詳しくはこちら

NADI X|センサーが縫い込まれた、より効果的なヨガのポーズに改善するヨガパンツ|WEARABLE Xでは、パンツには5つのセンサーが縫いこまれていて、ヨガポーズをとると臀部や膝、足首が振動することで、ヨガの姿勢を改善してくれるヨガパンツを紹介しましたが、ファッションアイテムに「Dree」の機能を持たせることができれば、デバイスをつけることがなくなるかもしれません。







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介護報酬での改善インセンティブで賛否分かれる|「要介護度の改善=自立支援の成果」には6割が否定的|『自立支援への改善インセンティブの導入』に対するケアマネジャーの意識調査結果

介護報酬の改定のポイントは「自立支援」強化|介護ロボット(夜間見守りシステム)を導入で加算!?脱おむつで介護報酬アップ!?では、厚生労働省が2018年4月に行われる介護報酬の改定で要介護度の改善に対するインセンティブを導入するということについて紹介しましたが、現場の介護事業者はどのように考えているのでしょうか?




【目次】

■介護報酬での改善インセンティブで賛否分かれる

Medicine and Management 14248

by Ted Eytan(画像:Creative Commons)

―ケアマネジメント・オンライン会員へのアンケート―“介護報酬での改善インセンティブ“に賛否分かれる『自立支援への改善インセンティブの導入』に対するケアマネジャーの意識調査結果

(2017/11/16、株式会社インターネットインフィニティープレスリリース)

“改善インセンティブ”の導入方針について賛否を尋ねたところ、「賛成」は11.0%、「どちらかといえば賛成」が33.5%、「どちらかといえば反対」が39.4%、「反対」が16.1%となりました。

導入に前向きな人(「賛成」と「どちらかといえば賛成」)は44.5%だったのに対し、導入に否定的な人(「反対」と「どちらかといえば反対」)は55.5%となりました。

ケアマネジャー向け業務支援サイト「ケアマネジメント・オンライン」を運営するインターネットインフィニティーが、会員ケアマネジャー(904人)に対して行ったアンケート調査によれば、自立支援の成果を上げた介護事業者に報酬を多く支払う“改善インセンティブ”について賛否が分かれる結果となりました。

要介護度の改善という自立支援の成果を上げた介護事業者に報酬を多く支払うという仕組みは良いアイデアであると思うのですが、なぜこのような結果になったのでしょうか?

賛成する理由・反対する理由をみると、その実態が見えてきます。

●主な賛成する理由(自由記述)

「努力した分、報酬が入るのはモチベーションアップにつながる」
「取組み内容を評価する基準が必要だと思うから」
「ターミナルの方や認知症の重度の方等適さない方もありますが、基本自立支援を目指すべきとの思いです」

●主な反対する理由(自由記述)

「評価の基準が曖昧な点が気になる」
「自立支援とは何かという定義や解釈が曖昧で、周知徹底できていないのに評価すると言われても。意味がわからない」

介護に携わる人の気持ちを考えると、自立支援を目指すという方向性はよかったとしても、「自立支援」の定義や評価の基準があいまいであるため、不安に感じる面が多いのではないでしょうか?




■「要介護度の改善=自立支援の成果」には6割が否定的

要介護度の改善を自立支援の成果と考えることについて賛否を尋ねた質問では、「賛成」が7.3%、「どちらかといえば賛成」が30.6%、「どちらかといえば反対」が41.3%、「反対」が20.8%となりました。

要介護度の改善を自立支援の成果ととらえることについては約6割が否定的という結果となりました。

主な反対する理由(自由記述)

「自立支援は要介護度に反映しないから」
「要介護認定というシステム自体が不完全で調査内容でいくらでも左右できるものである以上、そこにインセンティブを設けることには反対」
「要介護度では測れない背景や介護者の負担がある」
「改善の見込みがないかたの受け入れ先がなくなるので」
「現状維持がほとんどだから」

評価基準があいまいであり、調査の結果次第で評価が左右される可能性があったり、要介護度の改善の見込みがない人を受け入れない事業者が増える可能性があるという意見がありました。

■まとめ

今回の調査結果のポイントとなるのは、評価基準があいまいであることなど、介護事業者の実態と自立支援の評価制度・基準にギャップがあることではないでしょうか?

「HOLACRACY(ホラクラシー)」(著:ブライアン・J・ロバートソン)では「ひずみ」という言葉で表現されています。

HOLACRACY 役職をなくし生産性を上げるまったく新しい組織マネジメント

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ひずみ-今の現実と感知されたポテンシャルとの間の明確なギャップを認識すること

介護事業者の人たちも自立支援という方向は間違っていないと考えていても、その評価基準があいまいであるため、その評価システムが導入されると、きちんと評価されなくなったり、そのシステムからはみ出てしまう人は見捨てられてしまうという懸念があるために、改善インセンティブに対して賛否が分かれる結果となっているのでしょう。

要介護度の改善以外の自立支援の成果を判定するための指標としての意見としては、結果(成果)だけの評価ではなくプロセスへの評価がないことや短期目標・中長期目標の達成度、QOLの向上を評価できる仕組みなどが挙げられています。

絶対評価として、要介護度を指標の基準として置くのではなく、相対評価として、個人個人の状態から改善されたという結果が得られたかどうかを指標の基準としておくというのもアイデアでしょう。

こうした意見が出ているというのは、組織として重要な機能である「ひずみを感知する能力」があるといえるのではないでしょうか?

「HOLACRACY(ホラクラシー)」(著:ブライアン・J・ロバートソン)

ヒューレットパッカードの創立者の一人、デビッド・パッカードもこう言っていた。「会社というのは飢えよりももっぱら消化不良で死ぬものだ」と。つまり、組織が感知し取り込んでいるものが多すぎて効果的に処理できず、消化しきれないのだ。p17

「進化し続ける有機体」とは、感知し適応し学び統合する能力を持つ組織である。バインホッカーの言葉を借りれば、「たゆまぬ改善の鍵は『進化を宿すこと』にあり、分化、淘汰、増幅の車輪を企業の内部で回し続けることである」
それを実現するための強力な方法の一つが、私たちの組織に備わっているとてつもない力-人間の意識が持つ、感知する能力-を活用することだ。p19

これからは、トップダウン式に「改善インセンティブ」を実行させるというのではなく、現場の人たちが持つ「ひずみを感知する能力」やクリエイティブな能力をフルに発揮できるOS(オペレーティングシステム)に切り替えていく必要があるのだと思います。







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介護・フレイル予防(介護予防と保健事業の一体的実施)のため法改正視野|厚生労働省




【目次】

■介護予防と保健事業の一体的実施について

健康寿命を延ばすにはどうしたらいいの?|2030年代には健康寿命を5歳延伸|新産業構造ビジョンで紹介した新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)によれば、健康寿命の延伸(健康寿命を5歳延伸、平均寿命と健康寿命の差を短縮)を目標の柱の一つとして掲げられています。

そこで、健康寿命延伸に向けた取り組みとして、「次世代の健やかな生活習慣形成等(健やか親子施策)」「疾病予防・重症化予防(がん対策・生活習慣病対策等)」「介護・フレイル予防(介護予防と保健事業の一体的実施)」を重点取組分野として設定し、1)健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進、2)地域間の格差の解消という2つのアプローチで格差の解消を目指しています。

平均寿命・健康寿命の都道府県格差が拡大|医療費、医師数・看護師数・保健師数、生活習慣と明確な関係はなし|#健康格差で紹介した東京大学やワシントン大学などの研究チームの研究によれば、日本の平均寿命・健康寿命の都道府県格差が25年間で拡大しているという研究結果を発表しています。

今回は、その中のうちの一つ「介護・フレイル予防(介護予防と保健事業の一体的実施)」について取り上げていきたいと思います。

予防・健康づくりの推進(医療保険・介護保険における予防・健康づくりの一体的実施)
予防・健康づくりの推進(医療保険・介護保険における予防・健康づくりの一体的実施)

参考画像:高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について(2018/9/6、厚生労働省保険局・老健局)|スクリーンショット

高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について

(2018/9/6、厚生労働省保険局・老健局)

人生100年時代を見据えて健康寿命の延伸を図るため、地域における高齢者の通いの場を中心とした、介護予防・フレイル対策(運動、口腔、栄養等)や生活習慣病などの疾病予防・重症化予防を一体的に実施する仕組みを検討する。

健康寿命を延ばすための課題としては、1)疾病予防・重症化防止の対応、2)高齢者の生活機能低下への対応、について取り組む必要があります。

疾病予防・重症化防止の対応としては、高齢者の多くは何らかの自覚症状を持っていて医療機関を受診し、また複数の慢性疾患の有病率も高いことから、いかにして早期発見をして対応していくか、重症化予防をしていくかが重要です。

【関連記事】

高齢者の健康状態の特性等について
高齢者の健康状態の特性等について

参考画像:高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について(2018/9/6、厚生労働省保険局・老健局)|スクリーンショット

高齢者の生活機能低下への対応としては、高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

そこで、加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態である「フレイル」の段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

【フレイル 関連記事】

しかし、この2つの取り組みには、生活習慣病対策・フレイル対策(医療保険)と介護予防(介護保険)が別々に展開していること、医療保険の保健事業は、75歳を境に、保険者・事業内容が異なるという課題があります。

そこで、今回のポイントとなるのが、「生活習慣病対策・フレイル対策と介護予防の一体的対応をどうすればよいか?」です。

地域ぐるみで介護・フレイル予防を一体的に実施
地域ぐるみで介護・フレイル予防を一体的に実施

参考画像:高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について(2018/9/6、厚生労働省保険局・老健局)|スクリーンショット

現在考えられているのが、地域における高齢者の通いの場を中心として、高齢者に対して生きがい・役割を付与するための運営支援、かかりつけの医療機関等との連携をし、介護予防・フレイル対策(運動、口腔、栄養等)や生活習慣病などの疾病予防・重症化予防を一体的に実施する仕組みです。

これを実現するためには、1)高齢者が気軽に立ち寄る通いの場の参加率を増やすこと、2)予防に取り組む医療機関へのインセンティブが課題になるのではないでしょうか?

●高齢者が気軽に立ち寄る通いの場の参加率を増やすこと

厚生労働省によれば、平成26年の介護保険法改正以降、介護予防に取り組む通いの場の拡大を推進してきており、平成28年度76,492箇所の通いの場が整備されていますが、その参加率はといえば、高齢者人口の4.2%(平成28年度)となっており、ひきこもりがちな高齢者や健康無関心層への働きかけをいかにしていくかを考えていく必要があります。

●予防に取り組む医療機関へのインセンティブ

現在も健康寿命を延ばしたり、フレイル対策に対する取り組みが行なわれています。

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この動きをさらに推進していくためには「予防に取り組む医療機関へのインセンティブ」が必要だと考えています。

予防医学・予防医療を早く進めるためには、医師・医療機関に対するインセンティブの仕組みを変える必要がある!でも紹介しましたが、予防医療を進めていくためには重大な課題があります。

それは、病気の予防には医療費が支払われないことです。

郵便番号のほうが遺伝子よりも健康に影響する?|「病気の上流を診る医療」|TEDで紹介したTED Talkで話すリシ・マンチャンダは、医師の仕事は患者の症状を治療するだけでなく、病気の根本原因を突き止めることであり、現在の医療システムの考え方を変えて、医師たちに「上流で起こる」要因、例えば栄養価に乏しい食事、過酷な仕事、新鮮な空気の不足などといった私達が生活をして、働き、食事や睡眠を取り、学び、遊ぶ、私達の生活の大半を過ごす場所を改善することによって、病気を未然に防ぐことを呼びかけています。

リシ・マンチャンダ at TEDSalon NY2014 病気の上流を診る医療(August 2014、TED)

多くの医師や医療機関も生活習慣・環境を見直して病気を予防することの重要性は十分承知のはずです。

しかし、病気の治療に比べて病気の予防に対する医師たちのインセンティブ(報酬)が足りないという問題があり、取り組むのが難しいのです。

介護報酬での改善インセンティブで賛否分かれる|「要介護度の改善=自立支援の成果」には6割が否定的|『自立支援への改善インセンティブの導入』に対するケアマネジャーの意識調査結果によれば、介護に携わる人の気持ちを考えると、自立支援を目指すという方向性はよかったとしても、評価基準があいまいであることなど、介護事業者の実態と自立支援の評価制度・基準にギャップがあることにより、要介護度の改善を自立支援の成果ととらえることについては約6割が否定的という結果となりました。

どんなに病気の予防に取り組みことが大事だと思っても、医療従事者(医師や看護師など)を養い、医療機関も生活し、経営を行なっていかなくてはなりませんので、現状では予防ではなく治療を選択せざるを得ないのです。

つまり、「病気の上流を診る医療」を実現するためには、病気の予防につながる医療を行った医師や病院・医療機関にこれまでの医療費の代わりになるインセンティブ(例えば「予防医療費」)が得られる仕組みを作り上げる必要があります。

■まとめ

国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることで紹介した日本経済新聞社などが実施したアンケート調査によれば、医師の半数が国民皆保険による医療が「持続不能」と答えているそうです。

年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度)
国民医療費の約2割が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めている。(年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度))

参考画像:不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~|経済産業省PDF

健康保険組合の4分の1超が2025年度に解散危機を迎える試算ー健保連|改善するために必要な2つのプランで紹介した厚生労働省「人口動態調査」, 「医療給付実態調査報告」, OECD Health Data 2014 OECD Stat Extractsによれば、国全体医療費の23%(9.2兆円)が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めているそうです。

日本の人口の推移|平成28年版情報通信白書|総務省
日本の人口の推移|平成28年版情報通信白書|総務省

参考画像:少子高齢化の進行と人口減少社会の到来|平成28年版情報通信白書|総務省スクリーンショット

つまり、高齢化は今後も進んでいき、医療費の増大が見込まれることから、財政が悪化していく傾向は変わりないでしょう。

そのためにも、いかに高齢者の方々が要介護にならないようにフレイルの段階で食い止めるのか、介護度が深刻にならないように重症化予防をしていくかが重要になります。

健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省

参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット

経済産業省の「新産業構造ビジョン」によれば、個人が自らの生涯の健康・医療データを経年的に把握するため、また、最適な健康管理・医療を提供するための基盤として、健康・医療・介護のリアルデータプラットフォーム(PHR:Personal Health Record)を構築し、2020年度には本格稼働させていくことが必要と提案されています。

この問題は他人ごとではありませんので、みなさんも一緒に考えていきましょう!







【関連記事】
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CYBERDYNEと損害保険ジャパン日本興亜、サイバニクス技術とリスクファイナンスの融合で「Society5.0(超スマート社会)」および「重介護ゼロ®社会」の実現に向けて、包括的業務連携に関する協定を締結




■CYBERDYNEと損害保険ジャパン日本興亜、サイバニクス技術とリスクファイナンスの融合で「Society5.0(超スマート社会)」および「重介護ゼロ®社会」の実現に向けて、包括的業務連携に関する協定を締結

「SOCIETY5.0(超スマート社会)」および「重介護ゼロ®社会」の実現に向けて、包括的業務連携に関する協定を締結
「SOCIETY5.0(超スマート社会)」および「重介護ゼロ®社会」の実現に向けて、包括的業務連携に関する協定を締結

参考画像:革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「重介護ゼロ社会を実現する革新的サイバニックシステム」全体計画について|科学技術振興機構|スクリーンショット

CYBERDYNE株式会社と損害保険ジャパン日本興亜株式会社の包括的業務連携のお知らせ~サイバニクス技術とリスクファイナンスの融合による健康で豊かな社会システムの構築~

(2017/10/25、サイバーダインプレスリリース)

● CYBERDYNE社は、人とロボット(機械)と情報を融合複合したサイバニクス技術によって超高齢社会が直面する課題を解決するため、世界初のサイボーグ型ロボット「HAL®」をはじめとする革新的サイバニックシステムを開発し、「Society5.0※2(超スマート社会)」および「重介護ゼロ®社会」の実現に取り組んでいます。
● 損保ジャパン日本興亜社は、損害保険事業を中心に、介護やヘルスケア事業などの領域をグループで展開し、幅広い事業展開やデジタル技術の活用により、「安心・安全・健康」な社会を目指しています。

CYBERDYNEと損害保険ジャパン日本興亜は、「HAL®」をはじめとするサイバニクス技術(人・ロボット・情報系が融合複合した【サイバニクス】という新領域の技術)とリスクファイナンスの融合で「Society5.0(超スマート社会)」および「重介護ゼロ®社会」の実現に向けて、包括的業務連携に関する協定を締結したそうです。

【関連記事】




■Society5.0とは?

CYBERDYNE株式会社と損害保険ジャパン日本興亜株式会社の包括的業務連携のお知らせ~サイバニクス技術とリスクファイナンスの融合による健康で豊かな社会システムの構築~

(2017/10/25、サイバーダインプレスリリース)

Society5.0: 「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」(Society1.0、2.0、3.0)、そして、現在の「情報社会」(Society4.0)に続く未来社会として政府によって掲げられた「超スマート社会」(5 番目の社会)のコンセプト。科学技術イノベーションが先導する新たな社会のイメージで、AI(人工知能)や IoT (モノのインターネット)等が本格的に社会実装されます。

Society5.0 Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」
Society5.0 Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」

参考画像:Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」(2017/5/30、経済産業省)|スクリーンショット

Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」
Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」

参考画像:Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」(2017/5/30、経済産業省)|スクリーンショット

Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」(2017/5/30、経済産業省)

「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の⾼いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、⾔語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会。」(第5期科学技術基本計画)

【SoftBank World 2017】特別講演 落合 陽一 氏

「人間社会から計算機自然へ」MOA大学特別講義Vol.2落合陽一先生

(2017/8/27、MOA大学メディア)

つまり、あれだけ多様性があっても、どうやったらコンピューターで、多様性のある人間のままいけるかっていうのが次の時代の勝負なんじゃないかなと僕は思ってます。

それってつまり、一人一人がわりと好きな方向に向いててもまあ社会が成立するようになってきたのかなと。

これまでの社会は、あらゆるものを標準化することによって、人間がその標準化された社会に合わせて生活をすることで問題を解決してきましたが、Society5.0では、多様な違いを持ったままで、必要なサービスを、必要な時に、必要な分だけ提供される社会になっていくことを目指しています。

すでにこうしたアイデアは実現を始めていて、要介護者の排泄の自立支援、介助者の負荷軽減の目的で作られた『ベッドサイド水洗トイレ』|トイレに自分が行くのではなく、トイレの方が自分のところに来るというアイデアでは、必要な時に必要なものが自分のところに届いて、使用すると元に戻るというアイデアについて取り上げました。

The Future of Hotel Delivery Service

ResidenceInnLAXCaseStudy (Japanese Subtitles)

人間用エレベーターも乗りこなす「荷物お届けロボット」、品川プリンスホテルに現る

(2017/9/14、ITmediaニュース)

 Relayは、レーザーセンサーと3Dカメラを使って屋内の環境や現在位置を特定する技術「SLAM」(Simultaneous Localization and Mapping)を利用しているという。

ロボットベンチャー企業の「Savioke」が開発したのは、部屋へ荷物を届けることに特化した自律走行型ロボット「Relay(リレイ)」です。

Relayは客から荷物の運搬を依頼されたホテルのスタッフの指示を受け、自分でエレベーターに乗り降りして、部屋の前に到着すると電話をかけて、ドアが開き、荷物をお客さんが取り出すと、自動で戻るという仕組みです。

このように、人間は標準化された社会に合わせて行動するのではなくて、テクノロジーを活用して、必要なサービスを、必要な時に、必要な分だけ受けられるようになっていくことを目指す世界が始まっています。

【参考リンク】

ちなみに、麺の太さ・長さ・幅の好みの問題を解決!オーダーメイドな「巻きうどん」が強い「蕎麦とパスタとラーメンにも作って欲しい」(2017/10/24、Togetter)で紹介されている「巻きうどん」がSNSで話題になっているそうですが、「巻きうどん」とは、自分が食べたい太さに切ることができる、カットする前の面を巻いてあるうどんのことです。

これこそが、必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応できることを目指した社会のわかりやすい例ではないでしょうか?

■重介護ゼロ社会とは?

●重介護とは?

革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「重介護ゼロ社会を実現する革新的サイバニックシステム」全体計画について|科学技術振興機構

「重介護」とは、全介助・部分介助・見守りが多数組み合わされ、介護される側・介護する側にとって身体的及び精神的に重く厳しい状態であり、継続的な介護が困難な状態である。排泄の例では、全介助ではなく部分介助状態となっている方であってもその介護生活が、介護される側・介護する側にとって重く厳しく継続的な介護が困難な状態の場合は重介護となる。一方、脳・神経・筋系の障害によって身体機能改善が見込めないとされていた要介護者について、機能改善が見込める革新技術によって、介護される側・介護する側にとっての重く厳しい介護生活が緩和され、生活の継続が困難な状態から改善される場合には、重介護が改善される一例となる。

少子高齢化に伴って、介護される側(要介護者・寝たきり高齢者・患者)・介護する側(家族・社会)への重く厳しい負担がかかることを「重介護問題」を解決を目指すことが求められています。

アメリカのプライム世代の女性の36%が「介護」を理由に仕事に就けない!?|働き盛り世代が無償の介護をしなければならない問題を解決するアイデアで紹介した米ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のハミルトン・プロジェクト(The Hamilton Project)が発表した報告書によれば、アメリカでは2016年、成人の3分の1(37.2%)以上が仕事に就いておらず、そのうち「働き盛り世代」(25~54歳)に当たる人たちの5分の1近くが就業しておらず、女性の36%が介護を理由に仕事に就けないそうです。

また、75歳以上同士の「老老介護」初の30%超|65歳以上同士の「老老介護」は過去最高54%に|平成28年国民生活基礎調査によれば、日本でも介護をする側と介護を受ける側の両方が高齢者の組み合わせである「老老介護」が話題になっていますが、平成28年国民生活基礎調査で発表された、同居の主な介護者と要介護者等の組合せを年齢階級別にみると、60歳以上同士70.3%、65歳以上同士54.7%、75歳以上同士30.2%となっており、また年次推移でみると、上昇傾向にあるのがわかります。

「重介護問題」は遠い未来の問題ではなく、今目の前にある問題なのです。

そのためには、要介護者の自立度を高め、介護者の負担を軽減する取り組みが重要になってきます。

この問題を解決するアプローチとして、人の脳神経系・身体とロボット等を融合複合し機能させる革新技術(サイバニックシステム)の研究開発が提案されています。

介護する側が抱える問題とその介護する側の身体的負荷を直接低減するための支援技術の例がいくつか紹介されています。

【具体例】

身動きが困難な要介護者をベッドから持ち上げて車イスに移乗させ、トイレに移動させた後、更に、要介護者を車イスから抱きかかえて便座に着座させ(or 排泄できるようにさせ)、排泄支援後、要介護者を抱きかかえて持ち上げて便座から車イスに移乗させ、ベッドまで移動した後に、要介護者をベッドや生活空間に戻す

【課題】

介護する側の身体的負荷がかかるためその負担を軽減することや介護される側の生理状態をチェックしながら安全な介護をすること

【介護する側の身体的負荷を直接低減するための支援技術】

“サイバニックインタフェース(人の意思の情報を入出力処理して活用できる技術、人の生理情報を授受し活用できる技術)”
“サイバニックデバイス(サイバニックインタフェースと連動して生理管理を行い、身体動作機能を補助・拡張できるデバイス)”
“上記を連動させた支援システムとしてのサイバニックシステム(システム化により安全で効果的なシステムとして)”

【ImPACTプログラム紹介】 -山海 嘉之PM-

■まとめ

「Society5.0(超スマート社会)」および「重介護ゼロ®社会」の実現に向けて、行政や企業の連携が始まっているようです。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。

サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

第二の波では、インターネットとスマートフォンの急速な普及によってソーシャルメディアが激増し、盛況なアプリ経済が誕生した。その中でもっとも成功を収めたスナップチャットやツイッターのような企業は、小規模なエンジニアリング・チームからスタートして一夜にして有名になり、第一の波の特徴であったパートナーシップをまったく必要としなかった。しかし、こうしたモデルは現在がピークであり、新たな時代は第二の波とはまったく違う―そして最初の波とよく似た―ものになることを示す証拠が増えている

「IoT」などの「第三の波」で社会は大きく変化をしていきますが、社会問題を解決する手段として、一人の力ではなく、これからますますいろんな人たちとのパートナーシップが重要になってくるでしょう。







【Society5.0 関連記事】
続きを読む CYBERDYNEと損害保険ジャパン日本興亜、サイバニクス技術とリスクファイナンスの融合で「Society5.0(超スマート社会)」および「重介護ゼロ®社会」の実現に向けて、包括的業務連携に関する協定を締結

ウェアラブルチェア「archelis(アルケリス)」|歩けるイスで手術での筋肉疲労の軽減・安定した長時間の姿勢保持による手術の安定性向上




■ウェアラブルチェアー「archelis(アルケリス)」|歩けるイスで手術での筋肉疲労の軽減・安定した長時間の姿勢保持による手術の安定性向上

ウェアラブルチェアー「archelis(アルケリス)」
ウェアラブルチェアー「archelis(アルケリス)」

参考画像:Wearable Chair”archelis” / ウェアラブルチェア「アルケリス」|YouTubeスクリーンショット

Wearable Chair”archelis” / ウェアラブルチェア「アルケリス」

ウェアラブルチェアー「archelis(アルケリス)」

鉗子(かんし)の先端数ミリでの動作が求められる腹腔鏡手術では「体幹の安定」が手術の安定性に大きく影響を及ぼします。
長時間の中腰姿勢でも筋肉に負担を与えずに「歩く・座る」を繰り返す事が可能なarchelisによって、術中の安定動作の向上が実現できると考えます。更に医療従事者が抱える特殊な環境での中腰姿勢をサポートできる器具として、可能性を感じています。

archelis(アルケリス)」は医療現場のニーズから生まれたウェアラブルチェアなのだそうです。

腹腔鏡手術では体幹の安定が大きく影響を及ぼすそうで、アルケリスは膝関節及び足首の角度固定ができることで中腰の姿勢で「座る」ことができ、また脛(スネ)と大腿部のサポートで圧力を分散しながら体重を支えることで術中の筋肉疲労を軽減し、安定した長時間の姿勢保持を行うことができるそうです。

【参考リンク】




■要介護者を少なくするためにも、高齢者がいかに元気で生活してもらえるか、いかに生活動作を楽にできるかについて考える必要がある

今回のアイデアは高齢化社会を迎える私たちにとっての介護に頼らない生活をする上で活かせるのではないでしょうか?

ひざ痛中高年1800万人 要介護へ移行リスク5.7倍|厚生労働省研究班(2013/8/13)によれば、厚生労働省研究班の調査によれば、膝の痛みで悩む中高年が1800万人に上ると推計されるそうです。

ショウガでひざ痛(変形性膝関節症)の予防・改善|#みんなの家庭の医学によれば、「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」は、クッションの役割を果たしているひざの軟骨がすり減り、炎症が起こることで、強い膝の痛みが起こります。

日本における変形性膝関節症の潜在患者数は3000万人いるといわれるそうです。

膝には歩くときに体重の3倍もの負荷がかかるそうで、例えば体重50kgの人の場合には、3倍の150kgの負担が膝にかかっているということです。

平成25年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

介護が必要となった主な原因を要介護度別にみると、要支援者では「関節疾患」が 20.7%で最も多く、次いで「高齢による衰弱」が 15.4%となっている。要介護者では「脳血管疾患(脳卒中)」が 21.7%、「認知症」が 21.4%と多くなっている。

厚生労働省の平成25年国民生活基礎調査の概況によれば、要介護度別にみた介護が必要となった主な原因の第一位は「関節疾患」となっています。

高齢化社会を迎える国々にとっては、要介護者を少なくするためにも、高齢者がいかに元気で生活してもらえるか、そしていかに生活動作を楽にできるかについて考えていく必要があります。

1.ロコモティブシンドロームにならないようにロコモ対策・パワーリハビリを行なう

ロコモの要因となる3つの病気とは?|ロコモティブシンドロームチェック・ロコモにならないための運動のやり方によれば、ロコモティブシンドロームは日本整形外科学会が提唱した、骨や関節などの運動器の障害のため、要介護状態になる危険性が高いことを示す概念です。

ロコモティブシンドロームの要因となる病気は、骨粗鬆症・変形性関節症・脊柱管狭窄症の3つの病気。

こうした病気になることで、運動器の障害が生まれ、要介護状態になる危険性が高くなりますので、ロコモにならないための運動「ロコトレ」で予防していくことが提案されています。

介護施設で「パワーリハビリ」を導入 約8割に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果|弘前によれば、弘前市内の介護施設が専用マシンで筋力アップのトレーニングを行う「パワーリハビリ」を取り入れたところ、約8割の人に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果があったそうです。

2.動き自体をサポートする装置

今回紹介した「archelis(アルケリス)」は動き自体をサポートする装置に含まれます。

[vimeo]https://vimeo.com/198871875[/vimeo]

Superflex – Aura Powered Suit|from fuseproject|Vimeo

SUPERFLEX社、高齢者の動きをサポートして衣服の下から着ることができるパワードスーツ「AURA(オーラ)」を開発で紹介したSuperflex(スーパーフレックス)社のAura(オーラ)は高齢者の動きをサポートするパワードスーツで、衣服の下から着ることができるようになっています。

着用している人が体を動かす際の筋電信号を拾って、胴体、臀部・腰、脚の筋肉を強化(支援)して、立ったり座ったりといった動きのサポートをするように設計されています。

以前もこのブログでは「チェアレスチェア」や「外骨格スーツ」、「パワードスーツ」、「動作支援ロボット」、「体重支援型歩行アシスト」について取り上げてきました。

未来では、義体化ということも視野に入ってくるかもしれません。

3.階段の上り下りをアシストする装置

Assistive Stairs Make Going Up and Down Easier

ジョージア工科大学(Georgia Tech University)とエモリー大学(Emory University)の研究者が開発したのは、階段を降りるときのエネルギーを格納し、登るときにエネルギーを解放して、階段の上り下りをアシストする装置です。

階段の上り下りを補助する装置が設置されれば、膝や足首への負担が軽くなることによって、高齢者の歩行をアシストすることにつながることが期待されます。

■まとめ

超小型モビリティとは?
超小型モビリティとは、自働車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる一人から二人乗り程度の車両
超小型モビリティ導入・普及に向けたこれまでの取り組み
多様なコンセプトが提案される超小型モビリティに対して、一定の大きさ、性能、運用地域等の条件を付すことで安全を確保しつつ、公道走行をより簡易な手続きで可能とするための認定制度を創設

参考画像:超小型モビリティの成果と今後(2016/3/22、国土交通省)|スクリーンショット

国土交通省の超小型モビリティの成果と今後で紹介されているスライドによれば、超小型モビリティを自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人から2人乗り程度の車両と挙げています。

これからの介護のための車イスはどのように変わっていくの?では、テクノロジーによって安全性を高めたり、介護者・被介護者の負担を軽減する車いすについて考えていく中で、日常の買い物に困る「買い物弱者(買い物難民とも呼ばれる)」や移動手段に困る「交通弱者(移動弱者とも呼ばれる)」も増えていて、そうした社会的問題を解決する一つのアプローチとして、スマートモビリティやパーソナルモビリティについて考えられていますが、こうした問題を解決する際に、「一人乗り用のシェアできる無人自動運転が可能な車いす」といった新しいアイデアが役立つようになるかもしれないと紹介しました。

その中で、もしかすると、未来の車いすは、車いすではなくて、ロボットスーツのようになっていく可能性もあると書きました。

健常者や障害者、若者と高齢者というような分け隔てなく、車いすもしくはロボットスーツが未来の乗り物の一つとして選択する未来があるとすれば、ウェアラブルチェアーの「archelis(アルケリス)」や「チェアレスチェア」、「外骨格スーツ」、「パワードスーツ」、「動作支援ロボット」、「体重支援型歩行アシスト」が重要な要素の一つとなっていくのではないでしょうか?







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