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腸内環境の改善によってアテローム性動脈硬化症の発症リスクを低減する可能性|協同乳業・京都府立医科大学

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【目次】

■腸内環境の改善によってアテローム性動脈硬化症の発症リスクを低減する可能性|協同乳業・京都府立医科大学

Yoghourt

by Marie de Gouville(画像:Creative Commons)

腸内環境改善によりアテローム性動脈硬化症の発症リスクを低減する可能性~ビフィズス菌『LKM512』により糞便中のトリメチルアミン濃度の低減を確認~

(2017/8/7、協同乳業ニュースリリース)

協同乳業の松本光晴主幹研究員らと、京都府立医科大学・消化器内科学教室の内藤裕二准教授らのグループは、アテローム性動脈硬化症の発症リスクの高い動脈硬化予備軍(悪玉コレステロール値等が正常範囲上限域)を対象とした臨床試験を行なったところ、ビフィズス菌LKM512の摂取がアテローム性動脈硬化症の発症リスクを低減させる可能性があることを明らかにしました。

●アテローム性動脈硬化症とは?

ちなみに、アテローム性動脈硬化症とは、高血圧高血糖などの理由により血管内膜が傷つき、その隙間から血管内膜の下に入り込んだコレステロールが白血球の一種であるマクロファージに捕食され、その死骸が溜まり、アテローム(粥状の塊)と呼ばれる沈着物(血液中の脂肪、コレステロール、カルシウムおよびその他の物質)が動脈の内側に蓄積した状態で、血管のしなやかさが失った状態です。




■研究の背景

近年、アテローム性動脈硬化症の危険因子として腸内細菌が産生するトリメチルアミン(TMA)が注目されている。食事由来のコリン類から腸内細菌により産生されるTMAは体内に吸収され、肝臓内でトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)となる。このTMAOがアテローム性動脈硬化症の進行に関与することが報告されている。従って、腸内細菌のTMA産生量の抑制はアテローム性動脈硬化症の予防や軽減に繋がると考えられる。

腸内細菌が作り出すトリメチルアミン(TMA)は、肝臓内でトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)となり、アテローム性動脈硬化症の進行に関与するという報告があることから、腸内細菌のTMA産生量を抑制することがアテローム性動脈硬化症の予防につながるのではないかというのが研究の背景です。

■臨床試験の結果

悪玉コレステロール値等が正常範囲上限域の健常成人(動脈硬化予備軍)を対象に、ビフィズス菌LKM512或いはプラセボ注2を摂取する臨床試験を実施し、LKM512摂取群で以下の結果が得られた。

●アテローム性動脈硬化症の危険因子の前駆体であるトリメチルアミン(TMA)注3の糞便中濃度がプラセボ群より有意に低値になった(下図)。

●腸内のTMA産生菌が属するグループの相対存在比率がプラセボ群より有意に低値になった。

●肥満との関連が報告されている腸内細菌のFirmicutes門/Bacteroidetes門の比率がプラセボ群と比較し有意に低値で、痩身型の比率に近かった。

●肥満度の指標であるBMIの変化量に有意な差があり、プラセボ群は試験期間中に増加したのに対し(+0.22±0.09 )、 LKM512群では減少した(-0.26±0.17)。

●血清TNF-α注4の値が試験前と比較し有意に減少し、動脈硬化症の発症リスクが低減した可能性が示唆された。

LKM512摂取群とプラセボ摂取群の糞便中トリメチルアミン量とTMA産生菌の相対存在率
LKM512摂取群とプラセボ摂取群の糞便中トリメチルアミン量とTMA産生菌の相対存在率

参考画像:図1.LKM512摂取群とプラセボ摂取群の糞便中トリメチルアミン量とTMA産生菌の相対存在率|腸内環境改善によりアテローム性動脈硬化症の発症リスクを低減する可能性(2017/8/7、協同乳業ニュースリリース)|スクリーンショット

LKM512摂取が腸内菌叢に与える影響(摂取12週後)
LKM512摂取が腸内菌叢に与える影響(摂取12週後)

参考画像:図2 LKM512摂取が腸内菌叢に与える影響(摂取12週後)|腸内環境改善によりアテローム性動脈硬化症の発症リスクを低減する可能性(2017/8/7、協同乳業ニュースリリース)|スクリーンショット

LKM512摂取の動脈硬化関連マーカーへの影響
LKM512摂取の動脈硬化関連マーカーへの影響

参考画像:図3 LKM512摂取の動脈硬化関連マーカーへの影響|腸内環境改善によりアテローム性動脈硬化症の発症リスクを低減する可能性(2017/8/7、協同乳業ニュースリリース)|スクリーンショット

血中の悪玉コレステロール値等が基準値の上限付近にある動脈硬化予備軍の被験者27名から、食事制限を行なわず、ビフィズス菌LKM512粉末を毎日2包、12週間飲んでもらうグループと比較対象となるLKM512が入っていない粉末を飲むプラセボグループにわけて実験を行なったところ、LKM512グループは、プラセボグループより、便中のTMAが少なくなっていたことがわかりました。

また、腸内菌叢を調べると、LKM512グループは、このTMAを作ると考えられる菌のグループの比率が少なく、これが便中TMAが減った原因と考えられます。

その他にも、LKM512グループはBMIも減少し、動脈硬化症のマーカーの一つである炎症指標(TNA-α)が減少していたことからアテローム性動脈硬化症の予防に期待できるのではないかと考えられるそうです。

■まとめ

つまり、今回の研究によれば、ビフィズス菌LKM512を摂ると、アテローム性動脈硬化症の発症リスクを下げる可能性があることがわかったということですね。

今回の研究は予備的試験という位置づけであり、腸内環境の改善によってアテローム性動脈硬化症の予防ができるようになるということがわかるのかどうかは、規模を大きくした試験でどのような結果が得られるかが重要になってきます。

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【参考リンク】
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ナノ粒子を用いたアテローム性動脈硬化症の新治療法とは−米研究

Jennifer drawing ideas

by Juhan Sonin(画像:Creative Commons)




「超小型無人機」で血流からコレステロール除去、米研究

(2015/2/20、AFPBB)

超小型無人機のように動作する微小ナノ粒子を使い動脈内に蓄積したプラークまで薬剤を運んで治療する実験的治療法を開発中との研究論文が、18日の米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)」に掲載された。

以前、GOOGLEX、ナノ粒子とウェアラブル端末を用いてがんを早期発見するプロジェクトを発表という記事を紹介しましたが、今回のニュースによれば、ナノ粒子に抗炎症薬を組み込んで運ばせ、プラークが蓄積されている部位で治療薬を放出させるという研究が行われているそうです。

今後さらに安全性試験を重ねる必要があるが、現在のところ科学者らは、アテローム性動脈硬化症の治療に新たな道が開ける可能性があるのではと注目している。アテローム性動脈硬化症は、米国やその他の先進国における死因トップの心疾患を引き起こす。

アテローム性動脈硬化症とは何なのでしょうか。

アテローム性動脈硬化症−UNEX

アテローム性動脈硬化症とは動脈硬化の一種で、高血圧高血糖などの理由により血管内膜が傷つき、その隙間から血管内膜の下に入り込んだコレステロールが白血球の一種であるマクロファージに捕食され、その死骸が溜まり アテローム状(粥状の塊)になり、血管のしなやかさが失った状態であると考えられています。

アテローム性動脈硬化症とは、アテロームと呼ばれる沈着物(血液中の脂肪、コレステロール、カルシウムおよびその他の物質)が動脈の内側に蓄積した状態のことをいうようです。

アテローム性動脈硬化症をそのままにしておくと、脳梗塞心筋梗塞などの病気になる恐れがあります。

つまり、今回の研究が進めば、よりピンポイントに治療薬を届けることができることで、動脈硬化の治療がよりよいものになると考えられます。

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アテローム性動脈硬化症の新治療法=血管炎症抑える抗HMGB1抗体で|岡山大など

20091127okayama

参考画像:アテローム性動脈硬化症にも有効な抗体医薬(2009/11/27、岡山大学プレスリリース)|スクリーンショット

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動脈硬化症の新治療法=血管炎症抑える抗体で-岡山大など

(2009/11/20、時事通信)

脳梗塞(こうそく)の原因となるアテローム性動脈硬化症についての新治療法を発見したと、岡山大、就実大、オーストラリアのベイカー研究所の研究グループが19日明らかにした。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科薬理学分野の西堀正洋と就実大学薬学部森秀治らの研究グループは、オーストラリアベイカー研究所のアレキサンダー・ボビック教授の研究グループとの共同研究で、「アテローム性動脈硬化症」に対し、抗HMGB1抗体を使った抗炎症治療法が有効であることをマウスの実験モデルで証明したそうです。

アテローム性動脈硬化症とは、初めて聞く名称だったのですが、記事によると、

アテローム性動脈硬化症は、高脂血症高血圧症などが原因で、太い動脈血管の内膜層に細胞やコレステロールが集積し炎症を起こす。

という病気なのだそうです。

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■実験内容

アテローム性動脈硬化症にも有効な抗体医薬

(2009/11/27、岡山大学プレスリリース)

実際の動物実験は、ApoE ノックアウトマウスに高脂肪食を摂らせてアテローム性動脈硬化症を作成しました。高脂肪食を開始するのと同時に抗体の静脈注射を開始しました。抗体投与は、一週間に2回でこれを8週間続けました。その結果、対照抗体を投与したマウスでは、顕著なアテロームプラークが形成されましたが、抗 HMGB1 抗体投与マウスでは、形成が約60%抑制されました。局所に浸潤した単球細胞数、血管内皮細胞の活性化や単球遊走因子の発現量といったプラーク形成の指標は、平行してすべて抑制されました。以上の結果は、抗 HMGB1 抗体の投与が、動脈硬化巣の炎症局所における HMGB1 を中和することによって、炎症の進行に対し強い抑制作用を発揮することを示しています。

今回の研究によって考えられた治療法とは、炎症の原因とみられる物質の作用を中和する抗体(抗HMGB1抗体)を投与することで炎症が抑制されるというものです。

今回発見された方法であれば、根本的な治療法となる可能性もあるそうです。

今後の研究に期待したいですね。

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